これでは要支援外しの理由にはならないよ

第19回 社会保障制度改革国民会議(平成25年8月2日)
資料1-2 各論部分(医療・介護分野)(案) より
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai19/gijisidai.html

(4)医療と介護の連携と地域包括ケアシステムというネットワークの構築
 
 今後、認知症高齢者の数が増大するとともに、高齢の単身世帯や夫婦のみ世帯が増加していくことをも踏まえれば、<地域で暮らしていくために必要な様々な生活支援サービスや住まいが、家族介護者を支援しつつ、本人の意向と生活実態にあわせて切れ目なく継続的に提供されることも必要>であり、地域ごとの医療・介護・予防・生活支援・住まいの継続的で包括的なネットワーク、すなわち地域包括ケアシステムづくりを推進していくも求められている。
 この地域包括ケアシステムは、介護保険制度の枠内では完結しない。例えば、介護ニーズと医療ニーズを併せ持つ高齢者を地域で確実に支えていくためには、訪問診療、訪問口腔ケア、訪問看護、訪問リハビリテーション、訪問薬剤指導などの在宅医療が、不可欠である。自宅だけでなく、高齢者住宅に居ても、グループホーム介護施設その他どこに暮らしていても必要な医療が確実に提供されるようにしなければならず、かかりつけ医の役割があらためて重要となる。そして、医療・介護サービスが地域の中で一体的に提供されるようにするためには、医療・介護のネットワーク化が必要であり、より具体的に言えば、<医療・介護サービスの提供者間、提供者と行政間などさまざまな関係者間で生じる連携を誰がどのようにマネージしていくかということが重要>となる。たしかに、地域ケア会議や医療・介護連携協議会などのネットワークづくりの場は多くの市町村や広域圏でできているが、今のところ、医療・介護サービスの提供者が現場レベルで「顔の見える」関係を構築し、サービスの高度化につなげている地域は極めて少ない。成功しているところでは、地域の医師等民間の熱意ある者がとりまとめ役、市町村等の行政がそのよき協力者となってマネージしている例が見られることを指摘しておきたい。
 こうした地域包括ケアシステムの構築に向けて、まずは、平成27年度からの第6期以降の介護保険事業計画を「地域包括ケア計画」と位置づけ、各種の取組を進めていくべきである。
 具体的には、高齢者の地域での生活を支えるために、介護サービスについて、24時間の定期巡回・随時対応サービスや小規模多機能型サービスの普及を図るほか、各地域において、認知症高齢者に対する初期段階からの対応や生活支援サービスの充実を図ることが必要>である。これと併せて、介護保険給付と地域支援事業の在り方を見直すべきである。地域支援事業については、地域包括ケアの一翼を担うにふさわしい質を備えた効率的な事業(地域包括推進事業(仮称))として再構築するとともに、{要支援者に対する介護予防給付について、市町村が地域の実情に応じ、住民主体の取組等を積極的に活用しながら柔軟かつ効率的にサービスを提供できるよう、受け皿を確保しながら新たな地域包括推進事業(仮称)に段階的に移行させていくべき}である。



<青色部分>は一応理解できるとして、それが{赤色部分}につながるというのが全く理解できません。


つまり、

<地域で暮らしていくために必要な様々な生活支援サービスや住まいが・・・生活実態にあわせて切れ目なく継続的に提供されることも必要>
<医療・介護サービスの提供者間、提供者と行政間などさまざまな関係者間で生じる連携を誰がどのようにマネージしていくかということが重要>
認知症高齢者に対する初期段階からの対応や生活支援サービスの充実を図ることが必要>

であるなら、

{要支援者に対する介護予防給付について・・・新たな地域包括推進事業(仮称)に段階的に移行させていくべき}

ではなく、介護保険の機能を活用して、ケアマネジメント担当者(ケアマネなど)が医療などとの「連携をマネージする」方が容易です。

もちろん、ケアマネの中には「医療などとの連携は苦手」という人物もいるでしょうが、市町村や地域包括支援センターの中にもそういうスタッフは(たぶんケアマネ中の存在比以上に)存在します。

さらにいえば、サービスを<生活実態にあわせて切れ目なく継続的に提供>しようとするためには、
(現行制度のように)要支援2と要介護1との間でケアマネジメントをぶった切るのではなく、
(平成18年3月以前のように)要支援と要介護とを行き来しても同じ専門職がケアマネジメントを担うようにすべきです。

医療機関にしても、「退院する患者が要介護になるか要支援になるかで連携相手が変わる」というのはやりにくいでしょう。

それにしても、社会保障制度改革国民会議の事務方というのは、この程度の文章能力しか持っていないのか。
どうしても「要支援外し」という結論が作りたいのなら、私程度の地方公務員ですら、もうちょっとはマシな文章が書けると思うのですが・・・・・・書く気はないけどね。