介護報酬パブコメ結果詳細3

在宅サービスの機能と連携の強化

訪問入浴介護の初回加算は、利用者の入院等により前回のサービス利用から間隔が空いた場合、どの程度の期間の利用がなければ再算定が可能か。

 初回加算は、初回のサービス提供を行う前に利用者の居宅を訪問し、訪問入浴介護の利用に関する調整を行った場合を評価する加算ですが、この場合の初回とは、過去のサービス利用の有無に関わらず、当該訪問入浴介護事業所とサービス提供契約を締結した場合を指しています。


訪問入浴介護における清拭時の減算の見直しについては、保清により病気を遠ざけることができるようになるので、よいと思う。

 賛成のご意見として承ります。


看護体制強化加算の見直しについて、そもそも介護保険を使っている方の医療ニーズとはどの範囲を示すか。ターミナル期は医療保険に切り替わるのではないか。

 看護体制強化加算については、医療ニーズのある要介護者等の在宅療養を支える環境を整える観点や、訪問看護の機能の強化を図る観点から、見直しを行うこととしています。
 なお、原則、要介護者等に対する訪問看護については介護保険の対象となっておりますが、そのうち、末期の悪性腫瘍、難病患者、急性憎悪などにより主治医の指示があった場合などは、医療保険の対象となります。


今回の改正で緊急時の宿泊ニーズへの対応の充実にスポットが当たり、医療依存度の高い利用者が、主介護者が介護できない状況になってもスピーディーに短期入所を利用できるようになれば有り難い。
ただ現在、近隣の地域では、短期入所療養介護を受け入れてくれる施設が少ない。このように受け入れ自体がほとんど機能していない地域があることについては、どのような対応を検討しているか。

 短期入所療養介護に関しては、緊急時の受け入れや、医療ニーズ対応の向上等に関する議論がなされ、以下の対応が行われたところです。
・在宅高齢者の緊急時の宿泊ニーズに対応できる環境づくりを一層推進する観点から、緊急短期入所受入加算について、「7日以内」とされている受入日数の要件について、「7日以内を原則として、利用者家族の疾病等やむを得ない事情がある場合には14日以内」とする。
・医療ニーズのある利用者の受入の促進及び介護老人保健施設における在宅療養支援機能の推進の観点から、医師が診療計画に基づき必要な診療、検査等を行い、退所時にかかりつけ医に情報提供を行う総合的な医学的管理を評価する新たな加算を創設する。


ケアママネジメントの質の向上と公正中立性の確保

逓減制の見直しは介護保険の流れの中で必要なことだと思う。
一方で、ICT化や事務員の配置は、必ずしもケアマネ業務の効率化や業務負担の軽減に直結しないのではないか。ケアプランなどを紙で利用者に交付することや、個人情報の管理の難しさ、事業所間での電子化対応の差などを踏まえると、電子化による作業時間の軽減は限定的ではないか。また事務員の配置によりケアマネの事務時間は減少すると思うが、事務員が名ばかりで業務をしない可能性があるので、事務員に任せるべき作業を例示し、実際に行っているかの確認までする必要があるのではないか。
また、必要な費用について支援を考えてほしい。

 老人保健健康増進等事業(令和元年度)「居宅介護支援及び介護予防支援における平成30年度介護報酬改定の影響に関する業務実態の調査研究事業」の調査結果を基に介護給付費分科会において議論を行い、逓減制の見直しを行うこととしております。ICTの活用や事務職員の配置については、ケアマネジャーの業務負担軽減等に資するものとなるよう、その要件を通知等でお示ししてまいります。
 また、ICTの導入に必要な費用については、地域医療介護総合確保基金におけるICT導入支援事業により支援を行っています。


逓減制の見直しにより、質の低下やケアマネの処遇の低下、ひいてはケアマネの人材確保の悪化につながるのではないか。まだ実施するのが早すぎるのではないか。件数を増やすことで収益を上げるべきではない。
また、逓減制の見直しをしても、すでに多くの困難事例の紹介を受け、真面目に対応している事業所では、件数増加は見込めない。

