通所介護での麻雀など

一部で話題になっている、介護保険事業のアミューズメント型デイサービスの規制について、神戸市サイトより。
http://www.city.kobe.lg.jp/information/press/2015/08/20150811133301.html

1 背景

 介護保険制度は、利用する高齢者が「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う」と規定しています。
 サービスのひとつである通所介護(デイサービス)とは、入浴、排せつ、食事等の介護、生活等に関する相談及び助言、健康状態の確認その他の居宅介護者に必要な日常生活上の世話と機能訓練をおこなうこと(施行規則第10条)と定められており、提供するサービス内容も、様々な形態が認められています。
 通所介護(デイサービス)を提供する事業所は、神戸市に指定権限があり、厚生労働省令及び神戸市条例で定められた「人員、設備及び運営に関する基準」を満たせば指定することができます。
 近時、介護保険における通所介護(デイサービス)は、多様なサービスを標榜した事業が展開されており、なかでもパチンコ、麻雀、カードゲーム等の遊技を主な介護サービスとするアミューズメント型デイサービスなども出現してきています。

2 アミューズメント型デイサービスとは

 アミューズメント型デイサービスとは、ルーレットやトランプのような娯楽性のある設備を使って介護予防を図る通所介護(デイサービス)です。サービスの提供方法も様々であり、一日の内時間を決めてゲーム等を楽しむ通所介護(デイサービス)や、一方、終日ゲーム等を楽しむ通所介護(デイサービス)もあります。

※イメージ写真(適切に運営されているアミューズメント型デイサービス)

3 アミューズメント型デイサービスの問題点

 とりわけ機能訓練室内にパチンコ、麻雀、カードゲーム等に特化した設備を備え遊技場の様な雰囲気の中で、遊技を機能訓練の常時主体とする通所介護(デイサービス)は、介護保険法に基づく本来の趣旨にそった適正なサービスとは考えられず、アミューズメント型デイサービスの適切な運営を図る必要があると考えています。


規制が必要と考える理由

遊技を常時主体とした機能訓練の不適切

通所介護は、利用する高齢者等の尊厳が保持される形で、利用者が有する能力を活用して在宅の生活を営むことを支援するための機能訓練や日常生活上の世話を行うものであり、遊技を常時主体とするものは、適正なサービスであるとは考えられません。

疑似通貨等の使用が、射幸心、依存性を著しく高めるおそれ

 遊技における疑似通貨等の使用は、もっぱら利用者の射幸心をそそることで遊技を主体とする機能訓練に動機付けを与えるものであり、過剰で不必要な介護サービスにつながるおそれがあります。

賭博又は風俗営業等を連想させる広告の危険性

風俗営業等に使用される名称や事業内容等と誤認するような広告等は、介護保険による本来給付の趣旨に反し、かえって善良な風俗環境等に障害を及ぼすおそれがあります。

4.条例改正の必要性

 上記の問題点に加え、介護保険は保険料と公費を財源として運営されており、過剰で不必要な介護サービスは、保険料の上昇、利用者の自己負担の増加につながることなどから、通所介護(デイサービス)の事業に一定の規制を行なうために、条例改正案を9月市会に提案したいと考えており、パブリックコメントを実施します。

5 パブリックコメント

(1)概要
 通所介護(デイサービス)事業者に対し、以下の内容を規制します。
 ・日常生活を著しく逸脱して遊技を利用者に行わせること
 ・疑似通貨等、射幸心を著しくそそり、依存性が著しく強くなるおそれがあるものの使用
 ・賭博又は風俗営業等を連想させる名称又は内容の広告

(2)実施期間
  平成27年8月14日~平成27年8月30日まで





兵庫県も似たような動きがありまして(デイサービス以外も対象になっていますが)、
こちらのパブリックコメントは、平成27年8月25日(火)~平成27年9月14日(月)です。(必着)
http://web.pref.hyogo.lg.jp//kf27/jyoureikaisei.html

以下、一部引用。

2 改正内容等
(1)規制するサービス
 [1] 通所介護(デイサービス)などの居宅サービス
 [2] 介護予防通所介護(デイサービス)などの介護予防サービス
 [3] 介護老人福祉施設特別養護老人ホーム)におけるサービス
 [4] 介護老人保健施設におけるサービス

(2)規制内容
 条例第17~18条及び第21~22条に定める運営基準に、以下の事項を新たに加える。
 [1] 機能訓練として射幸心を煽るおそれのある遊技を日常生活を逸脱して提供しないこと
 [2] 疑似通貨等であって、射幸心を煽り、依存性が強くなるおそれがあるものを使用しないこと
 [3] 運営方法が、不必要な介護サービスの利用を煽るおそれがないこと(利用ポイント制の導入など)
 [4] 賭博又は風俗営業等を想起させるような施設の内外装、設備、レイアウトとしないこと
 [5] 賭博又は風俗営業等を想起させる名称又は内容を広告しないこと