生活保護基準保護部会報告書

生活保護、段階的に7%程度下げ方針…政府与党

 政府・与党は22日、2013年度以降の生活保護費のうち日常生活の費用である「生活扶助費」の給付水準について、3年程度かけて段階的に6~7%引き下げる方針を固めた。

 約800億円の削減となる。10年度の生活扶助費は約1兆1552億円だった。

 給付水準の引き下げは、13年度予算編成の大きな焦点となっている。下げ幅をめぐっては、厚生労働省の審議会が16日、多人数世帯の保護費ほど一般の低所得世帯の生活費を上回る傾向があるとの検証結果を公表。この逆転現象の解消と、05年度以降据え置かれてきた水準について、近年のデフレによる物価下落に連動させる必要があるとし、全体で6~7%程度の引き下げが妥当だと判断した。
(2013年1月23日06時18分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130122-OYT1T01732.htm?from=ylist

「検証結果」というのは、こちらです。

社会保障審議会生活保護基準部会報告書のとりまとめについて」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002szwi.html

の、「社会保障審議会生活保護基準部会報告書」。

で、紛らわしい書き方ですが、
「全体で6~7%程度の引き下げが妥当だと判断した」のは審議会ではなく、政府与党です。

報告書には、
現実には第1・十分位の階層(引用者注:一般の低所得者世帯と考えてください)には生活保護基準以下の所得水準で生活している者も含まれることが想定される点についても留意が必要である。
など、慎重な対応を求めているのではないかと読める記述がいくつかあります。

その点については、ネット上各所で懸念の声はあります。
たとえば、

生活保護10%引き下げ」への疑念
厚労省報告書から読み取れない保護費削減の根拠は?
――政策ウォッチ編・第11回
http://diamond.jp/articles/-/31024

ここでは、少し別の角度から。

イメージ 1


報告書に記載されているグラフを、少し加工してみました。
(緑色部分が加工・追加箇所)

一般低所得者の消費は、
1)年齢別には、保護基準よりなだらか
2)第1類(食費など個人の需要に着目した支出)は、世帯員が多いと余裕あり
3)第2類(光熱水費など世帯共通経費)は、世帯員が多くても基準ほどは減らない
4)大都市圏と地方の生活費は、基準ほどは差がない
と読めます。

つまり、
・小学生から壮年層までの生活費は多少余裕があるが、乳幼児や(中)高年層では苦しい
・世帯員数のスケールメリットについて、第1類と第2類とで見直しが必要か
・大都市圏は保護費を下げても、地方では上げるべきでは?
という感じでしょうか。

余談ですが、「大都市圏と地方とでは、最低生活費にそれほど差がない」というのは、介護保険サービスや障害福祉サービスの地域区分による単価差問題でも、推測していたところです。
(ただし、生活扶助とは別立ての住宅扶助では、けっこう差が出るのではないかと予想しています。)
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/30245923.html

あと、

就労を促す仕組み(特別控除などの取扱いも気になります。
(特別控除等については、こちら)
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/30731906.html

ケースワーカー不足についても、生活保護問題では避けて通れないはずです。本当なら。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/29935339.html

保護費削減ありきではないか、注視していく必要があります。