地域ケア会議の記憶と書評など

地域ケア会議について、4月からの法の規定や、現在の通知・Q&Aなどを紹介してきました。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/33843676.html

以前は、もっと、ええかげんな、ゆる~い資料しか示されていませんでした。

たとえば、「全国老人福祉担当課長及び介護保険担当課長会議資料」(平成11年11月29日開催)
資料1 介護保険法の円滑な実施のための特別対策関係
(3)介護予防・生活支援対策について

「地域ケア会議」について

1 基幹型在宅介護支援センターに設置する。
 従来の高齢者サービス調整チームを改組することを想定。ただし、保健、医療、福祉などの現場職員を中心に構成。

2 業務としては、基幹型センターの業務のうち、
(1)地域型在宅介護支援センターの統括
(2)介護保険対象外者に対する介護予防・生活支援サービスの調整
(3)介護サービス機関(ケアマネジャーを含む)の指導・支援
 を担うものとする。

3 (2)の業務については、要介護認定などの情報を活用し、自立や要支援となった者について「介護予防・生活支援」の観点から、保険外のサービスの提供が必要な者を特定するとともに、サービス内容を盛り込んだプランを作成すること。こうした高齢者に対しては、保健・福祉担当者や地域住民などによるチームがサービスを提供し、1チームは80~100人を対象とすることが考えられる。

4 (3)の業務については、[1]ケアマネジャーの調整、相談・指導を行うとともに、[2]ケア事例検討会の開催などを通じ介護サービス機関の質的向上を図る。


現在の機能、
ア 個別課題の解決
イ 地域包括支援ネットワークの構築
ウ 地域課題の発見
エ 地域づくり・資源開発
オ 政策の形成
とは必ずしも一致しません。

ですが、地域の関係者が集まれば、上のア~オなどが話題になる傾向は、以前からありました。
(少なくとも、私が出席したことのある自治体の地域ケア会議では。)

ただ、自治体によって、アを主とするか、ウ~オの方向に意識があるか、などは差がありました。

たとえば、ある自治体では、ケース検討が中心。
ある自治体では、毎月定期的に開催されていたけれど、ちょっとサロン的な雰囲気で、個別の話は各担当者が休憩時間などに行っていました。
別の自治体では、それらの混合的な感じで、月によって多少雰囲気が変わる(個人的には、ここが一番おもしろかった)。


で、最近、
「兵庫・朝来市発 地域ケア会議サクセスガイド」(メディカ出版
という本を読む機会がありました。

著者は、朝来市の足立里江さんという、地域包括支援センターの主任ケアマネです。

朝来市は人口3万人台ぐらいの規模の小さな市ですが(近年有名な「竹田城跡」のある市です)、
この市では、5種類も地域ケア会議があります。

1)向こう三軒両隣会議
2)ケアマネジメント支援会議
3)脳耕会
4)在宅医療連携会議
5)地域包括ケアシステム推進会議

読んで、にやっとしてしまう名前、なんだかわからない名前、いろいろですが、
この中で、ア~オの機能を各会議で分担するという、市のデザインが秀逸です。
(念のため。「1=ア」というような1対1対応ではありません。)

まあ、どの自治体でも5種類の会議が適当かといえば、そうでもないでしょうが、
1種類だけで全機能をもたせるのは、なかなか難しいと思います。
この本を読んで、地域ケア会議に出席していた頃にひっかかっていたものが解消された気がしました。

難をいえば文中の図の文字が小さめで、私のような人間には多少見にくいのですが、
購入者はワードやパワーポイントの資料がダウンロードできるので、拡大して見ています(笑)

地域ケア会議、なにしたらええねん?
という自治体や地域包括関係者には、お勧めだと思います。