事業者団体ヒア・議事録4

○神谷意見陳述人(全国ホームヘルパー協議会会長)
 介護給付分科会の論点に対する意見として、生活援助を中心に訪問介護を行う場合の人員基準の報酬については、生活援助の専門性を踏まえた慎重な検討が必要だと思います。生活援助中心のサービス提供では、認知症の高齢者や精神障害の方への支援も数多くあり、専門性が求められるのが実態です。生活援助は重度化予防につながっています。専門職による適切なアセスメントに基づいた支援が提供される体制を保つことが必要です。そのためにも専門性の高い人材の育成が重要だと思います。
 人員基準を緩和される議論に伴い、緩和された基準に応じた人材を養成する簡易な研修を実施することが想定されています。生活援助中心型に対応できるために、介護職の裾野を広げる必要性については理解できますが、総合事業へ移行した利用者に対しても、市町村における生活支援の担い手養成講座研修修了者が、実際には自立支援に向けての活動ができていない現状もあります。
 自立支援の視点が低い人材が増加することを非常に懸念しています。自立支援の視点が盛り込まれていない支援は、利用者の重度化を加速させるとともに、今まで培ってきたホームヘルパー全体の地位を低下させる危険性もあります。

 しかしながら、今までホームヘルパーの高齢化について、大きな課題として取り上げていることがありましたが、65歳以上の元気なホームヘルパーの活躍が今後はますます期待できると思います。自立支援が目的である介護保険事業で長く利用者を支援してきた強みもあります。対人スキルを身につけ、コミュニケーションを円滑にとり、どう声をかけたら利用者ができることがふえるか、地域にも発信していく力が十分あります。地域のマンパワーとして期待もできます。
 シルバー人材センター等、多様な担い手による支援が可能となる総合事業において、訪問型サービスでは利用者の状態の改善及び生活の課題の改善、それに向けた取り組みを専門職として行っていけると思います。
 今後、事業対象者がふえ、生活支援訪問サービスが利用できるように、介護人材の確保に向けて生産性向上、業務の効率化等、明確にしていくことが必要だと思います。
 本気で介護予防に取り組むことに当たり、65歳以上の元気なホームヘルパーの活動はとても有意義だと思います。訪問介護における支援は、生活援助と身体介護の知識を総合的に用いながら利用者の状況の観察と報告を行い、自立支援の視点を持ってサービスを提供することが重要だと思います。
 何かしらけがをしたり、病気をすることもあり、入院することもあるかと思いますが、支援を受けることによって困難な時期が過ぎて、元気になることを望みます。卒業という観点も必要だと思います。

 今後、簡易な研修で基準緩和の人材を養成するのではなく、介護職員初任者研修の受講生に対して助成を行うなど、高い専門性を持った人材の育成を推進することが必要だと考えます。
 さらに、ホームヘルパーの専門性の魅力や理解を深め、人材確保につなげることを目的に、研修時にホームヘルパーの同行訪問を盛り込むことが有効だと考えられます。現在は同行訪問が省かれていると思いますので、そこの同行訪問のところはぜひ考えてほしいと思います。

 ケアマネジャーとホームヘルパーの連携について。同じ方向を向いてサービスを提供することが利用者の介護度を下げるという自立支援の結果になっていくと思います。サービスを提供することだけではなく、今後はホームヘルパーが支援することで前向きな生活ができていくという成果を積み重ねていきます。功事例をまとめてデータ化もしていけると思います。

(つづく)