H30障害報酬パブコメ結果3

4.障害福祉サービス等における横断的事項

○ 食事提供体制加算は実態調査を行った上で再検討するとされているが、障害基礎年金2級の人はこの加算がなくなると、何かあったときに医療費も払えない状態になったり、高齢になってオムツが必要になったときにもお金が無くてオムツも買えない状態になってしまう。食事提供体制加算は止めないでほしい。
○ 健常者も障害者も食事をしなければ生きていけないため、障害の有無に関わらず食費は負担しなければならないものであることから、福祉サービスを利用している時間は障害者というだけで食費が税金で支払われるのは大変不公平だと感じるため、食事提供体制加算の継続に反対である。加算の減額や廃止を検討してほしい。
 食事提供体制加算については、障害福祉サービス等改定検討チームの議論の結果等を踏まえ、今回の改定では継続することとしました。

 送迎加算について、自動車維持費等が減少しているという理由で引き下げる案となっているが、原油やガソリン価格は上昇傾向であり、中山間地域や雪の多い地域では悪路を走行することが多いため燃費も伸びず、むしろコストが増加しているため、むしろ引き上げるべきではないか。また、重度障害者への送迎はそのための体制を整える必要があるため、更に評価してほしい。
 送迎加算については、年ベースでの自動車維持費が減少していることから一定の適正化を図り、その上で、生活介護における送迎については、重度者等を送迎した場合に更に評価を行います。

 一人でも車中支援が必要な利用者いればそのための体制を整えた上で送迎を行う必要があるため、生活介護の送迎加算の重度加算の算定基準の割合を引き下げるか、個別の加算としてほしい。
 重度者等への送迎が一定割合以上である事業所においては、送迎にかかるコスト等が高くなることから、当該場合に対する更なる評価を設けています。

 身体拘束廃止未実施減算について、「記録をしていない場合」とあるが、身体拘束を行っていない場合にも記録をしていく必要があるのか。また、「身体拘束等に係る記録」に関してどのような場合にどのような記載が求められるのか。
 身体拘束廃止未実施減算については、身体拘束を行った場合で記録をしていない場合に減算するものです。また、「身体拘束等に係る記録」とはは、各サービスの指定基準上で記録が求められている、身体拘束の「態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項」を指します。

 地域別最低賃金の引き上げが行われており、毎年人件費が上昇しているにもかかわらず、今回の改定においては、報酬1単位単価は基本的には上がっていない。このため、「最低賃金の地域区分と報酬1単位単価の地域区分を同一にする」、「報酬1単位単価を最低賃金と同じく引き上げをする」必要がある。
 平成30年度障害福祉サービス等報酬改定においては、前回改定以降の賃金の上昇傾向を踏まえ、基本報酬の単位数を設定しております。

 一部の自治体は今回の改定で級地が下がるが、級地が下がるとサービス提供時間が短い場合、報酬が大幅に減額されてしまうため、報酬をとることを目的に利用者本位の支援ではなく、事業所の都合を優先し、無意味に長時間支援することも起こりうることから、本来の趣旨に逆行するのではないか。
 障害福祉サービス等報酬における地域区分は、今回の報酬改定において、類似制度である介護保険サービスにおける地域区分との均衡を考慮し、介護の地域区分の考え方に合わせ見直しています。
 その上で、上乗せ割合が引き上がる(引き下がる)自治体においては、報酬単価の大幅な変更を緩和する観点から、自治体の意見を聴取した上で、経過措置として、平成32年度末までの間、見直し前の上乗せ割合と見直し後の上乗せ割合の範囲内で自治体が選択した区分を設定できるようにしており、見直し後の地域区分については、それぞれの自治体が地域の実情に応じて設定したものです。

 現在の処遇改善の単価では全く人材は確保できないため、増額してほしい。
 福祉・介護職員処遇改善加算については、これまでも財源を確保しつつ着実に実施しており、平成29年度には臨時に報酬改定を行い、月額平均1万円相当の処遇改善を実施したところです。
 また、今後、平成29年12月8日に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」に基づき、引き続き福祉・介護職員の処遇改善に取り組むこととしております。

5.訪問系サービス

 重度訪問介護に係る病院等に入院中の支援の評価について、入院前後に支給量変更の手続き等ができにくい状態にあることから、在宅時と同じ支給量のまま利用できるよう自治体に周知するとともに、重訪事業所が未だにない自治体も多いことから、地域格差を生じることのないよう、重度訪問介護の利用者に限定せず、重度訪問介護の対象者も対象としてほしい。
 重度訪問介護の利用者が、病院等に入院又は入所して重度訪問介護を利用する場合は、改めて支給決定を行う必要はありません。
 また、今般の制度改正は、最重度の障害がある方が入院される場合に、入院前から重度訪問介を利用している方について、ご本人の状態等を熟知したヘルパーにより、入院中も引き続き重度訪問介護の支援を受けられるようにするものですが、入院前に重度訪問介護を利用していない方については、このような状況にないことから、今回のヘルパー利用の対象としないこととしています。

