ADL維持等加算の謎

介護報酬改定の公表は(障害福祉サービス等の報酬改定も同様ですが)、予想どおり(?)遅くなっています。

さて、通所介護等のADL維持等加算について。


<告示改定案>
11 別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出た指定通所介護事業所において、利用者に対して指定通所介護を行った場合は、評価対象期間(別に厚生労働大臣が定める期間をいう。)の満了日の属する年度の次の年度内に限り、当該基準に掲げる区分に従い、1月につき次に掲げる単位数を所定単位数に加算する。ただし、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない。
 イ ADL維持等加算(I) 3単位
 ロ ADL維持等加算(II) 6単位

※ 別に厚生労働大臣が定める基準の内容は次のとおり。
 通所介護費及び地域密着型通所介護費におけるADL維持等加算の基準
 イ ADL維持等加算(I) 次に掲げる基準のいずれにも適合すること。
 (1)利用者(当該指定通所介護事業所又は当該指定地域密着型通所介護事業所を連続して六月以上利用し、かつ、その利用期間((2)において「評価対象利用期間」という。)において、五時間以上の通所介護費の算定回数が五時間未満の通所介護費の算定回数を上回る者に限る。以下イにおいて同じ。)の総数が二十人以上であること。
 (2)利用者の総数のうち、評価対象利用期間の初月(複数の評価対象利用期間の初月が存在する場合は、複数の評価対象利用期間の初月のうち最も早い月とする。以下「評価対象利用開始月」という。)において、要介護状態区分が要介護三、要介護四及び要介護五である者の占める割合が百分の十五以上であること。
 (3)利用者の総数のうち、評価対象利用開始月において、初回の法第二十七条第一項の要介護認定又は法第三十二条第一項の要支援認定があった月から起算して十二月以内である者の占める割合が百分の十五以下であること。
 (4)利用者の総数のうち、評価対象利用開始月と、当該月から起算して六月目において、機能訓練指導員がADLを評価し、その評価に基づく値(以下この号において「ADL値」という。)を測定し、測定した日が属する月ごとに厚生労働省に当該測定が提出されている者((5)において「提出者」という。)の占める割合が百分の九十以上であること。
 (5)評価対象利用開始月から起算して六月目の月に測定したADL値から評価対象利用開始月に測定したADL値を控除して得た値(以下「ADL利得」という。)が多い順に、提出者の総数の上位百分の八十五に相当する数(その数に一未満の端数が生じたときは、これを切り上げるものとする。)の利用者について、次の(一)から(三)までに掲げる利用者の区分に応じ、当該(一)から(三)までに定める値を合計して得た値が零以上であること。
  (一)ADL利得が零より大きい利用者 一
  (二)ADL利得が零の利用者 零
  (三)ADL利得が零未満の利用者 マイナス一
 ロ ADL維持等加算(II) 次に掲げる基準のいずれにも適合すること。
 (1)イ(1)から(5)までの基準に適合するものであること。
 (2)当該指定通所介護事業所又は当該指定地域密着型通所介護事業所の利用者について、算定日が属する月に当該利用者のADL値を測定し、その結果を厚生労働省に提出していること。

※ 別に厚生労働大臣が定める期間の内容は次のとおり。
 指定居宅サービス介護給付費単位数表の通所介護費の注11の厚生労働大臣が定める期間加算を算定する年度の初日の属する年の前年の一月から十二月までの期間


ここまでは、パブリックコメント募集の時期に公表されていました。
留意事項通知案「解釈通知」と言っている人たちがいますが、厚労省の用語としては「留意事項通知」解釈通知というのは基準省令などの解釈の通知という整理です)も、都道府県などには「現時点での案」として示されていて、それをアップしている自治体もあるようです。


<留意事項通知案>
(12)ADL維持等加算について
 [1] ADLの評価は、Barthel Indexを用いて行うものとする。
 [2] 指定居宅サービス基準第16条の2イ(4)
におけるADL値の提出は、サービス本体報酬の介護給付費明細書の給付費明細欄の摘要欄に記載することで行う。
 [3] 指定居宅サービス基準第16条の2ロ(2)
におけるADL値の提出は、ADL維持等加算(II)の介護給付費明細書の給付費明細欄の摘要欄に記載することによって行う。なお、当該提出は、当該提出の月の属する年の1月から12月までが評価対象期間となる際に指定居宅サービス基準第16条の2イ(4)によって求められるADL値の提出を兼ねるものとする。
 [4] 平成30年度の算定については、平成29年1月から12月までの評価対象期間について、指定居宅サービス基準第16条の2イ(1)、(2)、(3)、(4)の「その評価に基づく値(以下この号において「ADL値」という。)を測定し、測定した日が属する月ごとに厚生労働省に当該測定が提出されている者((5)において「提出者」という。)の占める割合」を「その評価に基づく値(以下この(12)において「ADL値」という。)が記録されている者((5)において「被記録者」という。)の占める割合」と読み替えたもの、及び(5)の「提出者」を「被記録者」と読み替えたものを満たすことを示す書類を保存していれば、それを根拠として算定できることとする。
 [5] 平成31年度以降に加算を算定する場合であって、加算を算定する年度の初日の属する年の前年の1月から12月までの間に、指定居宅サービス介護給付費単位数表の通所介護費のイ、ロ又はハの注11に掲げる基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出ている場合には、届出の日から同年12月までの期間を評価対象期間とする。
 [6] 提出されたデータについては、国民の健康の保持増進及びその有する能力の維持向上に資するため、適宜活用されるものである。


この「指定居宅サービス基準第16条の2・・・」って、なんでしょう?
「指定居宅サービス基準」というのは、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」 (平成11年厚生省令第37号)のはずで、私が把握している限り、そこに「第16条の2」というのはありません。

ちなみに、第16条は
「指定訪問介護事業者は、居宅サービス計画(施行規則第六十四条第一号ハ及びニに規定する計画を含む。以下同じ。)が作成されている場合は、当該計画に沿った指定訪問介護を提供しなければならない。」というものです。

この省令は報酬告示より早くパブリックコメントにかけられ、4月1日から改正されるべく官報に掲載されましたが、「16条の2」というのは追加されていなかったと思いますが・・・