訪問介護の論点2(7.5分科会)

本多委員(健康保険組合連合会理事)
 論点の1と2にも若干関係しますが、参考資料の41ページにあるように、生活援助のみの利用が、月31回以上の利用者が6,600人程度、さらには月100回を超えて利用されているケースもある状況を見ると、必要以上のサービスが提供されていないか、過剰なサービス提供はかえって自立支援の阻害になるのではないかという懸念があるところです。
 介護保険創設時におきましても、介護を伴わない家事援助は介護保険に入れる必要がないのではないかという議論もあったと聞いておりますが、地域包括ケアシステムにおきましても、生活支援や介護予防については地域で担うこととなっていることから、軽度者への生活援助については段階的に、地域全体で支えるような方向へ移行させていくことが必要ではないかと思います。
 介護人材の不足や制度の持続可能性という課題に対応する観点からも、生活援助を中心に訪問介護を行う場合の人員基準を緩和し、介護専門職と生活援助を中心に実施する人材の役割分担を図ることが必要であると思いますが、サービスの質の低下にも留意しつつ、介護報酬についてもそれぞれの役割を踏まえた適正な設定をしていくべきだと思います。
 論点2に関係して、生活援助の必要性は理解するものの、財源は限られていることから、今後は訪問介護については中重度者への給付に重点化していくべきだと思います。41ページに、訪問介護のうち生活援助のみの利用状況とありますが、要介護度別の最高回数や利用回数等のデータを踏まえて、要介護度別に、例えば1日の算定可能な報酬の上限設定などの検討も必要ではないかと思います。
 論点3に関係しますが、集合住宅におけるサービス提供については、参考資料の29ページにあるように、同一建物減算の算定が平成26年は2%弱だったのが、2年後には約21%と急増しています。こういった実態や、8ページにあるように、訪問介護の請求事業者のうち営利法人が約7割という実態から、サ高住や有料老人ホームなど集合住宅に併設する事業者が急増し、十分な収益が見込まれているのではないかと想定されるところです。
 44ページの大阪府の調査結果や今後の実態調査を踏まえて、サ高住や有料老人ホームについて、さらなる減算を行うことについても検討すべきだと思います。

東委員(全国老人保健施設協会会長)
 私も訪問介護につきましては、今後独居のお年寄りや認知症高齢者を抱えた老老介護の世帯が急増することを考えると、身体介護にしろ、生活援助にしろ、非常に重要なサービスだと認識しております。
 しかし、本多委員からも今ご発言がありましたが、参考資料1の41ページに「生活援助」のみの利用状況を調査した結果、1人当たりの平均利用回数が月31回以上の利用が6,600人、それから中には月100回を超えて利用されている方もいるとのデータが示されております。これほど訪問しなければいけない例があるのかなと疑問に感じます。この訪問先が独居の方でどうしてもこれだけ訪問が必要だったということなのか、集合住宅でこのような例が多いのかということで、集合住宅とそれ以外とに分けたデータをお出しいただくとありがたいと思います。
 さらに、参考資料1の29ページの「訪問介護サービスにおける同一建物減算の状況」を見ますと、請求事業所が21%、受給者数が15.8%、訪問回数が34%ということは、単純に考えると、集合住宅の場合は、お一人当たりの訪問回数が非常に多いのかなと考えてしまうのですが、そういう考えでいいのかどうか、後で教えていただきたいと思います。
 そういう意味から、資料1の6ページの論点にもございますが、集合住宅におけるサービスの適正化というのは、ぜひともやるべきだと思います。こういうところでお金が無駄に使われて、ほかに影響を及ぼすということがあってはならないと思いますし、自立支援という考え方に基づくと、過剰なサービスを提供して、どんどん要介護度が悪くなるようなところにはしっかりとペナルティーを与えるべきだと考えます。

田中分科会長 参考資料1の29ページについて質問がございました。お答えください。

三浦振興課長 東委員のお見込みのとおりであります。


<コメント>
「集合住宅の場合に利用回数が多い例が多い」ということを知っていても、委員から聞かれない限り事務方は説明しないんですね。
生活援助(のみ)で頻回に利用している場合が目立つから(集合住宅以外の)一般サービス全体を制限しよう、という意図が事務方になかったでしょうか?

ところで、本多委員のところで茶色(私のニュアンスとして多少の疑問、というか慎重)の部分については、後に田部井委員の反論があります。

(つづく)