5/20議事録1・集中減算

2015年5月20日 第122回社会保障審議会介護給付費分科会議事録

○鈴木委員
(略)居宅介護支援事業所及び介護支援専門員の業務等の実態に関する調査研究事業についてです。前回の調査の報告書を見ても、特定集中減算の適用が少ないとあり、正当な理由がある場合が多いのではないかと書かれておりますが、実際は幾ら言っても改善されないので、現場ではケアマネ同士がケアプランを交換して対応している場合もあり、実質的に余り意味のないものになっています。質のいい事業所ほど不利益をこうむっているといますので、現場の実情をよく見て対応すべきということがわかるような調査にしていただければと思います。

○山際委員
(略)鈴木委員からも出されましたが、特定事業所集中減算の強化ということが今回の報酬改定で行われたわけですが、そこに関する調査についてケアマネへの業務への影響は非常に大きいですので、その実態について調査をされる予定になっているかどうかお伺いしたいというのが質問の1点目でございます。

 これは意見になるのですが、なぜそういうことを申し上げるかと申し上げますと、今、申し上げたとおり、ケアマネ業務への影響が非常に大きいということもあるのですが、ケアマネの公平・中立性であるとか、あるいは目指している地域包括ケア、あるいは利用者の状態へ適切なサービスを提供するという観点から実態的には少し逆行する事態も起きているのではないかと考えております。

 実例を申し上げますと、これはある東北地方の事業者あるいは事業所から寄せられている実態なのですけれども、これは訪問看護にかかわる内容ですが、訪看のなり手がなかなかなくて、この間、訪問看護事業所がかなり閉鎖をしてきているということで、一定の地域におけるシェアが高くならざるを得ないという実態がある。そうした中で80%の特定事業所集中減算の割合を超える状態も出てきているということで、そういう意味では御利用者さんにさまざまな説明をして、プランの変更なり等々をせざるを得ないという実態が出てきているということです。

 例えばその中では、30年来利用している方が、これは医療機関にかかっている方なのですが、訪看を変更せざるを得ないということで、こうした御利用者さんに御説明をするわけですけれども、なぜ自分が移動しないといけないのかということであるとか、事業所の都合で自分が今までなじみの方々、ケアプラン、それから訪問看護のところが変更しなければいけないということについては納得がいかないという率直な声も出されているということです。

 この中で、正当な理由で地域ケア会議で確認あるいは承認がされれば問題ないとなっているわけですが、実態的には現場の業務は非常に厳しいですので、業務的になかなかそうしたことが必ず担保できるかどうかというのはわからない。業務的な厳しさと地域ケア会議で確認がとれなかった場合には、いずれにしても変更せざるを得ないということがあって、前もってさまざまな手だてを打たざるを得ないという実態があります。ですので、この調査のところで今回行われた特定事業所集中減算の影響について、ぜひ調査をしていただければと思っておりますし、この点について確認をさせていだたきたいと思っております。

 あわせてなのですが、このことが非常に事業所運営にも大きな打撃、経営的な影響を与えるということで、ここの情報を寄せていただいた事業者さん、事業所については4つの居宅事業所を持っているわけですが、今の見通しだと年間で3,400万円の減収になるということになっています。4つの居宅を持っているということですから、1カ所800万から900万程度の減収になるということで、今までの収入全体の16%から17%の減収が想定されているということです。

 こうした状況ですと、今回目玉で置いた処遇改善加算、処遇改善についてもなかなか十分手が打ちにくいということにもつながりかねないので、ぜひ御利用者さんに対する適正なサービスの提供と、地域包括ケアで御利用者さん、医療、介護が連携しながらきちんとしたサービスを提供していくというのが狙いの大きな柱ですので、ぜひこの点については適正に運用できるようにお願いをしたいと思っています。ぜひ正当な理由のところでこうした医療的なケアの部分について追加ができないかということと、QAで適正化についてお示しをしていただくことができないかということで御意見を申し上げたいと思います。

○高橋振興課長
(略)
 特定事業所集中減算につきましては、この地域においてほかに事業所がない場合には適用しないということにもしておりますし、また、正当な理由、質の問題とか、そうしたところでその事業所を継続して利用する必要があるといったような場合には御利用いただけるような措置も講じてもおるところでございますので、しっかりした運用を図っていきたいと考えております。

 御質問の調査の中での話という部分でございますけれども、事業所調査の中で「居宅介護支援費の状況」とざくっと書かせていただいておりますが、どういった調査内容にしていくかというのはこれから検証委員会でも御議論いただきながら決めていくという段取りになりますので、今の山際委員の御意見、また先ほど鈴木委員からいただいた御意見なども踏まえながら、具体的な調査項目については検討していきたいと考えております。

○鈴木委員 今、山際さんが丁寧におっしゃったからそうお答えになるけれども、そうではなくて、こんな不合理なことはやめなさいということです。そのための調査をしてください。不適切な事業所をチェックするのだったら指導監査など別のやり方で行ってください。地域ケア会議も法定化されたのだから、そちらを使って行ってください。いい事業所ほど影響をこうむるのです。地方の頑張っている事業所ほど影響をこうむるのです。こんな悪法はやめるべきだと思います。それが前提の調査をしていただきたいと思います。強い要望です。

○武久委員
 (略)先ほどからいろいろ出ておりますが、振興課長にお聞きしたいのですけれども、今回の改定の80%とか同一法人であればどうのこうのとか、これは独立ケアマネを推進したいということなのでしょうか。それとも、いわゆる1カ所のところへ集中するのを避けるということは囲い込みを避けたいということだろうと思うのですけれども、独立ケアマネにしていく方針だというのであれば、そうはっきり言っていただいたほうがわかりやすいのです。

 当然、ここの質問の中に例えばこれは独立の居宅の介護支援所、それか併設、いわゆる法人がつくっているのかというのがありますけれども、ここを非常にはっきりしていただかないと、同一法人で居宅があったら同一法人のサービスがいいと思ってそのサービスをケアマネが選ぶというのは、これはある意味当然でないかと思うのです。それをわざわざ先ほどの方がおっしゃったように、いろいろなところに分けてお願いするということをすることによって、この減算を免れるということは本末転倒ではないかと思います。ここをどういうわけでこのような改定をしたかについて御質問させていただきたいのと、それがこの質問の平成27年度の調査の中に出るような形にしていただきたい。
(略)

○高橋振興課長
(略)
 今、御質問いただいた特定事業所集中減算の趣旨ということで、独立ケアマネとの関係という御質問でございましたけれども、一定の法人に属していない独立のケアマネさんというのは事業所ベースで見て全体の1割ぐらいしかございませんし、特段、この事業所集中減算で特に独立ケアマネをどうしていきたいとか、そういうことではないと考えております。

 大きな法人グループに属しているケアマネ事業所、ケアマネジャーさんであっても、公平・中立にケアマネジメントをしていただくということは当然必要だろうと思っておりますので、もちろん一定の正当な理由がある場合は結果的に集中するということも当然あろうかと思っておりますけれども、そういった特段の事情がないような場合にはバランスよくその方の状態に応じたマネジメントをしていただくという意味で、こうした集中減算があると考えております。