事業者団体ヒア・質疑10

○稲葉委員(民間介護事業推進委員会代表委員)
 日本ホームヘルパー協会さんと日本認知症グループホーム協会さんに1点ずつ質問させていただきます。

 まず、資料3の2ページ、4の(3)にありますサービス提供責任者の就任前研修の義務化を要望されていることに関してです。質を高めるためにこのような要望をされているのでしょうが、現実的な話として、コストがかかると思います。そういった負担についてどのようにお考えなのかということです。そして、事業所内の研修では不十分ということなのかということです。就任前研修を義務化することによって、サービス提供責任者や介護職に就こうとする方の障壁のようなものになりはしないか、その辺の心配についてどのようにお考えなのかも、お答えをいただきたいと思います。

 続きまして、日本認知症グループホーム協会さんに対してです。資料5の7ページから10ページあたりに記載されています医療との連携の強化に関する評価についてです。入退院支援の適切な取り組みに関する評価、そして口腔衛生管理に関する評価、共通して言えることだと思うのですが、グループホームに入居されている方は、御承知のように、御自分で状況の確認やコミュニケーションが難しい方々が多いと思います。グループホームに入居して、家庭的な雰囲気の中で職員との信頼関係ができ、そして日ごろの状況や本人の気持ちや痛みなどをおおよそ職員が把握しているからこそ、通院、訪問診療時の対応、あるいは入退院時の対応ができるのであり、それがないと成り立たないと思います。
 ところが、グループホームはもともと小規模の事業所ですので、職員が最大3名程度しか配置されてなく、ある職員が通院や訪問診療、入退院時の対応業務に当たってしまうと、たちまち他の職員に負担が発生してしまうということです。その場合でも質を落としてはいけないので、補うために相当な人員コストなどが発生してしまうのだろうと思います。
 医療や歯科医療などに対し前向きに連携しようとする事業所ほど負担がかかってしまうのではないのか、というふうに想像できます。したがって、入退院時における医療との連携加算や歯科医師や歯科衛生士との連携加算などを新設することは、事業所の質を確保するために必要であるという理解でよろしいのか、お答えをいただきたいと思います。

○青木意見陳述人
 サービス提供責任者は、利用者の生活の質に直接かかわる業務と認識しております。就任前研修につきましては、日本ホームヘルパー協会では厚労省のほうにも要望しております。といいますのも、訪問介護事業のかなめであるサービス提供責任者が、経験よりも資格があるというだけでその位置に位置づけされている場合が多々あります。サービス提供責任者は非常に負担になって、やめていくということが現実起きています。そのために、長くサービス提供責任者に従事していただく、人材不足の解消ということにおきましても、就任前にきちんとした研修を行って、確実に業務ができるようにすることが必要だろうと認識しています。

○河崎意見陳述人
 おっしゃるとおりでございます。我々は、法的には3対1に関して、1.4人に1人という手厚い人員配置をしてございます。そうでなければ、今、申し上げましたような医療との連携、歯医者さんとの連携、認知症の人がグループホームにおられるからこそ穏やかに笑顔でもって生活できる。それが身体的に悪くなって病院にかかる。そのときに病院の先生方の御理解を得るためには、やはり日常の生活、この方はこういったときすごく興奮なさるのですよとか、その方に対するポイントを必ずきちっと申し上げることによって、入院中も穏やかに過ごせる。そのために、家族のかわりに我々の顔見知りの介護の人、ケアマネジャーの人が本人に付き添いながら、ポイントポイントで病院に行く、開業医さんのところに行くということもございます。
 歯科の先生におかれましても、診療のときに随分と興奮なさったりしますので、興奮を和らげながら、その方が平常心で診察台に上がっていただくということも必要でございます。我々のところに歯科医師の方がお見えになって、認知症に関するいろんな知見をそのドクターが地域で、そして皆様に御利用していただければ、本当に我々の仕事のしがいがあるというところでございまして、そのためには加配ということの人的も随分とやらせていただいているところでございますので、ぜひともそのあたりのところをお考えいただきまして、我々の職員が希望と夢を持って仕事ができる、笑顔ができる、また入居者の方にも笑顔でいただきたいというところをどうぞよろしく御理解いただければありがたいと思います。


<稲葉委員の質問のうち、サービス提供責任者の就任前研修義務化について負担や障壁とならないかという部分(紫色)に、日本ホームヘルパー協会は答えていません。就任前研修の必要性について延々と説明しているだけのように思えます。たとえば「負担はあるが必要性の方が高い」というような回答なら、まだわかるのですが。

一方、日本認知症グループホーム協会は、医療と連携の協会に際して発生するであろう人員コストについて(緑色)、一応答えています。

まあ、こういうことは、後で議事録を読み返すのだからわかりやすくて、リアルタイムの会議の場では気づきにくいのかもしれませんが。

たぶん、もう少し続くと思います。>