一問一答 消費者契約法改正12

問25 掃除機を購入したところ、当該掃除機が届けられた際に健康食品のサンプルが同封されており、当該掃除機の売買契約の中には、消費者が、健康食品の継続購入が不要であるという電話をしない限り、今後、当該健康食品を継続的に購入する契約を締結したものとみなすという契約条項が含まれていたという事例については、消費者契約法第10条の第一要件の例示に該当するのですか。

(答)
 このような契約条項は、消費者が積極的な行為をしていないにもかかわらず、当該消費者が新たな消費者契約を締結したものとみなすものであり、消費者契約法第10条の第一要件の例示に該当すると考えられます
(注)。
(注)消費者契約法第10条の第一要件の例示に該当する他の契約条項としては、例えば、ウォーターサーバーのレンタルと水の宅配の契約に関する無料お試しキャンペーンの規約の中に、無料お試し期間中に、貸出しを受けた全てのレンタル商品が返却されなかった場合は、新たな有料の契約に自動的に移行するという契約条項が含まれていたという事例が挙げられます。


問26 連絡がない限り雑誌の定期購読契約は有効に継続し、毎月1回、雑誌が届けられるという事例については、消費者契約法第10条の第一要件の例示に該当するのですか。

(答)
1.このような事例において、定期購読契約に一定の期間が定められており、当該期間が終了しても連絡がない限り、当該契約は更新されるという契約条項である場合には、当該条項は消費者契約法第10条の第一要件の例示に該当すると考えられます。

2.これに対し、定期購読契約に期間が定められておらず、連絡がない限りはいつまでも当該契約は継続するという契約条項である場合には、当該条項は、新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項ではないため、消費者契約法第10条の第一要件の例示には該当しないと考えられます。


問27 今回の改正前に消費者契約法第10条に該当しなかった契約条項は、改正後も第10条に該当しないということですか。

(答)
1.消費者契約法第10条に関する今回の改正は、改正前の消費者契約法でも第10条の第一要件(注)に該当する契約条項の一例を挙げるというものです。
(注)消費者契約法第10条のうち、「法律中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって」という部分を指すものです。

2.そして、今回の改正では、消費者契約法第10条の第二要件、すなわち、「民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」という要件については、改正を行っていません。

3.したがって、改正後も、改正前の消費者契約法と同様に、消費者契約法第10条の第二要件も満たす契約条項のみが無効とされることとなります。


<その他>
問28 消費者契約法の一部を改正する法律(平成28年法律第61号)の規定は、いつから施行されることとなるのですか。

(答)
1.消費者契約法の一部を改正する法律(平成28年法律第61号)の規定は、公布の日(平成28年6月3日)から起算して1年を経過した日である平成29年6月3日から施行されます。

2.ただし、取消権を行使した消費者の返還義務に関する規定については、現在継続審議となっている民法の一部を改正する法律案(第189回国会閣法第63号)が成立し、施行された場合に、同法案の施行の日から施行されることとなります。


問29 改正後の消費者契約法の規定については、いつの時点を基準として適用されるのですか。

(答)
1.一般的に法の適用については不遡及であるとされている点を踏まえ、過量な内容の消費者契約の取消し、重要事項の範囲の拡大及び取消権の行使期間の伸長といった意思表示の取消しに係る規定は、意思表示がなされた時点を基準としています。また、消費者の解除権を放棄させる条項の無効及び「民法の規定による」という文言の削除といった消費者契約の条項の無効に係る規定は、消費者契約の締結時点を基準としています(注)。
(注)取消権を行使した消費者の返還義務に関する規定は、消費者契約に基づく債務の履行として給付を受けた時点を基準としています。

2.なお、勧誘時を基準としていないため、事業者が、消費者契約法の一部を改正する法律の施行前に勧誘をした場合であっても、消費者が同法の施行後に消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたのであれば、意思表示の取消しに係る規定は適用されます。

(おしまい)