扶養義務者と生活保護2

<局>第5-2 扶養能力の調査について

(1)1により把握された扶養義務者について、その職業、収入等につき要保護者その他により聴取する等の方法により、扶養の可能性を調査すること。なお、調査にあたっては、金銭的な扶養の可能性のほか、被保護者に対する定期的な訪問・架電、書簡のやり取り、一時的な子どもの預かり等(以下「精神的な支援」という。)の可能性についても確認するものとする。

(2)次に掲げる者(以下「重点的扶養能力調査対象者」という。)については、更にアからエにより扶養能力を調査すること。
 [1] 生活保持義務関係にある者
 [2] [1]以外の親子関係にある者のうち扶養の可能性が期待される者
 [3] [1]、[2]以外の、過去に当該要保護者又はその世帯に属する者から扶養を受ける等特別の事情があり、かつ、扶養能力があると推測される者
 ア 重点的扶養能力調査対象者が保護の実施機関の管内に居住する場合には、実地につき調査すること。
  重点的扶養能力調査対象者が保護の実施機関の管外に居住する場合には、まずその者に書面により回答期限を付して照会することとし、期限までに回答がないときは、再度期限を付して照会を行うこととし、なお回答がないときは、その者の居住地を所管する保護の実施機関に書面をもって調査依頼を行うか、又はその居住地の市町村長に照会すること。ただし、重点的扶養能力調査対象者に対して直接照会することが真に適当でないと認められる場合には、まず関係機関等に対して照会を行い、なお扶養能力が明らかにならないときは、その者の居住地を所管する保護の実施機関に書面をもって調査依頼を行うか、又はその居住地の市町村長に照会すること。
  なお、相当の扶養能力があると認められる場合には、管外であっても、できれば実地につき調査すること。
 イ 調査は、重点的扶養能力調査対象者の世帯構成、職業、収入、課税所得及び社会保険の加入状況、要保護者についての税法上の扶養控除及び家族手当の受給並びに他の扶養履行の状況等について行うこと。
 ウ アの調査依頼を受けた保護の実施機関は、原則として3週間以内に調査の上回答すること。
 エ 調査に際しては、重点的扶養能力調査対象者に要保護者の生活困窮の実情をよく伝え、形式的にわたらないよう留意すること。

<引用者注>
*生活保持義務関係:配偶者間、又は親から未成熟の子(一般的には中3以下)に対する関係

問2 局長通知第5の2の(1)による扶養の可能性の調査により、例えば、当該扶養義務者が被保護者、社会福祉施設入所者及び実施機関がこれらと同様と認める者、要保護者の生活歴等から特別な事情があり明らかに扶養ができない者並びに夫の暴力から逃れてきた母子等当該扶養義務者に対し扶養を求めることにより明らかに要保護者の自立を阻害することになると認められる者であって、明らかに扶養義務の履行が期待できない場合は、その間の局長通知第5の2の(2)及び(3)の扶養能力調査の方法はいかにすべきか。

答1 当該扶養義務者が生活保持義務関係にある扶養義務者であるときは、局長通知第5の2の(2)のアのただし書きにいう扶養義務者に対して直接照会することが真に適当でない場合として取り扱って差しつかえない。
 2 当該扶養義務者が生活保持義務関係にある扶養義務者以外であるときは、個別の慎重な検討を行い扶養の可能性が期待できないものとして取り扱って差しつかえない。
 3 なお、いずれの場合も、当該検討経過及び判定については、保護台帳、ケース記録等に明確に記載する必要があるものである。

<局>第5-2-(3)重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者については、次により扶養能力を調査すること。なお、実施機関の判断により、重点的扶養能力調査対象者に対する調査方法を援用しても差しつかえない。
 ア 重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者への照会は、原則として書面により回答期限を付して行うこと。なお、実施機関の判断により電話連絡により行うこととしても差しつかえないが、不在等により連絡が取れない場合については、再度の照会又は書面による照会を行うこと。また、電話連絡により照会した場合については、その結果及び聴取した内容をケース記録に記載するとともに、金銭的な援助が得られる場合については、その援助の内容について書面での提出を求めること。
 イ 実施機関において重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者に対して直接照会することが真に適当でないと認められる場合には、扶養の可能性が期待できないものとして取り扱うこと。
 ウ 照会の際には要保護者の生活困窮の実情をよく伝えるとともに、重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者の世帯構成、職業、収入、課税所得及び社会保険の加入状況、要保護者についての税法上の扶養控除及び家族手当の受給並びに他の扶養履行の状況等の把握に努めること。

(4)扶養の程度及び方法の認定は、実情に即し、実効のあがるように行うものとし、扶養義務者の了解を得られるよう努めること。この場合、扶養においては要保護者と扶養義務者との関係が一義的であるので、要保護者をして直接扶養義務者への依頼に努めさせるよう指導すること。

(5)扶養の程度は、次の標準によること。
 ア 生活保持義務関係(第1の2の(4)のイ、同(5)のイ、ウ若しくはオ又は同(8)に該当することによって世帯分離された者※に対する生活保持義務関係を除く。)においては、扶養義務者の最低生活費を超過する部分
 イ 第1の2の(4)のイ、同(5)のイ、ウ若しくはオ又は同(8)に該当することによって世帯分離された者※に対する生活保持義務関係並びに直系血族(生活保持義務関係にある者を除く。)兄弟姉妹及び相対的扶養義務者の関係(以下「生活扶助義務関係」という。)においては、社会通念上それらの者にふさわしいと認められる程度の生活を損わない限度

<引用者注>
※重度障害者や要介護者の介護のために同居している(他にも条件あり)など特別の事情があって世帯分離している場合

問3 生活扶助義務関係にある者の扶養能力を判断するにあたり、所得税が課されない程度の収入を得ている者は、扶養能力がないものとして取り扱ってよいか。

答 給与所得者については、資産が特に大きい等、他に特別の事由がない限り、お見込みのとおり取り扱って差しつかえない。給与所得者であってもこの取扱いによることが適当でないと認められる者及び給与所得者以外の者については、各種収入額、資産保有状況、事業規模等を勘案して、個別に判断すること。

問4 局長通知第5の2の(5)のアは、生活保持義務関係にある者の同居の事実の有無又は親権の有無にかかわらず適用されるものと思うが、どうか。

答 お見込みのとおりである。