介護基準パブコメ結果6

災害への地域と連携した対応の強化

事業所主催の災害訓練に地域住民が参加してもらうだけでなく、地域の避難訓練へ事業所が参加することでも問題ないこととすべき。

 災害への対応においては、地域との連携が不可欠であることを踏まえ、訓練の実施に当たり、地域住民の参加が得られるよう連携に努めることを求めるものであり、非常災害対策として本取扱いが適切であると考えております。


 本件の必要性・重要性は認識しておりますが、入所者の面会規制が行われているほど現下の情勢では地域と連携した訓練の実施は非常に困難。事業継続計画の同様,模擬訓練で対応できるかどうかまたその進め方など、検討していただきたい。

 訓練の実施に当たり、地域住民の参加が得られるよう連携に努めることを求めるものであり、義務づけを行うものではないですが、詳細な運用については、今後検討してまいります。


口腔衛生管理の強化

口腔衛生管理の体制の整備とは、歯科衛生士等の配置を求めるものなのか。

 歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が介護職員に対して口腔清掃等に関する助言を行い、当該助言に基づき介護保険施設において、介護職員が口腔衛生管理体制についての計画を立案することを求めるもので、歯科衛生士の配置まで求めるものではありません。


個室ユニット型施設の設備・勤務体制の見直し

1ユニットの定員を、現行の「おおむね10人以下」から「原則としておおむね10人以下とし、15人を超えないもの」と緩和することは、職員(特に夜勤時)の身体的・心理的負担を増やし、介護職員等の離職者を増加させてしまうおそれがある。虐待・事故防止や感染症対策の観点からも疑問がある。どうしても緩和するのであれば、10人を超えた場合の職員配置等について、具体的に条件を付すべきではないか。

 本改正については、「おおむね10人」について定員の上限を明確化したものですが、ユニットケアの質を維持しつつ、人材確保や職員定着を目指すこととしています。そのため、当分の間、現行の入居定員を超えるユニットを整備する場合は、ユニット型施設における介護・看護職員の配置の実態を勘案して職員を配置するよう、施設に対して努力義務を課すこととしています。


現行の「おおむね10人以下」から「原則としておおむね 10人以下とし、15人を超えないもの」とする。について、ユニットケアの推進の為としているが、言い換えれば職員の負担増になり、人材確保にマイナスになるだけである。少なくとも、特養や老健のように、ICTや見守りセンサーの全床設置など、一定の条件を付けた上で実施しなければ、事業経営者側にだけ利するだけになる。

 今回の見直しによって、1つのユニットに配置される職員数が増え、職員の急な欠勤への対応など、職員の勤務シフトの柔軟性が確保されると考えております。なお、ユニットケアの質の維持のため、当分の間、現行の入居定員を超えるユニットを整備する場合は、ユニット型施設における介護・看護職員の配置の実態を勘案して職員を配置するよう、施設に対して努力義務を課すこととしています。


「原則おおむね10人以下」と言いながら「15人を超えない」との基準は、10人以下の基準が無いに等しいのではないか。原則を重視し「10人以下」と限定すべき。

 現行の基準は「おおむね10人以下」と規定しているので、当該基準を維持しつつ、入居定員の上限を明示するという趣旨で今回の見直し案としています。


感染症対策の強化

感染症対策の強化として、施設系サービス以外についても、委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーション)等の実施を義務付けることとしているが、たとえば居宅療養管理指導や居宅介護支援では、実質的に従業者が1名だけということがあり得る。指針の整備等はともかく、「委員会の開催」の義務付けはなじまないのではないか(努力義務程度なら適当)。

 施設系サービス以外の事業所が、感染症流行時においても安定的にサービス提供を継続していただくためには、対応の基本方針ともなる指針等の整備、また、それら資料や対応等を検討する委員会の開催は重要との審議結果を踏まえたものです。また、ご指摘の事業者様のご負担も考慮し、3年の経過措置期間を設けるほか、「介護現場における感染対策の手引き」において感染管理体制構築のポイント等もお示しする等、事業所様の取り組みを支援しておりますが、小規模な事業所においても過剰な負担とならず効果的な取り組みが行えるよう、具体的な方法・配慮等を、通知等により示してまいります。


