事業者団体ヒア・質疑11

○伊藤委員(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長)
 では、24時間在宅ケア研究会と日本ホームヘルパー協会、全国ホームヘルパー協議会にお聞きしたいと思います。

 まず、資料1の7ページにございますオペレーターのところですけれども、1ポツのところに「利用者の処遇に支障が出ない前提において」とございますが、随時対応職員の兼務によって仕事が重なってしまうといったことに対して、支障が出ないということをどのように担保するかという点について、お聞かせいただきたいと思います。オペレーターの対応というのは、特に緊急性が高い場合に来ると思っておりますので、その辺の担保をどのように考えているかを教えてください。

 もう一つは、日本ホームヘルパー協会と全国ホームヘルパー協議会にお聞きしたいのですけれども、生活援助の人員基準と報酬の見直しの検討については、私たちにとっては、介護離職につながるのが一番心配しているところでありまして、きょうのお話でもその辺の懸念をお話しされていたということで、やはり心配だなと思ったところです。サービスの質への影響と、サービスそのものが提供されなくなるのではないかという心配をしているところです。新しい入門的研修とか、それに伴う報酬ということを考えると、誰が担い手になるのかというところなのです。
 私ごとですが、ボランティアの体験を2種類のサービスでやってみたのですけれども、ボランティアが参加しているという状況はそこまで普及していないなというのも実感したところであります。だから、政府はこれから新たな入門的研修を考えるということなのだとは思うのですが、誰が担い手になるのか。
 今のヘルパーが担うということになれば報酬基準が下がってしまい、ヘルパーの離職が進んでしまうのではないかということで、これだけ訪問介護が必要だと言われながら、誰が担っていけるのか。その点について、全国でも状況が違うと思いますが、現場でリアリティーのある人材確保の見通しをそれぞれお聞かせいただきたいと思います。

○冨永意見陳述人
 オペレーターの兼務要件につきまして、夜は特養等の介護員、介護福祉士がかわりができる。あるいは夜間帯、訪問の緊急性が出た場合には訪問すると。そのときは、スマホで資料が全部出てまいりますので、資料の確認をしながら、緊急性の場合はそこでお医者さんに連絡をしたり、あるいは救急の場合には救急車を呼ぶことも可能ですし、オペレーターがそのときに状況の判断をして、どうするかを考えることができるということでございます。必ずしも夜間時においてこのことを兼務することによって処遇に支障が出るということはないと思っております。

○青木意見陳述人
 人材不足については私たちも非常に懸念しております。日本ホームヘルパー協会のみならず、国全体で考えていかなければ、本当に介護というものが崩壊してしまうのではないのかなと思えるぐらいに懸念をしております。
 研修面ですが、実際に研修をしても人が集まらない。それはなぜかというと、利用者のサービスを優先するからです。ということは、研修を行わなければ訪問介護員の質も自然と低下してきますし、悪循環になっているのかなと思っています。
 私たちも、現実にどういうふうに研修したら人が来るかということで、夜がいいのか。夜でしたら、夜の7時ぐらいから、訪問が終わってからなら来るだろうかと。ところが、24時間サービスというのがつきますね。それでなかなか集まらない。非常に頭を痛めているところなのです。私がお答えするというよりは、むしろ皆さんのお知恵をおかりしながら、全体で考えていかなければならない問題かなと懸念しております。

○神谷意見陳述人
 人材確保の見通しというところは大きな問題だと思いますが、今ある人材に対しての研修、ヘルパーは1人で利用者のおうちを訪問して、利用者のことをしっかり見ていきますというところなのですけれども、求められるところは、気づきだったり、気づきに対して判断力、そうして支援したことをしっかり報告できる。ヘルパーとして経験の積み重ねと、それから新たに研修等をして知識を入れていかないとスキルにならないよということは、日々入っているヘルパーが感じていることだと思うので、研修の必要性というところは入っているヘルパーが一番感じていると思います。1人で利用者のうちに行って、もしかしたら緊急時に対応しなければいけない状況にもあるかと思うので、そういったところで医療的なことも踏まえて、スキルを上げるために知識が必要だよねというところで研修体制は行っていかなければならないということなのですけれども、人がないというところで、日6本、7本の訪問をしていると、帰ってくるのが7時、8時。24時間の体制をとっているところは、それにも拍車をかけていくところで、では、日曜日に研修といっても、日曜日も活動していますということになると、難しいところがあります。
 ただ、誰が担い手になってやっていくのというと、職能団体である私たちホームヘルパー連絡協議会、日本ホームヘルパーのほうと一緒に行っていきたいと思っています。研修体制、研修の講師になることによって、自分たちももう一度見直すこともできると思うので、育てていく意味では職能団体がしっかりと行っていけばいいのかなと思っております。

<伊藤委員の質問のうち、「オペレーターの兼務で支障が出ないということをどう担保するか」(緑色)について冨永氏が回答しています。ただ、オペレーターとしての緊急対応については(質的には)スマホで資料を出すとかで可能としても、兼務の夜勤介護職業務の方に支障が出ないか、あるいは夜勤業務で「とり込んでいる」際にオペレーターとしての仕事に支障が出ないか、ということが気になります。伊藤委員の質問も、そういうことを含んでいたのではないでしょうか。

もうひとつ、「生活援助の人員基準や報酬の見直しにより人材確保がより難しくなるのではないか」という懸念(紫色)に対し、ヘルパー2団体は、「現任のヘルパーに対する研修時間が取りにくい」という少しずれた回答(黄色がかった茶色)をしています。伊藤委員は、(身体介護も生活援助も可能な現任ヘルパーではなく)「生活援助に特化した人材の確保は困難ではないか」ということを聞こうとしたように思えるのですが。>

(つづく)