事業者団体ヒア・質疑3

○鈴木委員(公益社団法人日本医師会常任理事)
 その次の日本ホームヘルパー協会、全国ホームヘルパー協議会。似たような名前の似たような団体なので、どうして一緒にならないのかという気もするのですが、それは別にして、軽度者への生活援助の行く末ということが言われているわけですが、どちらの団体も資格要件を緩和して報酬を下げるという方向には反対とのことです。軽度者にも手厚いサービスが持続されれば一番望ましいのですが、それがなかなか難しい場合、例えば北欧などを見ても、軽度者へのサービスは、回数を減らしたりして効率化しています。そういう方向についてはどのようにお考えなのか、御意見を聞かせていただければと思います。

○青木意見陳述人
 最初の基準緩和というところでは、人材が不足している現状は、私どもも身にしみております。例えば元気な高齢者には、会社を退職したら介護の勉強をして、介護の分野で働いて、超高齢社会の支え手になってほしいという行政の願望もよく理解できます。一方、利用者の尊厳の保持と自立支援を目指す仕事に誇りを持って、かつ社会の評価を得ること、そしてそれに見合う労働対価を支払うことが訪問介護員の確保の基本要件であると考えています。
 人材確保の観点から研修時間を短縮しても、現状より報酬を引き下げることであれば、受講生が集まるとは思えません。身体介護に関する科目は学ばないにしても、自立支援に資する生活援助に必要な知識は学ぶわけであり、専門職として処遇すべきであるのに、生活援助の介護報酬を引き下げるべきではないと思っております。
 また、2つ目の諸外国においては効率化が図られている。確かに効率化を図ることは大変重要なことだと思います。しかし、日本においても、今、利用者とのコミュニケーションの時間をとることは利用者の生きがいにもつながって、大事なことだと思いますが、余りコミュニケーションをとれない、仕事を優先するという現状もあります。
 先日ドイツに行きましたところ、初めて介護保険の中に2~3年前から改めて家事援助が導入された、新しく位置づけられたと聞きました。そこは、どういう意味で新たに入ってきたのかというところを考えると、家事援助も非常に重要な分野であるのかなと思います。効率化については、日本でもサービスにおいて実施していると考えております。

○神谷意見陳述人
 今、シルバー人材センターとともに行いながら、軽度者の支援のほうも進めているのですけれども、なかなか視点が違うところが目立ちます。お世話するという観点がどうしても前面に出てしまい、自立支援というところがなかなか見えてこないのが現状であります。私たちがずっと大切にしてきたともに行う介護というところで、1回ヘルパーを利用することによって、ずっと継続していくというところには確かに疑問はあると思います。ケアマネジャー、包括が立てるケアプランが適切かどうかというところに対して、元気になったから卒業していくという観点をこちらから提供していくことによって軽度の支援者の回数は減っていくと思います。なので、入院やけがをしたり、病気で少し体調を崩されたときに支援が必要だということは今までと同じだと思いますけれども、それに卒業という観点をケアマネ等も一緒に考えていかないと、なかなか介護度が下がるというイメージにつながっていかないと思います。
 効率化については、生活援助に対してずっと時短のほうが進められており、ヘルパーが来ると忙しくなったねという利用者の声も聞くことがあります。寄り添うというところで、利用者の生活を点検するという観点から、ただ掃除をすればいいとか、食事づくりをすればいいという観点ではなく、利用者に寄り添って、利用者の生活、朝起きたときから夜寝るまでの生活を把握する上にはコミュニケーションスキルが十分だと思います。なので、今、現場では65歳、70歳のヘルパーさんが重度化している利用者のところにも訪問していっているわけですが、そういった方々の活用は今後軽度の人に向けていけばいいのかなということも思っております。

(たぶん、つづく)