今後検討したい、ってよ

2017年11月1日 第149回社会保障審議会介護給付費分科会議事録より
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000188275.html

○稲葉委員 民間介護事業推進委員会です。
 要望を2点、質問を3点ほどさせていただきます。
 まず、生活援助中心型の件ですが、人材や質の確保のために、今回の報酬改定では悪くても現状維持を要望します。

 続きまして質問です。資料1の6ページの対応案まる4に書かれておりますが、新たな研修課程を創設し、その研修修了者には生活援助中心型サービスを担っていただくこととされております。
 そこで、この研修修了者が1人で生活援助を行うために利用者宅を訪問したところ、例えば、トイレの対応などでやむを得ず身体介護サービスを行わざるを得ない事態もあり得ると思いますが、この場合の対応について、国としてはどのようにお考えなのかをお聞かせください。これが質問の1点目です。

 続きまして、同一建物等居住者への減算幅見直しについてです。
 これまで、同一建物等居住者に対する不必要なサービス提供など、一部の不適切事業者の存在が指摘されてきましたが、減算幅の拡大では、この不適切事業者の排除にはつながらないと思います。逆に不必要なサービス提供が増えないかという危惧もあります。
 したがって、不適切事業者への管理や指導には、いま一層取り組んでいただきたいと思うともに、減算幅の見直しにつきましては慎重に進めていただくことを要望いたします。

 続いて質問です。
 サービス付き高齢者住宅などは、国土交通省によって、急増する高齢者向けの安心で自立可能な住まいの確保を目指し、法律上位置づけられ、整備されてきたものです。今回の新たな提案によって、その整備にブレーキがかかるようなことになると、地域包括ケアシステムの推進に支障が出てくると思われますが、この点を国としてどのようにお考えなのかお聞かせください。

 続きまして、資料1の24ページの対応案まる3についてです。
 「サービス提供責任者は、提供時間を記録するとともに、著しくプラン上の標準時間と乖離している場合にはケアマネジャーに連絡し」と書いてあります。多忙な業務中に、ケアマネジャーへの連絡が頻回に求められるようなものであれば、サービス提供責任者の役割が過重になって事務的な混乱を来すとも思われます。そのようなことがないような取り扱いになるよう十分留意をした上で、明確化は図られなければならないと考えます。
 そこで、ここに書かれている、「著しく乖離」ということは人によってさまざまな考え方が予想されると思うので、そのことによって現場が混乱しないように、この「著しく」について国としてどう考えているのかをお聞かせください。


○込山振興課長 振興課長でございます。ありがとうございます。
 1点目の御質問が、御提案を申し上げている生活援助向けの新たな研修を創設して、その研修の方が利用者宅で急に身体介護サービスを求められた場合にどうするのかというお話ですが、基本的には今後、この点等を含めまして検討をするということだと思います。
 ただ、現状も生活援助サービスにつきましては「生活援助中心型」という言い方をさせていただいておりまして、いわゆる生活援助に加えて若干の動作介助を行う、例えば体位変換等を行う場合は、生活援助中心型という形の扱いとされています。
 こういった考え方も参考にさせていただいて、今おっしゃっていただいた生活援助で動いていただきながら、身体介護の必要性が生じるようなことをどのように考えればいいのかは、今後、検討させていただきたいと考えております。

 2点目のサービス付き高齢者住宅に関するお尋ねでございますが、お話にございましたように、国土交通省を初めといたしまして、この住宅の整備は国の政策としてもきちんと進めているところでございます。
 ただ、今回の減算の御提案等につきましては、先ほども申し上げたとおり、移動にかかるコストの短縮、移動の軽減等による効率化に着目して減算幅を考えさせていただいているところでございますので、こちらはサ高住そのものの施策の推進と減算の位置づけは矛盾するものではないと考えてございます。

 3点目でございます。
 サービス提供責任者の提供時間が標準時間と乖離した場合に、ケアマネさんに報告するという点ですけれども、余り頻回に報告する必要が生じると負担になるのではないかというお尋ねだったと思います。この点につきましては、「著しく」という部分につきましても、どういう程度かは今後の検討となろうかと思いますけれども、常識的に考えて、毎日毎日、その都度その都度報告しなければいけないのは確かに大変なお手間になりますので、そういった負担感との兼ね合いも考えて検討したいと思います。


稲葉委員の最初の質問は、当然の質問です。
このまま議論されていなかったら、報酬改定告示のパブリックコメントのときに指摘しようと思っていました。

「身体介護」といいながら(生活援助を含んだ)「身体介護中心型」、
「生活援助」についても同様に(身体介護を含んだ)「生活援助中心型」、
そんなことは最初からわかっていたことです。

生活援助のみで身体介護を行わないことを前提に短時間の研修で養成する修了者が、「若干の」とはいえ身体介護部分を提供することが可能なのか。

ごく短い時間であったとしても、身体介護を行うのなら転倒その他の危険を伴う場合があります。

だから、本当は生活援助用の短時間養成過程というのは意味がない。
意味がないというのが言い過ぎなら、きわめて効率が悪い。

それにしても、こんな重要なことを、今後検討する、という程度の答弁しかできない振興課長。

厚生労働省が(組織としては)賢くないのはわかっていましたが、あきれるばかりです。

検討してから出して来んかい!

少なくともこの「生活援助専用ヘルパー」の件については、今回の改定では無理で、延期すべきです。