ハラスメント対策

事業者の対策を強化することも重要であるが、例えば利用者によるハラスメントが起こった場合、その利用者に対するサービスを直ちに停止できる(別の事業所の照会<原文ママ:「紹介」と思われます>等をすることなく)といった、事業者の権利についても認めるべきと考える。

 介護事業者は、運営基準において、正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないこととされており、介護現場におけるハラスメントについて、行為の内容やその頻度等を総合的に勘案し、正当な理由に当たる場合には、拒否できるものと考えております。


事業者において職場内ハラスメント対策をしっかり行っていくことは必要と考える。一方で、利用者やその家族等からのハラスメントについても対策が必要であり、整えてきている事業者も多いが、国や自治体によるこの点についての施策があまりにもなさすぎる。利用者や家族等からのハラスメントは介護従事者の人権侵害につながる問題であり、国や保険者としての自治体が積極的に関わるべきである。事業者だけが対策を考えればよいといったことで済む問題ではない。

 利用者やその家族等による介護職員へのハラスメントに対応するため、厚生労働省では、対策マニュアルや地方自治体等が研修を行うに当たって活用できる手引き、相談を受け付ける際の相談シートを作成するとともに、地域医療介護総合確保基金においてヘルパー補助者の同行や、当該研修、相談窓口の設置に係る費用等に対して助成を行っており、引き続きハラスメント対策を進めてまいります。


業務継続に向けた取組の強化

いわゆるBCPの策定については、法人単位で策定していることがほとんどであると推察されるため、法人単位で策定・研修・訓練されていれば良しとすべきと考える。BCPは法人本部で方針を決定し、傘下の事業所へ方針を通知するものと推察されるため、事業所単位でよりも法人単位で策定・研修・訓練を義務付けるほうが実態に即しているものと考える。

 各サービスにおける人員、設備及び運営に関する基準で対応するものであり、事業所単位で策定いただくことを念頭においておりますが、運用の詳細を検討するに当たってのご意見として承ります。


自然災害BCPを作成したが、1人で運営している事業所にとって、定期的に見直すには負担が大きく、BCPを作成するには自治体から詳細な情報開示等が必要。当面は、必須とする事業所は特定の事業所に限定し、情報が得られやすく、策定に関する理解が高まった時に全事業所に義務とすべき。

 今回の改定案は、感染症や災害が発生した場合であっても、利用者に必要な介護サービスが安定的・継続的に提供できる体制を構築する観点から、全ての介護サービス事業者を対象に、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等を義務づけるものです。
 可能な限りご負担を軽減できるよう、3年の経過措置期間を設けつつ、「自然災害発生時の業務継続ガイドライン」の提示等しているところですが、施行後の対応状況や有効性等を把握し、感染症や災害が発生しても地域において必要なサービスを継続的に提供していくために有効な方策を、引き続き検討してまいります。


業務継続のためのシミュレーションを行うことは必要と考えるが、毎年のように基本報酬が減少し、業務負担が増加している中で、シミュレーションが現実的なものか疑問を感じる。

 今回の改定案は、感染症や災害が発生した場合であっても、利用者に必要な介護サービスが安定的・継続的に提供できる体制を構築する観点から、全ての介護サービス事業者を対象に、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等を義務づけるものです。
 可能な限りご負担を軽減できるよう、3年の経過措置期間を設けつつ、「新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」の提示等しているところですが、施行後の対応状況や有効性等を把握し、感染症や災害が発生しても地域において必要なサービスを継続的に提供していくために有効な方策を、引き続き検討してまいります。


BCP計画について、感染症と災害時についてのBCP計画の策定や訓練が求められているが、これまでも消防計画(火災)、地震、風水害についての防災計画策定が、個別に求められ、非常に扱いにくい。総合計画として、まとめて作成できるひな形を提示していただきたい。

 感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービス継続的に提供で来る体制を構築する観点から、策定を求めるものです。
 現在、「新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」の提示等を行っているところであり、ご意見として承ります。

 

(つづく)