介護保険外サービスとの組合せ2

第三 通所介護を提供中の利用者に対し、保険外サービスを提供する場合について

1.これまでの取扱い
 通所介護については、介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第7項及び介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第10条に規定するとおり、入浴、排せつ、食事等の介護、生活等に関する相談及び助言、健康状態の確認その他の居宅要介護者に必要な日常生活上の世話並びに機能訓練を行うサービスであり、様々なサービスが介護保険サービスとして提供可能である。このため、通所介護事業所内において利用者に対して提供されるサービスについては、通所介護としての内容と保険外サービスとしての内容を区分することは、基本的には困難である。
 ただし、理美容サービスについては、通所介護と明確に区分可能であることから、「通所サービス利用時の理美容サービスの利用について」(平成14年5月14日付事務連絡)において、デイサービスセンター等において、通所サービスとは別に、利用者の自己負担により理美容サービスを受けることは可能である旨を示しているところである。また、併設医療機関の受診については、「介護報酬に係るQ&Aについて」(平成15年5月30日付事務連絡)において、通所サービスのサービス提供時間帯における併設医療機関の受診は緊急やむを得ない場合に限り認められることとしている。なお、通所サービスの提供時間には、理美容サービスに要した時間や緊急時の併設医療機関の受診に要した時間は含めないこととしている。

2.通所介護と組み合わせて提供することが可能なサービス
 1.で示したとおり、通所介護事業所内において利用者に対して提供されるサービスについては、通所介護としての内容と保険外サービスとしての内容を区分することが基本的には困難であることから、保険外サービスとして利用者から保険給付とは別に費用を徴収することは、基本的には適当でなく、仮に特別な器具や外部事業者等を活用する場合であっても、あくまで通所介護として実施し、必要に応じて実費等を追加徴収することが適当である。
 ただし、以下の[1]~[4]の保険外サービスについては、通所介護と明確に区分することが可能であり、事業者が3.の事項を遵守している場合には、通所介護を提供中の利用者に対し、通所介護を一旦中断したうえで保険外サービスを提供し、その後引き続いて通所介護を提供することが可能である。
 [1] 事業所内において、理美容サービス又は健康診断、予防接種若しくは採血(以下「巡回健診等」という。)を行うこと
 [2] 利用者個人の希望により通所介護事業所から外出する際に、保険外サービスとして個別に同行支援を行うこと

  ※機能訓練の一環として通所介護計画に位置づけられた外出以外に、利用者個人の希望により、保険外サービスとして、個別に通所介護事業所からの外出を支援するものである。外出中には、利用者の希望に応じた多様な分野の活動に参加することが可能である。
 [3] 物販・移動販売やレンタルサービス
 [4] 買い物等代行サービス

3.通所介護サービスを提供中の利用者に対し、保険外サービスを提供する場合の取扱い
(1)共通事項
 [1] 通所介護と保険外サービスを明確に区分する方法
  ・保険外サービスの事業の目的、運営方針、利用料等を、指定通所介護事業所の運営規程とは別に定めること
  ・利用者に対して上記の概要その他の利用者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書をもって丁寧に説明を行い、保険外サービスの内容、提供時間、利用料等について、利用者の同意を得ること
  ・契約の締結前後に、利用者の担当の介護支援専門員に対し、サービスの内容や提供時間等を報告すること。その際、当該介護支援専門員は、必要に応じて事業者から提供されたサービスの内容や提供時間等の保険外サービスに関する情報を居宅サービス計画(週間サービス計画表)に記載すること
  ・通所介護の利用料とは別に費用請求すること。また、通所介護の事業の会計と保険外サービスの会計を区分すること
  ・通所介護の提供時間の算定に当たっては、通所介護の提供時間には保険外サービスの提供時間を含めず、かつ、その前後に提供した通所介護の提供時間を合算し、1回の通所介護の提供として取り扱うこと
 [2] 利用者保護の観点からの留意事項
  ・通所介護事業所の職員以外が保険外サービスを提供する場合には、利用者の安全を確保する観点から、当該提供主体との間で、事故発生時における対応方法を明確にすること
  ・提供した保険外サービスに関する利用者等からの苦情に対応するため、苦情を受け付ける窓口の設置等必要な措置を講じること。なお、指定通所介護事業者は、通所介護を提供する事業者の責務として、通所介護に係る苦情に対応するための措置を既に講じていることから、当該措置を保険外サービスに活用することが考えられる。
  ・通所介護事業者は、利用者に対して特定の事業者によるサービスを利用させることの対償として、当該事業者から金品その他の財産上の収益を収受してはならないこと
(2)事業所内において、巡回健診等の保険外サービスを行う場合
 医療法(昭和23年法律第205号)等の関係法規を遵守すること。
 なお、通所介護事業所内において巡回健診等を行う場合は「医療機関外の場所で行う健康診断の取扱いについて」(平成27年3月31日医政発0331第11号)を遵守すること。
 また、鍼灸や柔道整復等の施術を行うことはできず、無資格者によるマッサージの提供は禁止されている。
(3)利用者個人の希望により通所介護事業所から外出する際に、保険外サービスとして個別に同行支援を行う場合
 通所介護事業所の職員が同行支援等の保険外サービスを提供する場合には、当該保険外サービスの提供に要した時間を当該職員が通所介護に従事する時間には含めないこととした上で、通所介護事業所の人員配置基準を満たすこと。
 道路運送法(昭和26年法律第183号)や医療法等の関係法規を遵守すること。例えば、
 ・医療機関への受診同行については、健康保険法(大正11年法律第70号)及び保険医療機関及び保険医療養担当規則昭和32年厚生省令第15号)の趣旨を踏まえると、あくまでも利用者個人の希望により、個別に行うものであり、利用者個人のニーズにかかわらず、複数の利用者を一律にまとめて同行支援をするようなサービスを提供することは、適当ではない。
 ・通所介護事業所保有する車両を利用して行う送迎については、通所介護の一環として行う、機能訓練等として提供するサービスではなく、利用者個人の希望により有償で提供するサービスに付随して送迎を行う場合には、道路運送法に基づく許可・登録が必要である。
(4)物販・移動販売やレンタルサービスを行う場合
 利用者にとって不要なサービスが提供されることを防ぐ観点から、利用者の日常生活に必要な日用品や食料品・食材ではなく、例えば高額な商品を販売しようとする場合には、あらかじめその旨を利用者の家族や介護支援専門員に対して連絡すること。認知機能が低下している利用者に対しては、高額な商品等の販売は行わないこと。
 また、食品衛生法(昭和22年法律第233号)等の関係法規を遵守すること。
 なお、2.及び3.(1)から(4)までの取扱いは(介護予防)通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、(介護予防)認知症対応型通所介護についても同様である。

(つづく)