軽度者の生活援助の統計1


読売記事(2016.1.20)1(~4)
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/34485203.html

などで、要介護1~2の「軽度者」のサービス、特に訪問介護の生活援助を給付から除外しようとする動きについて触れました。

この問題について、介護給付費実態調査報告(平成26年5月審査分~平成27年4月審査分)のデータを基に考えてみます。


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訪問介護利用者数については、介護給付費実態調査報告の数値を12か月で割って、月当たりの人数を算出しました。
要介護1は約30万人、要介護2は約28万人で、利用者全体(要介護1~5の身体介護+生活援助)の約6割を占めます。
読売新聞の記事では「約30万人の利用者に影響が出る可能性」とありましたが、生活援助が全て外れれば(軽度者は生活援助の利用率が高いので)もっと影響が出るかもしれません。
(読売記事では、生活援助の中でも掃除や洗濯は「流動的」とされていました。)

要介護1~2の利用回数(時間の長短に関わりなくヘルパーの訪問回数と考えてよいでしょう)では、生活援助のみが全体(要介護1~5の身体介護+生活援助で、通院等乗降介助は含まない)の19%弱。
このほかに、身体介護と併せて行う生活援助が8%余りあります。これは生活援助が除外されたとしても訪問自体はなくならないので、「ヘルパーの稼働が3割近く減る」とはいえません。

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以前の記事でも行いましたが、

1人当たりの月間の利用時間を推計してみると、上図のようになります。
身体介護は重度に向かうほど増加します。
生活援助は要介護3付近をピークとする緩やかなカーブを描きます。
重度者に対して軽度者の生活援助の利用が極端に多いわけではありません。
重度になるほどひとり暮らしが減ることを考慮すると、サービスの必要性に応じた自然なグラフといえます。

(つづく)