事業者団体ヒア・議事録5

○河崎意見陳述人(公益社団法人日本認知症グループホーム協会会長)
 我々は5つの要望を挙げさせていただきました。
 1つ目、在宅支援機能の強化への評価ということでございます。それの説明として4ページでございます。グループホームが地域に根差し、認知症ケアの拠点として積極的に取り組むことは入居者、地域住民双方にとってメリットとなり、地域包括ケアの観点からもお互い様の関係、互助の体制づくりが重要であると考えます。
 一方で、そのためには、日ごろより地域住民、多様な関係者との連携コストが存在いたしますので、地域の認知症ケア支援に対する評価を希望いたします。
 ショートステイの活用を促進するために、現行の人員基準、一定の設備要件を前提に、1ユニット定員プラス1名の範囲内で利用可能になるように利用定員の見直しをお願いしたいと思います。
 ショートステイの活用促進は、利用者、家族双方にとってメリットがあり、家族のバーンアウトを防ぎ、認知症の人ができるだけ長く在宅生活を送れるようにすることを支える効果があります。
 一方で、現行は定員の枠内での1名が限度となっており、必要なときに利用することができません。地域包括ケアの観点からも、プラス1名ということをぜひ考えていただきたいと思います。

 2つ目の要望といたしましては、医療との連携の強化への評価ということでございます。早期退院を目指す上では、入院時から退院を見越した医療機関との連携を図ることが大切であり、入退院に伴う医療機関との連携について評価していただくことを要望したいです。具体には、入院時情報連携加算、退院時情報連携加算の新設を考えてくださればありがたいと思います。
 認知症の人は入退院による環境の変化にとても弱く、医療との連携や情報提供を通じてスムーズな入退院に向けての取り組みが重要です。そうした取り組みは認知症の悪化を防止したり、早期退院に結びつく事例も報告されており、早期退院支援の取り組みや、入院中及び退院後の生活の質の向上に関する評価として、上記2つの加算をお願いいたします。
 認知症高齢者の口腔衛生管理を適切に行うことを推進する上で、歯科医師、または歯科医師の指示を受けた歯科衛生士との連携について評価していただくことを要望したいと思います。具体的には口腔衛生管理体制加算の新設、個別口腔衛生管理加算の新設を要望いたします。
 認知症が重度化するにつれ、歯周病・う蝕の進行、嚥下機能の低下が見られますが、歯科専門職ときちんと連携し、口腔衛生管理を行っているグループホームの利用者は、口腔内状態もよいとの調査結果が出ております。よろしくお願いいたします。

 3つ目の要望は、人材確保のための職員配置の弾力的運用ということでございます。人材確保のための取り組みの一層の推進を前提に、国策としてぜひ人材確保をお願いしたいということと、職員配置の弾力的運用と、これらを阻害する過度のローカルルールの是正についても御指導していただきたいと思います。

 4つ目の低所得者対策の充実でございます。これは経済的な理由でグループホームにいたくてもグループホームを退去せざるを得ないというケースがございます。より実効性のある低所得者対策を講ずるようお願いしたいと思います。
 当協会調査によりますと、グループホームの利用者負担の総額は平均で約十数万円になっており、介護保険施設など補足給付のある施設に比較すると割高になっております。平成24年度より地域支援事業の任意事業として家賃等の助成事業が位置づけられておりますが、ほとんど全国的には活用されていない状況です。認知症の人が経済状況にかかわらず、希望すれば適切な居住系サービスを自由に選択できるように、補足給付等の抜本的な改革をお願いしたいと思います。

 5つ目の経営の安定化ということでございます。我々のような小規模のグループホームではこの程度の収支差額、1カ月1ユニット13万9,000円ということでございますので、急なアクシデントとかいろんなことに対して対応することが極めて困難です。手厚い人員配置により認知症ケアの質の維持においても努力いたしておりますので、収支差率だけではなく、収支差額も考慮していただいて、そしてグループホームに入居しやすい体制の整備や、認知症グループホームのサテライトなど、よろしく御配慮くださいませ。

(つづく)