民法改正5・意思表示、代理人等

<改正前>

(意思表示の受領能力)
第九十八条の二 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に未成年者又は成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、その法定代理人がその意思表示を知った後は、この限りでない。


<改正後>

(意思表示の受領能力)
第九十八条の二 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、次に掲げる者がその意思表示を知った後は、この限りでない。
 一 相手方の法定代理人
 二 意思能力を回復し、又は行為能力者となった相手方


↑(一時的に?)意思能力を有しなくなった人物や、その人物が意思能力を回復した場合を想定して改正するようです。



<改正前>

(代理行為の瑕疵)
第百一条 意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
2 特定の法律行為をすることを委託された場合において、代理人本人の指図に従ってその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。


<改正後>

(代理行為の瑕疵)
第百一条 代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
2 相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受けた者がある事情を知っていたこと又は知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
3 特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。


↑これも明確化、ということでしょうか。



<改正前>

代理人の行為能力)
第百二条 代理人は、行為能力者であることを要しない。


<改正後>

代理人の行為能力)
第百二条 制限行為能力者代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者法定代理人としてした行為については、この限りでない。


↑条文がまるっきり変わっていますが・・・
制限行為能力者(未成年者、成年被後見人被保佐人、被補助人)であっても代理人にはなれる。
ここまでは、改正前の条文でも同様の趣旨です。

でも、(代理人とした以上)そういう制限行為能力者だからという理由で行為を取り消すことはできない。
ただし、制限行為能力者(たとえば被補佐人)が他の制限行為能力者(たとえば未成年者)の法定代理人としてした行為はこの限りではない。
というようなことが、改正後に明文化されています。

(たぶん、つづく)