訪問介護の論点9(7.5分科会)

伊藤委員(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長)
 生活援助中心型サービスの人員基準、報酬についての検討ということですけれども、きょうもお話がありましたように、これは介護離職ゼロと、高齢者、要介護者が住みなれた町でできる限り在宅生活を続けられるようにという、この2点の政府の方針に基づいて慎重に検討していかないといけないと思っています。
 この人員基準、報酬については、こういうお題なものですから、資料1の中からも申し上げないといけないのですが、人員確保難という問題意識から設定されております。そうなりますと、介護人材の需給推計、2015年6月に出されたものがございますが、2025年に37万7,000人ギャップができるというものですけれども、この場でも何度も申し上げていますが、その後、有効求人倍率の上がり方については、特に介護の分野が高くなっていますので、この需給ギャップが拡大している可能性があると思っています。まず、基礎資料として再推計をしていただく必要があると思います。
 人材確保について資料が参考資料1のほうにいろいろあるわけですが、ボランティアの数が62ページのあたりに出てまいります。直感的にこれは過大評価ではないかなと思ったので、社会生活基本調査を見てみましたら、その数字のとおりでした。古い数字ではあるのですけれども。しかし、これが年に1~4日というものまで含んだ数字ですので、月に1回だと、65~74歳の部分で100万と書いてありますが、70万ぐらいになりますし、週1回の活動ということになると19万人ぐらい。そういうことをもう少し丁寧に見ていく必要があると思います。
 ここで何度も申し上げていますけれども、生産年齢人口が減る中で、労働力人口の確保に各業界、企業が躍起になっていますので、ボランティアという形でその確保ができるのかという点について冷静に見ていく必要があると思っています。
 人材確保対策となり得るのかということですが、基準の引き下げを行って、結果として報酬の引き下げまで行って、その担い手が本当にいるのか。全国で訪問介護事業所が引き続きサービスを続けるということになっていくのかというのは、非常に不安を持っております。要支援者の総合事業の調査がこの場で出されていますが、2回出された、2015年4月以降分の78自治体と2016年4月時点で実施している514自治体を比べてみますと、住民主体による支援を行っている事業所が11.4から3.9%に下がっているようです。かなり大幅に下がっているので、この辺、自治体によって人材確保のしやすさ、多様な担い手の住民主体の人材確保にはそれぞれ事情が大きく違いがあるのだろうなと思いますので、大きく下がった理由について、もしわかりましたら御報告いただきたいと思います。
 こういう実施状況、先ほども御指摘がありましたけれども、さらに実施が進んでいると思われますので、ぜひそういったものを含めて検討していきたいと思います。
 人材確保も、ここに参加されている事業団体の代表の方は実感されているとは思うのですけれども、介護労働安定センターの調査でもその点は拡大しておりまして、賃金の低さが確保の課題という点が理由として挙がっておりますので、十分な処遇が行われない限り人材確保は厳しいというのが現実ではないかと思っております。
 肝心なのはそのサービスの中身のことであります。先ほどから指摘があります54ページのところに介護保険サービスとして継続する必要性があるというものは、身体介護なしでも75.4%ということです。一切身体介護がないといっても、本人や家族の要望ではないということもここの調査で示されておりますので、要介護者の心身の状態や生活環境などに応じてきちんとケアプランに基づいて、質の確保されたサービスを行っているという状況がこの資料で読み取れると思いました。
 生活援助中心型の議論をしていると思うのですが、財務省からの資料だと、生活援助のみという形で繰り返し出てまいります41ページ、42ページとか、そういう生活援助のみという報酬体系があるのかどうか。ここははさみで切り離せない話だと先ほども指摘がありましたように、介護の世界は明確に切り分けるというより、日々の状態とか要介護者、利用者の状態などに応じてヘルパーがその場で対応できる、そういう余地を考えてつくられていると思っておりますので、そういった観点が非常に重要だと思っております。
 今は論点の1つ目のことだけをずっと言っていたのですが、2つ目のことで言いますと、1カ月で101回ということについてすごく取り出して指摘していますが、これはどういう事情がある方なのか。こういう資料のつくり方自体が人権にかかわるのではないかというぐらい心配ですが、101回必要としている方がどういう事情にあるのかということを、きょう時間がなければきょうでなくてもいいですが、お示しいただきたいと思っています。生活環境ですとか抱えている困難な状況ということがあるのではないかと思っています。上限を超えたら自費ということでは在宅生活を続けられなくなってしまうと思いますので、慎重に検討が必要だと思います。
 3つ目の○、集合住宅の話ですが、これは先ほどからもっと丁寧ということでしたが、私もそう思っておりまして、大阪府のサ高住という特定施設の話を全国の在宅サービスと比較しておりますが、大阪府のサービスとの比較ということも見ていきたいですし、なぜ高くなっているのかということもきちんと分析していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後、見守り的援助ということで、これはいいことではないかと思っております。ただ、1-6の自立生活支援のための見守り的援助というものが実際居宅で行われているということをどのように履行確保を確認できるのかという点が非常に論点にあるかなと思っておりますので、そういったことも含めて検討していく必要があると思います。


<コメント>
紫色の発言(質問)については、後で厚労省事務方が回答しています。次の記事で。

(つづく)