特定事業所加算の(ヘルパーへの)伝達と報告

訪問介護などの特定事業所加算の要件が難しい、という声は、平成21年報酬改定時からありました。
このうち、サービス提供責任者(サ責)からヘルパーへの伝達と、ヘルパーからの報告については、こちらの記事(と、その次の記事)で触れました。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/21808866.html
 
告示上の要件は、21年改定時から24年改定時にかけても変わっていません。
(規定する告示は、平成12年厚生省告示第25号から平成24年厚生労働省告示第96号に変わっています。)



三 イ(2)(二)
 指定訪問介護の提供に当たっては、サービス提供責任者が、当該利用者を担当する訪問介護員等に対し、当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項を文書等の確実な方法により伝達してから開始するとともに、サービス提供終了後、担当する訪問介護員等から適宜報告を受けること。


が、その留意事項通知(平成12年老企第36号)は、24年改定時に加筆されています。
{青色}の部分が追加箇所です。



第二 2(17)ハ
 文書等による指示及びサービス提供後の報告
 同号イ(2)(二)の「当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項」とは、少なくとも、次に掲げる事項について、その変化の動向を含め、記載しなければならない。
 ・利用者のADLや意欲
 ・利用者の主な訴えやサービス提供時の特段の要望
 ・家族を含む環境
 ・前回のサービス提供時の状況
 ・その他サービス提供に当たって必要な事項
{ なお、「前回のサービス提供時の状況」を除く事項については、変更があった場合に記載することで足りるものとし、一日のうち、同一の訪問介護員等が同一の利用者に複数回訪問する場合であって、利用者の体調の急変等、特段の事情がないときは、当該利用者に係る文書等の指示及びサービス提供後の報告を省略することも差し支えないものとする。
 また、サービス提供責任者が事業所に不在時のサービス提供に係る文書等による指示及びサービス提供後の報告については、サービス提供責任者が事前に一括指示を行い、適宜事後に報告を受けることも差し支えないものとする。この場合、前回のサービス提供時の状況等については、訪問介護員等の間での引き継ぎを行う等、適切な対応を図るとともに、利用者の体調の急変等の際の対応のためサービス提供責任者との連絡体制を適切に確保すること。}
 同号イ(2)(二)の「文書等の確実な方法」とは、直接面接しながら文書を手交する方法のほか、FAX、メール等によることも可能である。
 また、同号イ(2)(二)の訪問介護員等から適宜受けるサービス提供終了後の報告内容について、サービス提供責任者は、文書{(電磁的記録を含む。)}にて記録を保存しなければならない。


伝達や報告の回数については、私の記事(上のリンク)に近い考え方が出されています。
さらに、24.3.16のQ&Aにも、同じ方向性のものがあります。



問13 特定事業所加算の体制要件として、サービス提供責任者が訪問介護員等に対して文書等による指示を行い、サービス提供終了後、担当する訪問介護員等から適宜報告を受けることとされているが、毎回のサービスごとに行わなければならないのか。
(答)
 サービス提供責任者は、サービス提供前に訪問介護員等に対して文書等による指示を行い、事後に訪問介護員等からの報告を適宜受けることとしているが、下図AからCまでに示す場合については、サービス提供責任者が文書等による事前の指示を一括で行い、サービス提供後の報告を適宜まとめて受けることも可能である。
 
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これらは、24年度改定時から緩和されたというよりも、21年改定時からあった(国が想定していた)考え方を明示した、と考えるべきでしょう。
(おおもとの告示の文言自体が変わっていないことに留意。)


では、「当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項」の内容は、といえば、
例示されているもの(その変化の動向を含む)のうち、

*利用者のADL/意欲/主な訴え/サービス提供時の特段の要望
*家族を含む環境

については、変更があった場合のみでもOK。
(「利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達・・・」などについては、定期的な会議で行われているはずですし。)

*前回のサービス提供時の状況

は、必須です。
ただ、毎回詳しい情報が必要かといえば、そうでもないと思います。

たとえば、看取り(ターミナル)期の方にとっては、
「お変わりありません」というのも、重要な(そして、ありがたい)情報ではあります。

また、以前にも書いたように、記録・保存義務があるのはサ責ですが(ヘルパーからの報告は文書とは規定されていない)、
「電磁的記録を含む。」と明示されたこともあり、通常の記録(基準省令第19条関係)とは別ものと考えるべきでしょう。
もちろん、この加算は個々のサービスの質の確保を目的としたものであり、
そのために通常の記録とともに保存することを排する意味ではありません。