財政制度等審議会の建議2

財政制度等審議会財政制度等分科会「新たな財政健全化計画等に関する建議」についての続きです。


(軽度者へのサービスの地域支援事業への移行)
 軽度者(要支援、要介護1・2)は生活援助サービスの利用割合が大きいが、こうした生活支援に関わるサービス等は、国による一律の基準によるサービス提供よりも、地域の実情に応じた、住民などの多様な主体によるサービス提供が望ましい。
 平成27年度から要支援者に対する訪問・通所介護は、総合事業に移行し、利用者の状態像や地域の実情に応じて、国による基準に基づく専門的なサービスだけでなく、基準を緩和したサービスや住民主体のサービスを実施することとなっている。平成29年度に全市町村が総合事業に移行しているが、まだ多くが国による基準に基づくサービスの実施にとどまっている。
 このため、今後、先行した地方公共団体の例も踏まえ、一定の時期までに利用者の状態像によって専門的なサービスが必要な特段の場合を除き、基本的に緩和型や住民主体のサービスに移行するなどの方針を国において定めるべきである。その際、単独では緩和型サービスの基準や住民主体の取組の企画・策定が難しい地方公共団体にあっては、都道府県が積極的に支援することにより、複数団体にまたがる事業の実施も検討する必要がある。
 また、介護予防・重度化防止にも配慮しつつ、軽度者のうち残された要介護1・2の者の生活援助サービス等の更なる地域支援事業への移行も進めていくべきである。〔資料II-1-21参照〕

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「生活支援に関わるサービス等は、国による一律の基準によるサービス提供よりも、地域の実情に応じた、住民などの多様な主体によるサービス提供が望ましい。」
とありますが、ここでは理由が明確にはされていません。
一見、「地域の実情に応じた」「住民などの多用な主体によるサービス」の方が利用者の利益になるのではないか、と思わせるような書きぶりで、主に国の財政上の都合から導き出された、というようなことは書いてありません。
が、住民などがボランティア的に担った方がコストが安くなるから、という意図なのは間違いないでしょう。

実際には、基準を緩和しようが、単価が低すぎて採算が合わない、となれば参入がないのは当たり前です。

それなのに、「基本的に緩和型や住民主体のサービスに移行するなどの方針を国において定めるべき」とか、
そういう机上で決めたことがうまくいかなければ都道府県に支援の責任を押しつける、とか、
本当にアホとちゃうか・・・

総合事業に移行した要支援者向けサービスでも問題山積みなのに、要介護1・2の生活援助を移行させようとするのは、無理がありすぎです。

そもそも、ホームヘルプサービスの類で、身体介護と家事援助(生活援助)を完全分離するのは、きわめて非効率です。

報酬告示上も、身体介護中心型、生活援助中心型であって、実際に提供されているのも完全に身体介護(あるいは生活援助)のみのサービスとは限りません。

身体介護部分が6割なら介護福祉士が、4割5分なら地域のボランティアが訪問、なんて
ほとんど意味がない線引きだと思います。

(つづく)