一問一答 消費者契約法改正7

問12 アイドルとの握手券が付いたCDを大量に購入したという事例については、過量な内容の消費者契約の取消しが認められるのですか。

(答)
1.このような事例では、一般的には、消費者が自ら商品をレジに持参して購入するものと考えられます。そのような場合には、事業者から消費者に対して勧誘がなされていないことから、過量な内容の消費者契約の取消しの規定は適用されないこととなります。

2.また、仮に勧誘がなされた事例であったとしても、そのCDを発売したアイドルのファンである消費者が購入するような場合には、握手券が付いているという商品の内容や、そのアイドルのファンであるという消費者の生活の状況を考慮すれば、過量な内容の消費者契約には当たらないと判断されることが多いと考えられます。

3.ただし、そのような消費者の生活の状況等を考慮したとしても、販売されたCDの枚数が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものである場合においては、事業者がそのことを知りながら勧誘し、それによって当該消費者が契約を締結したときは、過量な内容の消費者契約の取消しの規定が適用されることになります。


問13 過量な内容の消費者契約に当たるかどうかの判断が個別の事例によって異なるとすると、セールストークが難しくなるなど、事業者の営業活動に萎縮的な効果を及ぼすことはないのですか。

(答)
1.過量な内容の消費者契約に当たるかどうかの判断は、一般的・平均的な消費者を基準として、社会通念を基に規範的に行われることとなります。

2.また、取消しが認められるのは、事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者契約の目的物の分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであることを知っていた場合に限られます。

3.したがって、要件が明確であり、事業者の予測可能性は確保されていることから、事業者の営業活動に萎縮的な効果を及ぼすことはないと考えられます。

(参考)過量な内容の消費者契約の取消しの規定が適用されないと考えられる事例
 ・インターネットの通信販売サイトで消費者自身が注文をして大量の商品を購入した事例
 ⇒ 事業者は注文を受けて商品を引き渡しているだけであり、そもそも事業者が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであることを知りながら勧誘をしたとは通常はいえないことから、規定は適用されません。
 ・事業者が近所でも有名な大家族の一員と勘違いして、一人暮らしの消費者に対して勧誘を行った上で大量の商品を販売した事例
 ⇒ 事業者は当該消費者を大家族の一員であると思ったがゆえに大量の商品を販売しており、当該消費者が一人暮らしであることは知りませんでした。したがって、事業者が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであることを知りながら勧誘したとはいえないことから、規定は適用されません。

(つづく・・・たぶん)