4/23議事録・地域区分

2015年4月23日 第121回社会保障審議会介護給付費分科会議事録

○武久委員 今後検討する課題について、幾つかお話をさせていただいたらと思います。
 まず地域区分のことですけれども、参考資料にも書いてありますように、国家公務員の出向といいますかそういうことによって、例えば田舎の人が東京に出てくるとか、逆に東京の人が地方に行くとかいうような場合であって、それは各地の生活水準及び消費者物価等の勘案は多少しないと誰も行かなくなるということがあると思いますけれども、地方へ行ったときに、利用者が一人もいなくても公務員はいないといけないという場合がありますし、要するに利用者がどれだけいるかということと全く無関係な区分になっているように、ここに書いてあることから見ると理解します。
 しかるに、この介護保険及び、医療保険もそうですけれども、特に介護保険では、都会であれば一人のヘルパーさんが1日10人回れる。地方へ行くと、アクセス経路が非常に長いために1日3人しか回れない。例えばそのようになりますと、一人の介護職員が得る一日の収入というのは当然大きな差が出てくるわけですけれども、逆に言うと、地方のほうがそういう意味では収入が少なくて、むしろ職員をカバーしようと思うとたくさんの給与を出さないと職員が集まってくれないという逆の現象が起こってくると思います。
 したがって、今まで考えられておりました公務員の状況による地方公務員の考え方をこの辺でがらりと改めていただいて、利用者を伴った実態に合わせていくべき時期が来ているのではないかと理解しております。そうでないと、人数が少ないところにはますます供給はなくなってしまって、地方創生どころではないと理解します。

(略)自由主義社会では悪い事業体の職場環境にいい職員が来ないというのは普通の場合でありまして、給与を非常に絞って過酷な労働状況にしているところには当然介護職員は集まらないわけですから、そういう意味からすると、そろそろこれは介護報酬の単位そのものに入れていって、自主努力によって改善していくべき時期に来ているのではないか。この2つにつきましては、本来の趣旨に戻っていただくような検討をここ3年間で行われる、また調査によってもそのような調査もしていただきたい。すなわち、特に地域加算については、実際に過疎地や、また地方によって従業員1人当たりの収入が一体どのぐらいあるのか、地域格差どのぐらいあるのか、職員当たりの給与はどのぐらいあるのかということを地域を細かく分けて資料を集めていただければおのずと答えは出てくるのではないかと理解しております。

○鈴木委員
(略)議論の中で私がかなり発言をさせていただく部分もありますけれども、集中減算の話ですね。
 これは非常に医療保険とは整合性がとれない話で、医療保険の場合はいいサービスを提供したところにたくさん患者さんが来るというのは当たり前なので、どうして介護保険ではそれを規制するのかというのがどうしても理解できないので、その辺は機能強化型の訪問看護ステーションのところで1つ不合理な部分が、整合性とれない部分が出ていると思うのですね。そういったところをどのように今後整合性をとっていくのか、そういうことはぜひ議論していただきたいし、それから小規模多機能も、私は時代とともに進化すると思っているのですが、それは昔の、当初の考え方をかたくなに守ろうとするというところが非常に私は問題だと思いますので、もう少しそういうところもしっかり調査していただきたいなと思っております。

○河村委員(東京都奥多摩町長) 平成27年度以降に随時検討が必要な項目として3つ上げられていますが、特に地域区分の在り方については、この分科会で何度も発言させていただきました。実際に今回の改定、あるいは前回の改定含めて、地域区分の考え方が非常に変化しており、地域の介護事業者は、今、非常に混乱しています。そういう意味で、私自身は、今までお話ししてまいりましたけれども、地域区分そのものを廃止すべきだと。地域区分を設けること自身がむしろ介護事業者に非常に混乱を招いていると思っております。
 本来、職員の処遇改善、あるいは介護人材の確保等々含めて、さっき武久委員が発言されましたように、介護報酬そのものでやるべきであって、それを細かく処遇改善加算をしたり地域区分をしたりすることによって、むしろ混乱を起こしています。奥多摩町のある西多摩地域には8つの市町村があります。この8つの市町村の中で、その地域区分は、前回とは違うところ、あるいは、今回上がったところ、前回と全く同じにしたところがあります。今、928の町村もそうでございますけれども、国の人事院の規則を運用することによって、そのものの考え方と地域で考えている実態がかけ離れていて、どうして地域区分という形で継続するのか非常に私は疑問を持っております。
 したがいまして、この委員会でも申し上げましたけれども、隣の市と隣の町、あるいは町と村がなぜ同じではないのかということです。人事院規則にそって、官公署のあるなしで決まっていくというものの考えで本当に一般の人たちが納得できるのか素朴な疑問を抱くと同時に、ものの考え方自身が私は間違っているとはっきり申し上げたい。
 したがいまして、地域区分の在り方をまず集中的に、実態を把握するのではなくて、そのものの考え方が本当に合っているのか、合ってないのか議論すべきです。6年間かけて地域区分をやってきたわけですけれども、3年ごとに変わっているわけです。そういう部分をもう一度見直しして、地域区分の在り方そのものがどうなのか先に議論して、その結果どういう調査をするのか、どういう把握をするのかということを、私はこの地域区分の在り方については十分議論してほしいと思います。
 また、もちろん、人材の確保という点では処遇改善をしていかなければいけないということは百も承知しております。介護をする職員の方々の給料が上がっていかないことには始まらないわけですから、それを全体的にレベルアップするとしたら、やはり基本に戻って介護報酬の中で改善するというのが筋ではないかと思います。そういう点では、様々な加算をつけることによって改善を図るというやり方はいかがなものかと思いますので、その辺りは今後の議論の中でしっかりと議論できるようにお願いしたいと思います。

