扶養義務者と生活保護3

<局>第5-2-(6)扶養の程度の認定に当たっては、次の事項に留意すること。
 ア 扶養義務者が生計中心者であるかどうか等その世帯内における地位等を考慮すること。
 イ 重点的扶養能力調査対象者以外の者が要保護者を引き取ってすでになんらかの援助を行っていた場合は、その事情を考慮すること。

3 扶養の履行について

(1)重点的扶養能力調査対象者が十分な扶養能力があるにもかかわらず、正当な理由なくして扶養を拒み、他に円満な解決の途がない場合には、家庭裁判所に対する調停又は審判の申立てをも考慮すること。この場合において、要保護者にその申立てを行わせることが適当でないと判断されるときは、社会福祉主事が要保護者の委任を受けて申立ての代行を行ってもよいこと。なお、重点的扶養能力調査対象者以外の者について家庭裁判所に対して調停等を申立てることを妨げるものではない。

(2)(1)の場合において、必要があるときは、(1)の手続の進行と平行してとりあえず必要な保護を行ない、家庭裁判所の決定があった後、法第77条の規定により、扶養義務者から、扶養可能額の範囲内において、保護に要した費用を徴収する等の方法も考慮すること。
 なお、法第77条の規定による費用徴収を行なうに当たっては、扶養権利者が保護を受けた当時において、当該扶養義務者が法律上の扶養義務者であり、かつ、扶養能力があったこと及び現在当該扶養義務者に費用償還能力があることを確認すること。

(3)扶養義務者の扶養能力又は扶養の履行状況に変動があったと予想される場合は、すみやかに、調査のうえ、再認定等適宜の処理を行うこと。
 なお、重点的扶養能力調査対象者に係る扶養能力及び扶養の履行状況の調査は、年1回程度は行うこと。

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法律や通知(生活保護の実施要領など)の引用は、ここまでです。

お笑い系分野の著名人の親が生活保護を受けていたということが話題になっています。
私は事実関係や、そもそもその著名人のことをよく知らない(あまり興味がない)ので、断定的なことは書けないのですが・・・

生活保護受給者に対する援助を、その扶養義務者(親族)にどの程度要請できるか、というのは、なかなか難しい問題です。

福祉事務所がやる気になれば、特定のケースについて、法律に基づいて調査したり、扶養義務者が年収5千万円・・・でなくて、もうちょっと低い額の収入でもあれば、扶養を求めることは可能でしょう。

ただし、税や介護保険料、保育料などのような強制徴収権限はないので、裁判手続きを通じて、ということになります。

そのあたりを、家庭裁判所の意見は反映させるにしても、もう少し簡単にできるようにならないか、という議論は、あってもよいのかもしれません。

ただ、扶養義務者の全てではないにしても、権利意識ばかり強くて身内の支援(金銭とは限らない)をしようともせずに福祉事務所に文句ばっかり言っている人間が少なからず存在することについては、やりきれない思いがあります。

そうでない人たちも多いのですが・・・故郷の老親は生活保護まかせ、1円も扶養できない理由は都会で建てた住宅のローン返済・・・というのは、税金が個人の資産形成に回っているのと同じようなものですから。

「子どもの学費がかさむから」というような理由なら、次代の社会を担う世代を育成するためでもありますし、まだわかるのですが。