議員辞めたら全員生活保護?

「議員年金」復活検討の意見も 自民 総務会

(NHK 11月14日 15時37分)

自民党の総務会で、11年前に廃止された国会議員の互助年金、いわゆる議員年金の制度について、「待遇が悪いのは当たり前だという風潮では優秀な人材が集まらない」などとして、制度の復活を検討する必要があるという意見が出されました。

国会議員の互助年金、いわゆる議員年金の制度は、支給額が多いことなどから、「特権の象徴だ」という批判が出たため、11年前の平成18年に廃止されました。

これについて14日の自民党の総務会で、出席者から「議員の待遇は悪いのが当たり前だという風潮では優秀な人材が集まらない」、「国会に合わせて、地方議員も議員年金がなくなり、非常に困っているという声もある」などと、制度の復活を検討する必要があるという意見が出されました。また、「当事者である国会議員ではなく、外部の有識者に議論してもらったほうがいい」という指摘も出されました。

このあと、竹下総務会長は記者会見で「若くして当選した国会議員は、辞めたら全員生活保護になるような状況だ。こんな国は世界中になく、そこは皆さんにも認識してもらいたい」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171114/k10011223021000.html


議員年金制度の是非などについてはネット上の意見表明も多いと思われるので、それ以外の観点からツッコミを。


「若くして当選した国会議員は、辞めたら全員生活保護になるような状況だ」
という部分について。

通常、全員が生活保護を受けるようなことにはなりません。


まず、辞職なり落選なりで議員歳費が入らなくなったとしても、それだけでは保護は受けられません。
現金、預貯金をはじめ、すぐに換金できるような資産があれば、それらが最低生活費の基準額を超えていたら保護は受けられません。
(すぐに資金化(売却・解約等)できないような資産なら、資金化できるまでの間は保護費が支給される場合がありますが、資金化できた時点で返還義務が発生します。)

また、働ける人は、当然働いてください。
落選したけど次の選挙まで保護を受ける、などということは許されないので、ハローワークに行くなど求職努力をしてください。なお、仮に保護受給中に職が決まったら、ケースワーカーに報告し、収入申告もしてください。

高齢や障害などで働けない場合もあるでしょうが、年金など他の制度が利用できるときはそちらが保護よりも優先です。
(まさか、年金保険料を払っていないから国民年金(老齢基礎年金や障害基礎年金)すら受給権がない、などとはいわないでしょうね?)

親族の扶養義務も保護より優先です。

なお、選挙資金等で借金があったとしても、保護の要否には直接関係しません。
銀行や政党や派閥の長などに借金返済しなければならないので今の給与収入で生活できない、といわれたとしても、借金返済分は原則として考慮しません。


さあ、若くして当選した国会議員が10人いたとして、そのうち何人が保護を受けられるでしょうか?


私は1人もいないと思いますが。




********************


保護の要件等
 生活保護は世帯単位で行い、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提でありまた、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します。

資産の活用とは
 預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等があれば売却等し生活費に充ててください。

能力の活用とは
 働くことが可能な方は、その能力に応じて働いてください。

あらゆるものの活用とは
 年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合は、まずそれらを活用してください。

扶養義務者の扶養とは
 親族等から援助を受けることができる場合は、援助を受けてください。

 そのうえで、世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、保護が適用されます。