○河村委員 もう一点。中山間地域島嶼地域では在宅介護サービスの12事業に民間サービスの算入はほとんどありません。私どもの町にもほとんど民間業者は参入してきておりません。それは、参入してきても採算に合わないからです。したがって、中山間地域島嶼地域の実態をきちっと把握していただきたいと思います。現実には民間事業者が参入してきてくれないものですから、それぞれの自治体が公費を使っているという実態があります。そういった部分を是非調べてほしいと思います。
 今期の介護保険料ですけれども、東京都の中で私どもの町の介護保険料が月額で二番目に高くなりました。それは、施設を利用するしか方法がないからです。したがって、月に6,200円という介護保険料を設定せざるを得ないのです。民間事業者が全然参入してこないから、そういうことが現実に起こっているのです。
 また、民間事業者の参入がないものですから、私どもの町では老人ホームの一つに委託をし、また、自ら社会福祉協議会に委託してデイサービスセンターを2つ開設しております。これも現実には町の公費をそこに出さざるを得ません。こういう実態もきちっと調べていただきたいと思います。民間事業者が例えば入ってくるとしても、うちは遠くて、隣の青梅市と約15キロあるわけですから、1日に1つか2つしかサービスを行えないわけです。それをどうするかというのが、中山間地域島嶼地域の大きな悩みでありますけれども、そういった地域は数は多くないですが、そうしたことが現実には起きているわけで、そういうこともきちっと調べていただき、議論して、それをどう改善するか、委員の皆さんに考えていただきたいと思っております。

○齋藤(訓)委員 私ども日本看護協会にも、中山間地域での訪問看護で、移動に非常に時間がかかり、民間の事業参入がないため、住民に訪問看護のニーズがあっても既存の事業所の体制がとれなくて、結局、エリアごとに、何曜日はここ、何曜日はここといったような形で、本当に苦肉の策でやっているという声が入ってきております。
 今、河村委員がおっしゃったとおり、大変苦労している状況ですので、この中山間地域につきましては、今までのように、加算などの報酬でインセンティブをつける方策で本当にいいのかどうかというのは再考の時期だろうと思っております。ですので、実態把握につきましては、保険者、事業者双方に調査をすることと、それから、近い将来、この地域がどのようになっていくのかといった将来予測もしながら、報酬以外の対策策定も必要になると思いますので、そういった調査設計が望ましいのではないかと思います。
(略)

○鈴木委員 先ほど内田委員が訪問看護の全体像が見えないという話をしましたが、なぜ見えないかというと、半分は医療保険で、診療報酬で行われているからです。ここでは半分の議論しかしてないので全体像が見えないのだと思うのです。例えばきのうの中医協で26年度の検証調査結果の報告がありましたけれども、前回の改定では規模の拡大という方向がとられたのですが、中山間地域では規模を拡大するとエリアがさらに広がってしまって、かえって非効率になることがあります。
 そういった場合は、グループで連携して対応することも必要ではないかという発言をさせていただきました。介護だけを見ていると、全体像が見えない場合があります。特に同時に両方から同じサービスを提供するような報酬がある場合ですが、今後医療介護の連携から一体化という方向になっていきますと、介護の議論だけでは全体像が見えないということがこれからも起きてくると思うのです。特に介護報酬は次は同時改定になりますので、ぜひ医療・介護が一緒に議論をするような場も必要ではないかと思います。
(略)

○武久委員 河村委員はどこか田舎のほうの御出身かと思っておりましたら、東京都の奥多摩ということで、東京にも過疎地があるのだなと認識いたしましたけれども、参考資料に書いてあるように、その地域の介護職員等の給与水準に照らし合わせているということですけれども、先ほど言いましたように、1日にできる数がしれていますので、出したくても高い給料は出せない。したがって、その水準になっている。ところが、最終的には、介護職員はそんな少ない給料ではだめなので、県庁所在地に近い方向に方向性として行ってしまう。したがって、過疎地の事業体は給料上げるのではなしに、消滅してしまうと、こういう状態であります。
 これが東京都でも起こっていることに私は非常に愕然としたわけですけれども、地方はもっともっと厳しいわけであります。この辺のところをやはりデータを出してそろそろ、先ほども申しましたように、実態的にやらないと、過疎地からはあらゆるサービスがなくなってしまう。当然、サービスがなくなれば人間は住めない、こういうことがないようにしていただけたらと思います。(略)