一問一答 消費者契約法改正2

<過量な内容の消費者契約の取消し>
問4 過量な内容の消費者契約の取消しを認める必要性はどのようなものですか。

(答)
1.消費者契約法の施行後に高齢化が更に進展したことの影響も受け、合理的な判断をすることができない事情がある消費者に対し、事業者がその事情につけ込んで不必要なものを大量に購入させる等の消費者被害(注1)が発生しています。

(注1)例えば、呉服等の販売会社が、店舗に来訪した高齢者に対し、認知症のために財産管理能力が低下している状態を利用して、老後の生活に充てるべき資産をほとんど使ってしまうほどの着物や宝石等の商品を購入させた事案(奈良地裁平成22年7月9日消費者法ニュース86号129頁)があります。

2.このような消費者被害の救済について、これまでは公序良俗民法第90条)や不法行為に基づく損害賠償請求(民法第709条)といった一般的な規定に委ねられていましたが、これらの規定は要件が抽象的であり、どのような場合に適用されるかが、消費者にとって必ずしも明確ではない部分がありました。

3.そこで、消費者契約の特質を踏まえた明確な要件を定めて、過量な内容の消費者契約の取消しを認める規定を消費者契約法に設けることとしました。

4.具体的には、
・消費者契約の目的となるものの分量等が当該消費者にとっての通常の分量等(注2)を著しく超えるものであることを
・勧誘の際に事業者が知っていた場合において、消費者が、その勧誘によって当該消費者契約の申込み又は承諾の意思表示をしたときに
取り消すことができることとするものです。

(注2)消費者契約の目的となるものの内容及び取引条件並びに事業者がその締結について勧誘をする際の消費者の生活の状況及びこれについての当該消費者の認識に照らして、当該消費者契約の目的となるものの分量等として通常想定される分量等を指すものです。

(参考)高齢者に関する相談の増加(高齢化の伸び以上)

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(つづく)