民法改正3・心裡留保、錯誤等

<改正前>

公序良俗
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。


<改正後>

公序良俗
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。


↑どういう目的か、意図がどうであれ、公序良俗に反する法律行為は無効、ということでしょうか?



<改正前>

心裡留保
第九十三条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。


<改正後>

心裡留保
第九十三条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。


↑より明確な表現になった、ということでしょうか。
Aさんに対するBさんの意思表示がBさんの真意ではないことをAさんが知っていたら、Bさんの意思表示は無効。
でも、そういうことを何も知らなかったCさんが、Bさんの意思表示を信じたとしたら、Cさんが迷惑を被らないように「無効」とはできない場合がある、という感じでしょうか。



<改正前>

(錯誤)
第九十五条 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。


<改正後>

(錯誤)
第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
 一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
 二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。

3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
 一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
 二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。


↑これはかなり大きな変更のように見えますが、判例などで従来からあった考え方を明文化したように思えます。
改正後の第3項は、改正前の「ただし書き」と同趣旨なのでしょうが、さらにその例外を明示しているようです。

(つづく)