けさのNHKで、「元最高裁判事2人に聞いた 結婚後の名字の制度どうなる?」という特集をやっていました。
(概要はこちら)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240502/k10014437851000.html
この4月(先月)のNHKの調査結果では・・・
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別の名字を選べる「選択的夫婦別姓」について尋ねたところ、「賛成」が62%、「反対」が27%でした。
さらに年代別で詳しくみると、18歳から60代までのそれぞれの年代では、いずれも「賛成」が70%台で「反対」を大きく上回りました。
一方、70歳以上は「賛成」が48%、「反対」が40%となり、60代と70代を境に傾向が分かれました。
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(黒の書き込みは引用者が行いました。)
面倒なので調べ直していませんが(すみません)
時代とともに「選択別姓容認派」が増えている印象です。
概ね若年層の方に賛成が多い(というより、一定年代から上だけが反対が目立つ)ということからも、それはうかがえます。
ただ、このNHKの調査、少なくとも公表されている部分では、男女差がわかりません。
70歳以上のところに2人の名前を書き込んでいますが、これが2015年12月16日の最高裁判決(夫婦同姓は合憲)に携わった元判事のうちの2名です。
山本庸幸氏(合憲・多数意見)と櫻井龍子氏(違憲・少数意見)です。
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山本元判事
「パスポートや運転免許証などを変えなければならないのは面倒ですが、『結婚して姓が変わりました』と言えばいいだけの話で、どうしても耐えられないという程度の問題ではないですね。対応策はいくらでもあるわけです。ちょっとの不合理さや不便さを理由に、違憲判断はできないと思います」
櫻井さんは旧姓の「藤井龍子」として旧労働省で女性局長を務めるなど実績を積み上げましたが、その後、最高裁の判事に就任すると旧姓の使用が認められず、過去の評価を認識してもらえない経験をしました。※現在は裁判官も旧姓使用が可能。
櫻井元判事
「最高裁判事になった時、『どこの馬の骨か分からない』と言われ、経歴や実績が切れた悲哀を味わいました。旧姓使用はダブルスタンダードみたいなもので、相手が認めるか認めないかで決まる不安定なものです。今も海外などでは、旧姓を使っても身分証明が非常に難しいなど、不便どころか大変な問題が生じることもあります」
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見事にかみ合っていませんね。
(議論ではなく、2人がそれぞれインタビューを受けているということもありますが。)
だからというわけではありませんが、男女別に調査すれば、女性は賛成がもっと増える可能性があるのではないかと思います。
憲法記念日にこの問題を特集するというのは、なかなかセンスがあると思いますが、NHKの担当の方、ちょっとツメが甘かったかな。
さて、このときの最高裁判決については、ヤフーブログ時代に記事にしています。
「夫婦同姓は合憲」判決
https://jukeizukoubou.blog.fc2.com/blog-entry-2016.html
女性3人の連名意見
「女性の社会進出は著しく進み、結婚前の名字を使う合理性や必要性が増している。96%もの夫婦が夫の名字を名乗る現状は、女性の社会的、経済的な立場の弱さなどからもたらされている。妻の意思で夫の名字を選んだとしても、その決定過程には、現実の不平等と力関係が作用している」
「多くの場合、女性のみが自己喪失感などの負担を負うことになり、両性の平等に立脚しているとはいえない。今の制度は結婚の成立に不合理な要件を課し、婚姻の自由を制約する」
ちなみに、(やはり違憲派の)男性裁判官の意見
「同じ名字でなければ夫婦が破綻しやすいとか、子どもの成育がうまくいかなくなるという考えは根拠がない」
別の男性裁判官
「平成8年に、法制審議会が夫婦別姓を認める民法の改正案を出したのに、今も制度を変えていないのは、国会が立法措置を怠っているということだ」
そして、このあと、2021年6月にも「合憲判決」がありましたが、このときも(大雑把にいえば)11対4で割れています。
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2021/06/24/212052
それにしても、最高裁(大法廷)の女性比率が低い。
2015年の判決時が3人、2021年が2人。
猪爪寅子も怒るわ、そりゃ。
こういう裁判官の男女差も、ジェンダーギャップになるんじゃないの?
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2022/01/13/213156