 適切なケアマネジメントの実施を確保しつつ、経営の安定化を図る観点から、ICT(AI を含む)の活用又は事務職員の配置を行っている事業者が、保険者である市町村に届け出た場合に、逓減制の適用を見直すものであり、一律的な取扱いとはしておりません。


通院時情報連携加算について、新設することは有り難いが、通院同席などケアマネの大きな負担となっている業務に対し50単位というのは少ない。この単位数の根拠は何か。

 単位数については、諸般の要素を総合的に勘案し設定しています。
 なお、居宅介護支援事業所の入院時情報連携加算(II)の単位数は100単位です。


通院時情報連携加算の算定はなぜ月1回までか。急性期など頻回受診する場合、より欲しい情報があるときに使えないのではないか。

 算定回数については、老人保健健康増進等事業(令和元年度)「居宅介護支援及び介護予防支援における平成30年度介護報酬改定の影響に関する調査研究事業」において把握した、医療機関への通院同行の状況を踏まえ設定しています。


通院時情報連携加算の新設により、ケアマネは来て当然と考え、1回だけではなく無制限に要求する利用者もいるのではないか。現状のモニタリングだけで大変な業務量であるなか、これ以上の業務をどのようにこなせばよいか。情報連携強化のため、医療側が時間をとって対応すべきではないか。

 同加算については、医療と介護の連携を強化し、適切なケアマネジメントの実施やケアマネジメントの質の向上を進める観点から、利用者が医療機関において医師の診察を受ける際に介護支援専門員が同席し、医師等と情報連携を行い、当該情報を踏まえてケアマネジメントを行うことを一定の場合に評価する加算として新設したものです。


通院時情報連携加算の資料に「医療と介護の連携を強化し、適切なケアマネジメントの実施やケアマネジメントの質の向上を進める観点から」と記載されているが、通院手段がない場合に介護支援専門員が自家用車等(「白タク」)での支援を強要されることがないよう、通知等で周知すべきではないか。

 居宅介護支援の提供にあたっては、関係法令を遵守した上で対応がなされるものと考えております。


通院時情報連携加算の資料に「利用者が医療機関において医師の診察を受ける際に」とあるが、加算の目的上、訪問診療の場合も対象になると考えてよいか。

 同加算については、利用者が医療機関において医師の診察を受ける際に介護支援専門員が同席する場合の理由等を踏まえ、創設するものであり、訪問診療については対象になりません。


看取り期におけるサービス利用前の相談・調整に係る評価について、サービス利用前の業務を評価してくれるのは有り難いが、現在、場合によっては自費対応のほうが料金が安いため自費で福祉用具貸与事業所を使う利用者もいる。給付管理票の作成対象となるサービスを利用しない場合も報酬で評価してもらえないか。

 給付管理票の作成対象となるサービスを利用しない場合、給付管理票を作成できないため、居宅介護支援費の請求はできません。


委託連携加算(300単位)の新設については、評価できるが、そもそも介護予防支援の単価が低いので、一度だけ300単位がついたところで包括から居宅への再委託が進むとは思えない。また再算定を可能とする場合であっても、一定期間空けることが要件であると委託先変更の際、不都合が生じる。
今回の改正で、基本報酬の差が開くことで、委託は更に進まなくなるのではないか。

 同加算について、地域包括支援センターが居宅介護支援事業者に介護予防支援の外部委託を行いやすい環境の整備を進める観点から、地域包括支援センターが委託する個々のケアプランについて、委託時における居宅介護支援事業者との適切な情報連携等を評価する新たな加算を創設するものです。


委託連携加算の資料に「随時情報連携」と記載があるが、介護予防支援事業所と委託先事業所との間でどのような業務・連携を行う必要があるか、早急に示してほしい。

 ご指摘の点については、通知等で示してまいります。

 

(つづく)