障害サービス報酬改定方針案1

第8回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」資料(平成24年1月13日)より
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000204ry.html

資料5-2 平成24年度障害福祉サービス等報酬改定の基本方針(案)


第2 各サービスの報酬改定の基本方向

1.障害福祉サービス等における共通的事項

(1) 福祉・介護職員の処遇改善の確保

 ○ 障害者自立支援対策臨時特例交付金による基金事業においては、福祉・介護職員の賃金月額1.5万円相当分の引上げ経費が事業者に交付されてきたが、これを障害福祉サービス等報酬の中で対応することとし、新たに処遇改善加算(仮称)を創設する。なお、加算率は直近のデータに基づいて設定する。

 ○ その際、介護保険サービスと比べた障害福祉サービス等の特性を踏まえ、福祉・介護職員の処遇改善をより一層推し進めるために、加算要件を緩和した一定額の加算(福祉・介護職員の賃金月額0.5万円相当分)を併せて創設する。なお、この加算についても、障害福祉サービス等従事者の処遇改善につながっているかどうかという点についての検証のための調査を行うとともに、当該検証結果を踏まえ、次回改定時にその取扱いについて検討を行うこととする。

(2) 物価の動向等の反映

 ○ 前回改定以降の物価の下落傾向を踏まえ、原則として一律に障害福祉サービス等の基本報酬の見直し(▲0.8%)を行う。

 ○ その際、居宅介護の身体介護及び通院等乗降介助については、同種の介護保険サービスとの均衡を考慮して報酬単位が設定されていることから、介護報酬改定の動向を踏まえて対応する。また、同行援護については、昨年10月のサービス創設から間もなく経営実態に係るデータ等の蓄積もないことから、今回は物価の下落傾向の反映は見送ることとし、次回改定時に経営実態等も踏まえて検討を行うこととする。

(3) 介護職員等によるたんの吸引等の評価

 ○ 社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正により、平成24年4月から、介護福祉士及び研修を受けた介護職員等が、医療関係者との連携等の一定の条件の下で、たんの吸引等を実施することができることとなる。

 ○ 障害福祉サービス等における介護職員等によるたんの吸引等の実施については、各サービスにおける看護職員の配置の有無や重度者に対する支援の評価の仕組みの状況等を踏まえ、今回の措置の対象となる者への支援が評価されるよう、以下のとおり評価を行う。

 ・施設入所支援(障害者支援施設)においては、たんの吸引等を実施する事業所の体制を評価することとし、重度障害者支援加算(Ⅰ)の算定要件における「特別な医療が必要であるとされる者」に準ずるものとして、腸ろうによる経管栄養又は経鼻経管栄養を必要とする者を含める。

 ・生活介護においては、たんの吸引等を実施する事業所の体制を評価することとし、人員配置体制加算(Ⅰ)及び(Ⅱ)の算定要件のうち利用者に関する要件の対象として、たんの吸引等を必要とする者を追加する。

 ・看護職員を配置することとされていない日中活動系・居住系サービス等(*)においては、看護職員が直接看護の提供をせずに、介護職員等にたんの吸引等に係る指導のみを行った場合についても、新たに医療連携体制加算の評価の対象とする。また、研修を受けた介護職員等が、看護職員の指導の下、たんの吸引等を実施した場合についても、医療連携体制加算の枠組みの中で新たに評価する。
  * 短期入所(医療型短期入所を除く。)、共同生活介護(ケアホーム)、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型及び共同生活援助(グループホーム)。なお、宿泊型自立訓練については、新たに医療連携体制加算の算定対象とする。

