参議院議員・鈴木宗男氏は、最近、ブラジルなどBRICSやG20を持ち上げているようです。
同氏の5月6日のブログより
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(ブラジルの)ルラ大統領はウクライナ戦争でも「停戦論者」である。アメリカの隣国であってもアメリカにもはっきりものを言っている。
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停戦はいいです。問題はどんな条件で停戦するかということで。
国連など国際社会で認識されている国境を越えて侵攻しているのはロシア軍ですから、ロシア側が撤退することについては、ロシア以外のどの国も反対しないでしょう。
それはともかく、ブラジルはアメリカの隣国ではありません。
カリブ海等に米領はありますが、どう見てもブラジルとは隣接していません。
アメリカとロシアなら、ベーリング海峡を隔てて隣接していますが(北極海を隔てて、という見方も可能)。
鈴木君、世界地図の見方を知ってる?
さて、鈴木氏の5月8日のブログより
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昨日、3月の大統領選挙でロシア国民から圧倒的支持を受けたプーチン大統領が就任式を行った。
報道では一部しか出ていないので、読者の皆さんに就任式におけるプーチン大統領の挨拶を全文紹介したい。
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ウクライナ戦反対を訴える有力候補の立候補を妨害してまで「圧倒的支持」を演出したプーチン氏を、曲がりなりにも日本の国会議員がそこまで持ち上げるか、とは思いますが、それは置いといて。
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世界を見る時、50年前G7で世界の経済の80%を占めていたが、今は40%である。
G20「ロシア、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、インドネシア、アルゼンチン、オーストラリア、メキシコ、韓国、サウジアラビア、トルコ、アフリカ連合(AU)、プラスG7」が世界の経済の80%を占めている。
アメリカ一極集中の世界ではなくなっている。人類の存続がかかる地球環境問題でも各国協力、強調して行くしかない。
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詳細な数値はツッコミどころがありますが、たとえばGDPについては統計の取り方によって多少なりとも差が出るものではあります。
G7の相対的なウェイトが低下しているのは事実でしょう。
よい機会なので、G7とBRICSとを比較した4月の表を、G20も加えてみます。
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2024/04/22/212313
なお、GDP16位のインドネシアまでは順番どおりですが、それ以降は必ずしも連続の順位ではありません。
で、表の右端が、「ウクライナの領土一体性決議」(ロシア占領地の「住民投票」による「ロシア併合」否定決議。2022.10国連総会)の賛否です。
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2022/10/13/220413
総会では、賛成143、反対5、棄権または投票なし(ベネズエラのように分担金滞納で投票できなかったケースを含む)45。
圧倒的な賛成で、ロシアの非道が否定されました。
(だから、この否定された「ロシア併合」地域でウクライナ国民にも強制されたロシア大統領選は無効、という考え方も、当然あります。鈴木氏は恥ずかしげもなく賛美しているけれど。)
G20では、赤っぽい色塗りのロシアだけが反対。
G20でもあるBRICS諸国のうち、中国、インド、南アフリカが棄権または投票なし(黄色)。
他(15か国・青っぽい色)は、鈴木宗男氏のお気に入りらしいブラジルを含めて、ロシアの所業にNOをつきつけました。
(G20は、EUやアフリカ連合もメンバーではありますが、国連総会での投票権がある国という意味では19か国です。)
念のため。G20以外のBRICSにも、ロシアに同調して反対票を投じた国はありません。
対露制裁には踏み切っていない国でも、ロシアの所業を否定している国は、G7やEU以外でも多数派といってよいでしょう。
(ちなみに、非G7、非EUのG20では、豪州や韓国なども制裁をしています。G20以外の国ではシンガポールも。)
アメリカやG7だけで全てが決まる時代ではない。
そのとおりでしょう。
しかしながら、G20でも圧倒的多数の国が、ウクライナにおける占領地のロシア併合に反対していますし、BRICSでも賛成している国はありません(ロシア以外は)。
「人類の存続がかかる地球環境問題」でも、ロシアの火力により、無駄な温室効果ガスが増えるばかりです。
あ、
「人類の存続がかかる地球環境問題でも各国協力、強調して行くしかない。」
「協調」の間違いですよね、鈴木君。
でも、性能の悪い北朝鮮製ミサイルとか撃ちまくっているロシアに言ってね。
と強調しておきます。