消滅可能性自治体

「消滅可能性自治体」について触れようと思っていましたが、カーリングやロシア関係の記事を書いていたりして、なかなかまとまりませんでした。

 

「消滅可能性自治体」との表現に異議あり 茨城・笠間市の山口伸樹市長が意見書 「意欲低下につながる」
東京新聞 2024年4月27日 08時12分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/323903

 

気持ちはわかりますが、ここまでショッキングな表現を取らないと、(笠間市がどうということではなく)政府が本気にならないのでは、とか、いろいろな意見もあるだろうとは思います。

それはともかく。

(一般社団法人)北海道総合研究調査会
【人口戦略会議・公表資料】『地方自治体「持続可能性」分析レポート』より
https://www.hit-north.or.jp/information/2024/04/24/2171/

 


上のようなマトリクスですね。
若年性女性人口(ここでは20~39歳)の減少率を推計して、横方向が「人口移動がなかったと仮定した減少率」、縦方向が「移動仮定」というか、本来予想される減少率。
表のB-1、B-2あたりが、他の地域から若い女性を吸い上げるけれど出生率は低い、ということで、「ブラックホール型」と名づけられています。
そして、下段のC-1~C-3が「消滅可能性自治体」とされています。

その他のカテゴリーを含めて、なるべく有名そうな自治体名を、当方で例示してみました(赤色)。

まあ、今は(というより明治以前でも)40歳以上でも出産する女性は少なくないし、逆に10代の出産もありますが、そもそも人口の将来推計自体が誤差を含んだものなので、それには深入りしないことにします。


次に、東京特別区は後に回して(狭い範囲に集中してわかりにくいので)、政令市がどうなっているか。
さらに、A(自立持続可能性)、C-1~C-3についても、いくつかの自治体がグラフのどのあたりの位置に来るか、例示してみました。
なお、上のマトリクスに合わせて、横軸が右に行くほどマイナスになっていることに注意してください(一般的なグラフと逆です)。

 


大阪市京都市ブラックホール型です。
近畿圏など他の自治体から流入がありますが、そういう移動がないと仮定すると減少率は50%を越えます。地理的に近い神戸市の方が、まだ自然増(出生)がマシ、ということになります。

C-1~C-3については、観光地として有名な自治体でも、けっこう厳しいな、という印象です。

Aについては・・・高級リゾート地の葉山町などは納得感がありますが、ちょっと意外性を狙って、離島カテゴリーから選んでみました。
八丈町は、ご存じ八丈島(と八丈小島)。
他の2町村は、沖縄県の離島です。
こういう自治体が「自立持続可能性」カテゴリーに入っていることは、「意欲低下」が心配な自治体も留意した方がよいかもしれません。
大都市圏でなくても生き残る可能性が高い場合があるということで。

 


さて、後回しにしていた東京特別区
港区、中央区江東区千代田区江戸川区葛飾区が(辛うじて)外れるだけで、あとの17区は「ブラックホール型」に分類されます。
まあ、若い女性に限らず、人々を引き寄せる力はあるのでしょうが、こういう人口問題を考えると、どうでしょうかねえ。
コロナ禍でオンライン勤務、オンライン授業という概念が出てきたこともありますが、もともと住んでいる人は別にして、そこまで東京に行かなければならない人ばかりではないように思うのですが。