訪問介護の論点10(7.5分科会)

先ほどの伊藤委員の質問に対する事務方の回答は、議事録では(その次の)石田委員の発言の次に記載されていますが、ここでは先に書きます。


三浦振興課長 伊藤委員から3点ほど御質問をいただいておりますので、お答えしたいと思います。
 まず、1点目、総合事業の実施状況の中で、27年4月実施の78自治体と28年4月の514自治体を比べた結果、従前相当ではないサービスの割合が大きく下落しているではないかという御指摘がありました。その理由につきまして、私も定量的に、あるいは具体に一つ一つを潰したわけではないのですけれども、聞いております限りでは、そこの総合事業を開始する前の段階の準備状況、そこに至るまでの体制に違いがあるという御意見、お話をよく承っているところであります。
 2点目、生活援助あるいは身体介護について、それのみなのかという御指摘です。ルール上は、私どもは資料を簡略にするために例えば参考資料2ページ目などはつくっておりますが、基本的に身体介護に付随する生活援助、あるいは生活援助に付随する身体介護というのは当然に発生し得る場合がございますので、表現といたしましても、給付としては身体介護中心、生活援助中心という形になっているところでございます。
 これは3点目とも関係します。3点目で100回以上というものの実態、きょう議論の中で出てくるかと思っておったのですけれども、個別にお一人お一人のケアプランなどをつぶさに見るのは、個人情報との関係がありますのでできておりませんが、ここに挙がっておりますような自治体、全てではありませんけれども、ある程度確認をいたしました。先ほど田部井委員からお話がありました、独居で認知を抱えた方、あるいは老老の世帯において、一例を挙げますと、1日3回行かなければいけない、1日3回の理由といたしまして、例えば服薬の支援をしに行く、コンプライアンスをとりに行くために朝昼晩訪問し、それが毎日になると、それで3掛ける3で90回になるわけです。それにプラスアルファの訪問が入った結果100回を超えるケースがあるやに聞いております。ただ、いずれにしても、全体観のあるお話はまだできておりませんので、引き続きどのようなことができるか考えたいと思います。

石田委員(高齢社会をよくする女性の会理事)
 論点の最後から二つ目の○です。これまでも委員の皆様からいろいろ御発言がありましたが、身体介護、そして生活援助の役割分担について、生活援助の中身、参考資料の3ページにあります老計10号の詳細をみますと、「役割分担」という文言よりも「機能分担」というほうがもう少し的確かなと思っております。どのような機能を誰が担うかというところをもう少し細かくきちっと整理して、それらの機能を多様な人材が分担するという考え方が重要ではないかと思います。そして絶対的に人材は不足していますので、ボランティア等を含む多様な方々の御協力や参入というのが絶対必要になってくると思います。プロしかできない機能はプロフェッショナルが担い、そうでない人でもできる機能をサポーターやボランティアなどに振り分けていくといった機能分担の具体的な方法や事例などを示していくというのがとても大事なのではないかと思っております。
 そして、論点の一番最後にあります身体介護における自立生活支援のための見守り的援助。これも老計10号の身体介護の1-6というところにあるのですが、実際に直接的なケアをしていない場合においても、見守りの中で利用者の状況を的確に把握できる、何が問題なのかということがちゃんとわかる、今後どのような状態になるかを予想できる。こうしたことができるのはプロのプロたるところであって、こうした専門的な機能こそはプロに任せなければいけないということであると思います。
 そのように考えていきますと、例えば有償とか無償のボランティアの方々のマンパワー、協力をいただくことで低く抑えられた費用については、こういったプロの方々への人件費に反映されていくということも忘れてはいけないことで、そこを押さえて、例えばサービスの低下、報酬の低下ということにつながっていかない仕組みを考えていく必要があると思っております。


<コメント>
各委員の発言については、だいたい以上のとおりです。
さて、これをどのように考えていくか。

ところで、厚生労働省の三浦課長。
あなたがたが「認知を抱えた方」なんていっては駄目でしょう?
いや、「認知症の方に対する差別発言」ということではなく、「認知能力等が低下した方」が認知症なので、「認知の方」「認知を抱えた方」というような表現は、認知症の方を指す正確な言葉ではありません。

ときどき、そこらへんのケアマネやヘルパーや看護職員なんかが「あの人は認知なんで」などと間違った言い方をすることがありますが、厚労省職員(しかも課長級)がそれでは示しがつかない。