一問一答 消費者契約法改正6

問10 過量な内容の消費者契約に当たることについての事業者の認識を消費者が立証することは困難ではないのですか。

(答)
1.1人の消費者に対し、事業者が次々と必要のない商品等を販売した事例(いわゆる次々販売)では、事業者は、消費者と繰り返しやり取りをして、結果的に当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるような契約の締結について勧誘をしている以上、その過程において、当該消費者の生活の状況等について、当該事業者が何も知らないということは、通常はないと考えられます。このため、次々販売の事例であるということ自体から、事業者の認識は一定程度、推認されるものと考えられます(注1)。

(注1)また、家族や知人が過量な内容の消費者契約の締結に気付き、事業者に対して、これ以上の取引をしないように申し出る場合があります。このような場合には、事業者は遅くとも申出がなされた時点において、過量な内容の消費者契約であることを認識するに至ったと考えられることから、家族や知人の証言等も有効な立証手段となります。

2.また、同じ事業者による同様の被害が他でも発生しているという情報、具体的には、当該事業者が、捜査機関によって摘発を受けたという情報、行政処分を受けたという情報、PIO-NETにおいて同種の苦情が寄せられているという情報(注2)等も間接的ではありますが、立証手段の一つとなると考えられます。
(注2)PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)は、国民生活センターと全国の消費生活センターをネットワークで結び、消費者から消費生活センターに寄せられる消費生活に関する苦情相談情報(消費生活相談情報)の収集を行っているシステムです(昭和59年運用開始)。


問11 いわゆる次々販売の事例において、新たに締結する消費者契約と既に締結されている消費者契約の目的となるものが同種であるかどうかは、どのように判断されるのですか。

(答)
1.消費者契約の目的となるものが同種であるかどうかは、事業者の設定した区分によるのではなく、消費者契約の目的となるものの種類、性質、用途等に照らして、別の種類のものとして並行して給付を受けることが、通常行われているかどうかによって判断されるものと考えられます。

2.例えば、ネックレスとブレスレットは、いずれも身を飾るための装身具であり、具体的な種類、性質、用途等に照らしての判断とはなるものの、通常は同種であると判断されるものと考えられます。

3.また、消費者契約の目的となるものが同種であるかどうかの判断は、消費者契約の目的となるものの分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるかどうかの判断(注)と同様に、一般的・平均的な消費者を基準として、社会通念を基に規範的に行われることとなります。

(注)当該消費者にとっての通常の分量等については、[1]消費者契約の目的となるものの内容及び[2]取引条件、並びに[3]事業者がその締結について勧誘をする際の消費者の生活の状況及び[4]これについての当該消費者の認識を総合的に考慮した上で、一般的・平均的な消費者を基準として、社会通念を基に規範的に判断されます。また、当該消費者契約の目的となるものの分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるかどうかについては、上述の[1]~[4]の要素を考慮した上で、一般的・平均的な消費者を基準として社会通念を基に規範的に判断されます。

(つづく)