H28.7.20介護保険部会議事録(2)

つづきです。


鈴木(隆)委員桜美林大学大学院自然科学系老年学研究科教授>
(略)私は、予防医学の視点から軽度者への支援のあり方について意見を申し上げたいと思います。予防の重要性というのは、病気の予防、特に生活習慣病の予防とか、あるいは介護予防ということで、重要性に関しては論を待たないと多くの方々は御理解いただいていると思います。
 ただ、介護予防について言いますと、本当に効率的な介護予防、特に自立の支援とか、自立の維持を目的としたときの介護予防に最も効果的な対象者は誰かというと、今、ここで問題になっている軽度者の方々です。特に要支援あるいは介護保険を申請して非該当になられた方、特に後期高齢でフレイルと言われる虚弱の状態が忍び寄ってきている、そういう方々に対する予防の対策が一番効果的で、効率的だということは、はっきりしていると思います。要介護度合いが進んだ場合には、重症化は予防できるのかもしれませんけれども、自立というところに視点を当てた場合には、軽度者での効果は明らかに大きいということは、科学的研究からもよく知られた事象だと思っております。(略)

馬袋委員<民間介護事業推進委員会代表委員>
(略)訪問介護は、身体介護と生活援助が本人の自立または予防を基本的な視点として一体的に実施されるサービスです。それは、自宅へお伺いして状況を見て、生活援助の一部であっても、ごみ屋敷でケアはできないというのがありますね。すなわち、環境を整えながら身体的なケアが実施されていきます。そういった行為が一体的に行われる。その行為自体は、アセスメントにより、本人の日常生活の持続可能な内容に基づいて訪問介護計画に乗って実施されているサービスなのです。まずそこを一つ理解下さい。そして、訪問介護というのは、家事援助とか身体介護という部品を届けているのではなくて、一体的に行われているケアサービスであるということをまず認識しておかないといけないと思います。
 その上で、きょう議論されているのは軽度者と生活援助ですけれども、生活援助という行為そのものは、訪問介護はご自宅での生活援助について主体的にやっていますが、通所介護で生活援助というのはどう実施されているか。訪問看護では生活援助をどのように考えるか。
 例えば小規模多機能や看護小規模多機能、定期巡回などにおける訪問介護では、包括的な機能として生活援助は提供されています。そういった考え方から見れば、当然施設の中でも生活援助というのは、生活がされているわけですので実施されています。一部分の訪問介護だけの生活援助をどうする、こうするというのは問題であります。やはり生活援助というもの、どのように支援するのかというのは、提供されるサービスにおいておのおの違うものであり、そのサービスの持つべき一体的または部分的にも行われるものなので、そこは整理をして議論しないとおかしいと思います。
 それから、軽度者へのケアについては、軽度者で悪化せず維持を支援していること、軽度者として自立する支援そのものの行為です。軽度者にサービスを提供して、自立または機能を維持させていくことそのことが給付の抑制そのものになるということです。その点は整理しておく必要があります。
 また、グラフのデータの表示の内容について課題であるので確認をしたいのですが、参考資料の17ページ目を見てください。訪問介護における要介護別の類型の構成割合なのですが、これは例えば要介護1に対して、100%比率でどのサービスがどれだけの割合になっているのかのグラフです。介護の現場ではこの割合が多い少ないで仕事はしていません。要介護1から要介護5まである中で、日常生活が維持できる状況への生活援助という時間とともに、身体介護という時間が要介護度別にあるわけですので、私が調べましたところ、要介護1から要介護5まで各々で生活援助が行われた時間はほぼ変わりません。それに身体介護の時間が要介護が重くなるだけ増えているというのが実態です。
 ですので、生活援助そのものを見直すときは、要介護1、要介護2とか言われるような軽度者だけでなくて、生活援助そのものをどうするかという議論になりますし、要介護5までの対象の方にも生活援助をどのようにするかということを議論しないと、要介護1、2だけを議論して生活援助へのあり方ではないというのが1点です。
 最後に、20ページ目「訪問介護に求められる専門性」のグラフですが、最後の報告のときには全体の8割が専門性を有しないという文書になっていますが、20ページの上のグラフの中の生活援助で、掃除、洗濯、ベッドメイクのところでありますが、このグラフを見ていただくと、こちらはカラーなので見やすいのですが、何と知識を有しないという者は19%です。「基本的な知識、技能を備えた者」と回答しているものは全体の70%以上、それ以上を含むと80%です。すなわち、訪問介護の責任者は、全体的に、基本的知識や専門性が必要も含めて、8割は必要だと認識して回答しているのです。だけど、文書には20%と専門的な技術を備えた者60%を合わせて80%カウントし、専門的な知識を有しないとされていますので、グラフの見方と表現については十分留意して掲載していただきたいと思います。


馬袋委員の
要介護1から要介護5まで各々で生活援助が行われた時間はほぼ変わりません。それに身体介護の時間が要介護が重くなるだけ増えているというのが実態です。」
という発言は、私が過去の記事で何度か指摘してきたことと同じです。
比率では参考資料7ページのグラフ(下図。ただし、水平方向に圧縮しています。)のようになりますが・・・


イメージ 1

サービス利用の絶対値(時間)ではこんなイメージとなります。

イメージ 2


(つづく)