統計資料で遊んでみる4

前記事までの続きで、
平成23年度 介護給付費実態調査の概況(平成23年5月審査分~平成24年4月審査分)」より
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/11/index.html
 
訪問介護について、こういう資料があります。
 

イメージ 1

 
赤色などでの書き込みは、引用者が行いました。
 
要するに、「重度者は身体介護の利用が多く生活援助の利用は少ないのに、軽度者は生活援助の利用が多い」という資料のようです。
でも、これは、各介護度での利用割合なのです。
要介護1と要介護5の利用の絶対額を比較したものではありません。
 
そこで、その元データを、「介護給付費実態調査月報(平成24年4月審査分)」から探してみました。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/2012/04.html
 
対象は、上記「図5」と同じ「平成24年4月審査分」なので、サービス利用月は(ほとんどが)24年3月。
したがって、報酬改定前、つまり生活援助が「所要時間45分」という妙なところでぶった切られるようになる前です。
 
イメージ 2
 
サービス利用回数のデータから試算したもので、たとえば「所要時間30分未満」は25分と、「1時間未満」は55分というように、上限より5分短い数値を仮置きしています。
なので、厳密に正確な時間数とはいえませんが、大まかな傾向をつかむのには十分と思われます。
なお、「身体+生活」は、適宜、それぞれに分解して計算しました。
 
結果を見ると、予想していた以上に美しいグラフになりました。
身体介護は重度になるほど利用が増え、生活援助は要介護2から要介護3にかけてをピークとする緩やかなカーブを描きます。
 
重度になるほど独居者は減ると考えれば、要介護4~5で生活援助が少なくなるのは理解できます。
それにしても、上の図5のイメージほど極端な差はありません。
 
「日本のケアマネやヘルパーが、全体としては健全でまともな仕事をしている」ということが如実にわかる美しいグラフです。
(中にはおかしげなケアマネたちもいるでしょうが、それを言い出せば、政治家や公務員も同じことでしょう。)
 
本来、下の美しいグラフになるはずが、上の不細工なグラフを作ったところに、厚労省職員のいびつな才能を感じないでもありません。
 
軽度者の生活援助利用を悪者にしたいがために、こんな資料を作ったのですか?
 
・・・という話はともかく、このシリーズは、もう少し続く・・・・・・かもしれません。