訪問介護の論点6(7.5分科会)

瀬戸委員(全国老人福祉施設協議会理事・統括幹事)
 まず、論点の1つ目、生活援助を中心とした場合の人員基準をどう考えるかですが、生活援助のみに着目した緩和については反対をしたいと思います。御存じのように、訪問介護では生活援助も含めて一体的にサービス提供を行うことで、さまざまな生活課題を発見して、日々の生活に寄り添ったケアを提供しています。こうしたかかわりは、まさに介護の専門性ですので、生活援助だけを切り離す、あるいは専門性は要らないということにならないと思います。
 3つ目の論点の集合住宅に関してですが、参考資料44~46ページにあるような状況を考えれば、やはり是正すべきだと思っています。現在の訪問介護での集合住宅における減算のみだけではなく、例えば一定回数までは出来高で、その回数を超える場合には上限設定、包括報酬という新たな報酬体系も設定すべきではないかと思っています。

齊籐(秀)委員(全国老人クラブ連合会常務理事)
 資料の49ページ、生活援助サービスの利用者の状態をあらわしたデータでありますが、権利としてこのサービスを使うというよりも、80歳、85歳、90歳と年齢を重ねる段階でこういうサービスを求めている。しかも、その段階では要介護1、2という比較的まだ頑張れる段階なのでありましょう。
 50ページを見ると、田部井委員のお話にありましたように、認知症の方が3割弱いらっしゃる。ほかにもいろいろな病気を持っておられる。こういう方々が利用される方々でありまして、決して何かのサービスありき、権利として使うという気持ちで使っているものではないと見るべきで、むしろ生活援助は重度化予防に資すると評価できるものではないかと思います。そういう意味では、生活援助の評価が少し低過ぎるのではないかなと、先ほど来の御意見を聞きながら感じております。
 しかし、その上で、資料にありますように、人員の問題で考えますと、なかなか訪問看護が集まりにくい。平均年齢も高くなれば、60歳以上の方々が相当数出てくる。また、離職率も決して低くないという課題がある。その中で、介護人材を確保していくことと質の問題、または人員の基準を緩和することと報酬の引き下げの問題ということで、なかなか意見の一致が難しい問題ではありますが、要支援1、2の総合事業化に伴って、いわゆる多様な方々が関与しなければ、この地域包括ケアというのは成り立たなくなっているというのが現実であります。この現実から考えますと、やはり人材の有効利用、役割と責任の分担というのは避けられない問題であろうと考えます。
 その上で、しかし、サービスの質を落としていいということとか、報酬はどうでもいいということを申し上げるつもりは全くなくて、それも大事でありますので、どういうふうにしてこの道を探っていくのか、事業者との共存の道をどう図るかということがこれから求められていくことだろうと思っております。
 2つ目に、頻回利用のことについて指摘されているわけでありますが、41ページの資料で御指摘がありますように、31回とか100回が多いとか少ないという数字の議論がありますけれども、これが本当に妥当性を欠くものなのかどうかという検証がなされなくて、回数のことだけで多い少ないと言っているのは、理解に苦しむというか、判断に苦しむわけでありますので、こういうものがどういう実態にあるのかということをよく調べていただいた上で、不適切なものは当然是正していくし、必要なものについての認識も深めていただく必要があるのではないかと思います。
 集合住宅における問題でありますが、これは全て同じようなことで不適正な利用があるというふうには考えませんが、大阪府の例にあるような形で、保険者が集中的なケアプラン点検をするということも極めて大事だと思いますが、その前に、例えばサービス利用が平均的な区分支給限度額を大きく超えている場合などは、要介護認定の有効期間を短くして、本当に公平・中立なケアマネジメント、ケアプランがされているのかどうか、点検の機会をふやしていくということも大事ではないかと思います。
 さらに、集合住宅を取り扱う居宅介護支援事業所、後の議論になっているようでありますが、ここにも減算の仕組みを入れたらどうかという趣旨の内容がありますが、私はそれよりもむしろ、主任ケアマネの配置を条件として、適切なケアマネジメントや生活支援の適正利用を促進していくということへ道筋をつけていくというのが筋ではないかということを申し上げておきたいと思います。


<コメント>
生活援助だけ切り離して議論するのは不適当、とか、頻回利用について(回数のことだけではなく)本当に妥当性を欠くものかよく調べてから・・・というのは、そのとおりと思いますが、「なかなか訪問看護が集まりにくい」というのは、この議論についていえば言い間違いか事務方の作成誤りかどちらかでしょう。
もちろん、訪問看護訪問介護員と同程度か、それ以上に集まりにくいとは思いますが。

(つづく)