 ・訪問系サービス(*)においては、たんの吸引等を実施する事業所の体制を評価することとし、特定事業所加算の算定要件のうち重度者対応要件の対象として、たんの吸引等を必要とする者を追加する。また、特定事業所加算(Ⅰ)の算定が困難である事業所については、たんの吸引等が必要な者に対する支援体制について、利用者1人につき1日当たりの定額の加算により評価する。
  * 居宅介護、重度訪問介護、同行援護及び行動援護。なお、重度障害者等包括支援においては、居宅介護、重度訪問介護、同行援護又は行動援護においてたんの吸引等を実施した場合に限り、たんの吸引等が必要な者に対する支援体制について、加算により評価する。

 ・福祉型障害児入所施設においては、たんの吸引等を実施する事業所の体制を評価することとし、重度障害児支援加算の対象として、たんの吸引等を必要とする者を追加する。

 ・看護職員を配置することとされていない児童発達支援(主たる対象とする障害が重症心身障害である場合を除く。)及び放課後等デイサービス(主たる対象とする障害が重症心身障害である場合を除く。)においては、看護職員が直接看護の提供をせずに、介護職員等にたんの吸引等に係る指導のみを行った場合についても、新たに医療連携体制加算の評価の対象とする。また、研修を受けた介護職員等が、看護職員の指導の下、たんの吸引等を実施した場合についても、医療連携体制加算の枠組みの中で新たに評価する。

(4) 通所サービス等の送迎の支援に係る評価

○ 障害者自立支援対策臨時特例交付金による基金事業においては、通所サービス等利用促進事業により、通所サービス及び短期入所における送迎の実施について助成が行われてきたが、引き続き送迎を実施することにより利用者がサービスを利用しやすくするため、これを障害福祉サービス報酬の中で対応することとし、新たに送迎加算(仮称)を創設する。

○ 加算単価については、通所サービス等利用促進事業の平均的な実績を参考として設定するほか、重度の障害者の送迎など付き添いが必要な場合については、追加加算を行う。

(5) 食事提供体制加算の適用期限の延長等

○ 生活介護、短期入所、自立訓練、就労移行支援及び就労継続支援においては、低所得の利用者の食費負担が原材料費相当のみとなるよう、平成24年3月31日までの時限措置として食事提供体制加算が設けられているが、当該加算の取得実態を踏まえ、これを平成27年3月31日まで延長する。なお、障害児通所支援においても同様の措置を講ずる。

○ 宿泊型自立訓練の食事提供体制加算の加算単位について、食事の提供回数が同じ短期入所等と同水準に引き上げる。

(6) 地域区分の見直し

○ 地域区分については、これまで準拠していた国家公務員の調整手当が地域手当へと完全移行したことや、これを受けた診療報酬や介護報酬における対応の動向を踏まえ、新たに国家公務員の地域手当の地域区分(7区分)を採用する。

○ その際、対象地域や地域別の上乗せ割合については、国家公務員の地域手当の支給地域や上乗せ割合(18%、15%、12%、10%、6%、3%及び0%)を採用し、官署が所在しない地域のうち対象となる地域やその上乗せ割合については、診療報酬における考え方(*)を採用する。なお、地域区分を適用する市町村の区域については、直近の市町村合併を反映させる。
 * 対象となっている地域に囲まれている地域や対象となっている複数の地域に隣接している地域については、隣接する対象地域の区分のうち低い区分と同様とするという考え方。

○ 地域区分の見直しは、障害福祉サービス報酬の1単位単価を通じて事業所の経営や地方自治体の財政にも大きな影響を与えるものであることから、上乗せ割合が変動する地域については、激変緩和のための経過措置を設ける。具体的には、見直しの完全施行は平成27年度からとし、平成24年度から平成26年度までの間は毎年度段階的に上乗せ割合を引き上げ又は引き下げる。

○ なお、障害児の地域区分については、平成18年度から国家公務員の地域手当の地域区分を段階的に導入し、平成22年度までの5年間で既に完成しており、また、児童福祉施設などのその他の児童福祉施設の地域区分が国家公務員の地域手当の地域区分を基本にしていることとの整合性を図る必要があることから、見直しを行わない。