 重度訪問介護について、入院中の支援内容は幅広く対象としてほしい。
 支援内容については、具体的にどのような支援を行うかについて、個々の利用者の症状等に応じて、病院等で提供される治療等の療養の給付等に影響がないように病院等の職員と十分に調整した上で行うことになります。

 重度障害者の入院時利用については、ヘルパーが利用者の体調の変化等を即座に察知し、医師・看護師へ症状を正確に伝える必要があります。医療連携の必要性の観点からも、重度訪問介護で認められている「見守り支援」について、入院時支援においても報酬評価されるということを、留意事項等で明記・周知してほしい。
 意思疎通支援等を適切に行うために利用者の見守りを行っている時間については、報酬の算定となります。今後通知等においてお示しします。

 病院等に入院中の支援の評価について、対象者が区分6に限定されましたが、他の区分4、5の人にもニーズがある。個別のケースに対応可能な枠組みにしてほしい。
 対象者を区分6の方とすることについては、制度の持続可能性を確保しつつ、真に必要な支援を提供していくため、今回の制度改正においては、最重度の障害のある方に対する支援について最大限配慮したところです。

 入院が決まり、自治体の窓口に行った際、「入院中に重度訪問介護は使えません。」といわれることがないよう、入院中の利用を認めることになった趣旨や経緯を自治体に丁寧に周知してほしい。
 入院中における重度訪問介護の利用について、その運営等に関して通知等でお示しします。

 意思疎通が困難な利用者等への同行支援の評価について、具体的な運用において、「熟練ヘルパー」の要件はどう設定するのか。
 熟練したヘルパーについては、当該利用者の障害特性を理解し、適切な介護が提供できる者であり、かつ、当該利用者へのサービスについて利用者から十分な評価がある重度訪問介護従業者であることを要件とします。

 意思疎通が困難な利用者等への同行支援の評価について、「新規に採用」とは雇用のことではなく、対象利用者の重度訪問介護に新たに従事させることとの理解でよいか。
 今回の改正の対象となるのは、重度訪問介護事業所に新規に雇用された職員であり、新たに従事させた職員ではありません。

 同一建物等に居住する利用者等へのサービス提供に対する評価の適正化について、「同一建物等」の具体的な例示を示してほしい。
 集合住宅の1階部分に事業所がある場合などが考えられます。

 同一建物等への利用者等に提供した場合の減算について、減算を直ちに実施すると現場への負担が増えるため、3年の経過措置を設けてほしい。
 今般の改正では、居宅介護事業所が所在する建物と同一建物等に居住する利用者または同一建物に居住する一定数以上の利用者に対しサービス提供する場合に、移動等の労力が軽減されることから減算を行うことで居宅介護の報酬の適正化を図ったものであるので、経過措置は設けません。

 同行援護、行動援護で重度障害者を支援しているが、基本報酬が低すぎると感じるため、引き上げてほしい。
 既存の同行援護、行動援護については、収支差率が高い状況であるため、基本報酬の引き上げは行いませんが、同行援護において盲ろう者の方や障害支援区分3以上の方に対して支援した場合の加算を新設する等、重度障害者に対する支援の充実を行います。

 重度障害者等包括支援事業について、サービス提供責任者の位置づけを変更される点について、計画相談の相談支援専門員との兼務を認めないということか。
 サービス提供責任者について、今回の改定後において計画相談支援の相談支援専門員との兼務は可能です。

 盲ろう者の中には、同行援護しか利用しておらず障害支援区分が出ていない方や障害支援区分3以上が出ていない方も考えられることから、障害支援区分3の場合の加算に、聴覚障害5級以上も加えてほしい。
 盲ろう者の方の支援は、盲ろう者向け通訳・介助員が盲ろう者の方を支援した場合の加算により評価しており、特に身体介護が困難な方への支援については別途加算を創設したものであるため、障害支援区分3の者を支援した場合の加算の要件に聴覚障害5級以上の方は含まれません。

 精神障害を抱える当事者の生活の幅を狭めることがないよう、今後介護保険サービスの訪問介護と同軸で考えず、あくまで障害福祉分野における居宅介護の実情に沿った検討をしてほしい。
 障害福祉サービスの居宅介護については、障害特性等に配慮した検討を引き続き行っていきます。