ギャンブル浪費通報条例1

兵庫・小野市:生活保護「適正化」条例案 パチンコ、競馬だめ 見つけた人は通報

毎日新聞 2013年02月27日 大阪夕刊)

 兵庫県小野市は27日、生活保護費や児童扶養手当をパチンコなどで浪費することを禁じ、そうした受給者の情報提供を市民に求める「福祉給付制度適正化条例案」を市議会に提案した。受給者のギャンブルについては明確な規定がなく、蓬莱(ほうらい)務市長は「自立の妨げになるギャンブルなどに費やすことは規制しなければならない」と話すが、受給自粛を懸念する声も出ている。

 条例案は3月27日に可決される見通しで、市は4月1日からの施行を目指している。

 条例案は、不正受給の疑いやパチンコ、競輪、競馬、賭博などへの浪費で生活に常習的に支障が生じている受給者について通報することを「市民の責務」と規定。市民からの情報を基に元警察官の「適正化推進員」が調査し、状況に応じて市が指導する。市民には、ギャンブルだけでなく、受給から漏れて困窮状態にある要保護者の通報も求めている。

 同市は人口約5万人で、先月の受給世帯は生活保護費120世帯、児童扶養手当420世帯。

◇浪費防止狙う
 市の担当者は「生活に支障が出る常習的な浪費は把握していない。浪費防止の条例案だ」と説明している。厚生労働省によると、生活保護受給者は車所有や預貯金など資産保有が制限されているが、「使途規制の条例化は聞いたことがない」としている。

 公的扶助に詳しい道中隆・関西国際大教授(社会保障論)は「誰が受給者なのか判別できず、通報の有効性は疑わしい。一方、多数の目による監視を促しているので困窮者の受給自粛も予想され、命に関わる重大な結果につながりかねない」と話している。【浜本年弘】
http://mainichi.jp/area/news/20130227ddf041010021000c.html

*賛否両論・・・というより、反対意見の方が多いかな、という印象ですが、小野市の議会サイトに議案(PDF)が載っていたので、見てみました。
(適宜省略しています。なお、文字強調は引用者が行いました。また、*印は、引用者のコメントです。)

小野市福祉給付制度適正化条例(案)

http://www.ono-sigikai.jp/?id=283

(目的)
第1条 この条例は、生活保護法・・・第6条第4項に規定する金銭給付、児童扶養手当法・・・第5条に規定する手当額その他福祉制度に基づく公的な金銭給付について、偽りその他不正な手段による給付を未然に防止するとともに、これらの福祉制度に基づき給付された金銭の受給者が、これらの金銭を、遊技、遊興、賭博等に費消してしまい、生活の維持、安定向上に努める義務に違反する行為を防止することにより、福祉制度の適正な運用とこれらの金銭の受給者の自立した生活支援に資することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1)受給者 生活保護法・・・に規定する被保護者児童扶養手当法・・・により児童扶養手当の支給を受けている児童の監護者その他の福祉制度に基づき給付される金銭給付を受給している者又は受給しようとする者をいう。
(2)市民 市内に住所又は生活若しくは活動の拠点を置く者及び一時的に市内に滞在する者をいう。
(3)関係機関 警察、県、公共職業安定所等の公的機関をいう。

(受給者の責務)
第3条 受給者は、偽りその他不正な手段を用いて金銭給付を受けてはならないとともに、給付された金銭を、パチンコ、競輪、競馬その他の遊技、遊興、賭博等に費消し、その後の生活の維持、安定向上を図ることができなくなるような事態を招いてはならないのであって、常にその能力に応じて勤労に励み、支出の節約を図るとともに、給付された金銭が受給者又は監護児童の生活の一部若しくは全部を保障し、福祉の増進を図る目的で給付されていることを深く自覚して、日常生活の維持、安定向上に努めなければならない。
2 受給者は、次条第3項の規定に基づき市から必要な指導又は指示があった場合は、これに従わなければならない。

(市の責務)
第4条 市は、生活保護制度、児童扶養手当制度その他福祉制度の趣旨にのっとり、市民、地域社会その他関係機関と連携協力して、これらの制度に基づく金銭給付を支給するに当たって、偽りその他不正な手段により支給がなされない体制を構築するものとする。
2 市は、受給者が給付された金銭を、パチンコ、競輪、競馬その他の遊技、遊興、賭博等に費消してしまい、その後の生活の維持、安定向上を図ることができなくなるような事態を防ぐため、受給者の健全な生活の確保と自立のための必要な相談、指導、指示等を行う体制を構築するものとする。
3 市は、前項の相談、指導、指示等を行うに当たっては、受給者の意思を尊重し、生活の維持、安定向上の目的に資するための必要最小限度のものでなければならない。


*「福祉制度に基づく公的な金銭給付」ということは、生活保護費、児童扶養手当だけでなく、特別児童扶養手当、読み方によっては児童手当なども含まれそうです。生活保護についてなら、指導や指示など法に明記されているのですが。