教職員の駆け込み退職

埼玉の教員100人以上 1月末で“駆け込み退職”手当減額イヤ

スポニチアネックス 1月23日(水)7時1分配信)

 埼玉県が2月1日から職員の退職手当を減額するのを前に、3月末に定年退職を迎える県内の100人以上の教員が1月末で“駆け込み退職”する見通しであることが22日、分かった。3月末に退職するよりも約70万円多くもらえるという。中には学級を受け持つ担任や教頭もおり、上田清司知事は「無責任だ」と苦言を呈した。

 1月31日までに退職を希望しているのは、さいたま市を含む小中学校の教員で72人。高校と特別支援学校の教員も36人に上る。既に退職願を提出したり、退職の意向を示したりしている。

 県教育委員会などによると高校、特別支援学校の退職希望者は、3月末で定年となる教師の10%弱で、担任は2人。さいたま市の小中学校では、定年者の16%に上る21人が退職を希望しており、担任は3人。県教委の管轄下にある小中学校では53人で6・5%だったが、担任の数は16人に及び教頭も3人いるという。

 理由については「一身上の都合」がほとんどだが、さいたま市教委は、「条例による退職手当の減額が直接的な原因とみています」と話す。

 条例は昨年12月、県議会で可決され2月1日施行。14年8月までに手当を段階的に約400万減額するというもので、勤続35年以上の職員が3月末の定年を待って退職すると、現行より150万円減。1月末で退職すれば2、3月の給与計約80万円を差し引いても、約70万円多くもらえる。

 埼玉県教職員組合の幹部によると、「条例の改正については組合員から多くの疑問が出ていた」という。県教委は「校長も“ハイそうですか”と応じるはずはないでしょうし、本人の意思が固いということでしょう。一身上の都合と言われると詮索する権利もない」とお手上げだ。

 学級担任などの補充人事は教員の臨時任用や副担任により補う方針だが本来3月末まで受け持つ担任がいなくなることで児童、生徒や保護者への影響は必至。さいたま市教委は「われわれも学校長も3月末まで勤めてほしいのはもちろんだし、教員にも葛藤はあると信じたいが、70万円というのは大きな額。ローンなど、それぞれ事情に違いもあるでしょうし、あまり強くも言えない」と話す。

 総務省によると、同様の条例改正を予定しているのは昨年12月1日時点で37都県。同省は「埼玉のような例は初めて聞いたが、他にも出るかも」と危機感を強めている。

 ≪知事が不快感≫上田知事は22日の会見で「2カ月残して辞めるのは無責任とのそしりを受けてもやむを得ない」と不快感を示した。「それぞれが得か損かの判断をしている。価値観までは強制できない」としつつも「責任ある立場の人は責任をしっかり受け止めてほしい」と述べた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130123-00000027-spnannex-soci


埼玉県以外でも問題になっている件です。

総務省も、その知事も、

「ばっかじゃなかろうか?」

というのがコメントを読んだ私の感想です。

早く辞める方が70万円多くもらえる、というより、
3月末まで勤める方が70万円少なくなる、という受け止め方でしょう。
教師の批判云々ではなく、そういう制度にした知事、ひいては国の責任(後述)では?


駆け込み退職:埼玉の教員100人超希望 「真面目ほど不利益」

毎日新聞 2013年01月23日 東京朝刊)
http://mainichi.jp/feature/news/20130123ddm041100129000c.html

(埼玉県知事は)
県が退職金が減額される改正条例を2月の施行にした理由を「1月1日が望ましいと思ったが、組合もあり最小限の周知期間が必要だった」と説明。4月施行で減額を遅らせた場合には逆に人件費の負担増が約39億円に上り、別の批判を招く恐れがあったとして理解を求めた。

う~ん、理解できません。

そもそも、この問題は、こちらが直接の発端になっています。

地方公務員も減額徹底を 退職手当法改正で総務省
(2012.11.26 16:52 MSN産経ニュース

 総務省は26日、国家公務員の退職手当を約15%、平均403万円減らす改正法公布に伴い、地方公務員の退職手当も同様に減額するよう都道府県知事らに通知した。退職手当と年金を合わせた退職給付が民間より高い状態を是正するため。
(略)
 総務省は2012年度の定年退職者が集中する3月末に間に合う減額開始を求めており、自治体の一部は調整率を引き下げる条例改正の準備を進めている。
(略)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121126/lcl12112616530000-n1.htm


退職給付(退職手当+年金)の官民格差の解消というなら(それについての議論は置いといて)、
これから定年を向かえる年代のみに負担させるのではなく、
すでに退職した官公庁OBにも負担させるべきでした。

つまり、すでに年金受給中のOBも対象とする共済年金の減額。
ただ、老後の生活設計が根底から狂ってしまうのも問題なので、
一定の年金水準の層から、高額受給者の方向に向けて、少しずつ減額幅を増やしていく、というような。

高級年金受給者は、現役の公務員時代、何らかの権限がある立場だったはずで、
現在の国や自治体の財政悪化に対しても、何らかの責任があったともいえます。
年金という「財産権の保護」という主張については、特別立法などで強引に突破して。

でも、制度設計者にそういう発想はないんだろうなあ。