ギャンブル浪費通報条例2

(市民及び地域社会の構成員の責務)
第5条 市民及び地域社会の構成員は、生活保護制度、児童扶養手当制度その他福祉制度が適正に運用されるよう、市及び関係機関の調査、指導等の業務に積極的に協力するものとする。
2 市民及び地域社会の構成員は、地域活動で得た人と人とのつながりを活かし、相互に助け合い協力して、要保護者(生活保護法第6条第2項に規定する者をいう。)を発見した場合は速やかに市又は民生委員(民生委員法・・・の規定により厚生労働大臣の委嘱を受けた者をいう。)にその情報を提供するものとする。
3 市民及び地域社会の構成員は、受給者に係る偽りその他不正な手段による受給に関する疑い又は給付された金銭をパチンコ、競輪、競馬その他の遊技、遊興、賭博等に費消してしまい、その後の生活の維持、安定向上を図ることに支障が生じる状況を常習的に引き起こしていると認めるときは、速やかに市にその情報を提供するものとする。

(適正化協議会の設置)
第6条 市長は、第4条第1項及び第2項に規定する福祉制度の適正な運用を総合的かつ効果的に推進するため、小野市福祉給付制度適正化協議会(以下「適正化協議会」という。)を設置するものとする。
2 前項の適正化協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。

(推進員の設置)
第7条 市長は、小野市福祉給付制度適正化推進員(以下「推進員」という。)を置き、第5条第3項の規定による情報提供があった場合又はそれに相当する疑わしい事実があると自ら判断した場合は、その詳細な実態を推進員に調査させるものとする。
2 前項の推進員の調査活動は、犯罪捜査のためと解してはならない。
<第6条・第7条のみ、公布から起算して1年以内の規則で定める日から施行>

(不正利得の徴収等)
第8条 前条第1項に規定する実態調査により受給者が、偽りその他不正な手段により給付を受けたことが判明した場合には、生活保護法第78条、児童扶養手当法第23条その他これに相当する規定により、その支給した金銭の一部又は全部を受給者から徴収するものとする。
2 前項による処分のほか、生活保護法第85条、児童扶養手当法第35条等の罰則規定がある場合は、刑事訴訟法・・・第230条の規定による告訴又は同法第239条の規定による告発を行い、厳正に対処するものとする。
3 受給者が給付された金銭について、刑法・・・第185条又は同法第186条に規定する賭博に費消していると認めた場合も、前項と同様とする。

(個人情報に関する取扱い)
第9条 市は、この条例の施行に当たっては、知り得た個人情報の保護及び取扱いに万全を期するものとし、当該個人情報を業務の遂行以外に用いてはならない。
2 偽りその他不正な手段による受給等に係る情報等の通告、通報、相談等に関係したすべての者は、正当な理由なく、その際に知り得た個人情報を他人に漏らしてはならない。

補則
第10条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

附則<第6条・第7条を除き、公布の日から施行>


*ギャンブルを通報というのではなく、費消して、その後の生活の維持、安定向上を図ることに支障が生じる状況を「常習的に引き起こしている」場合の通報なのですね。
 それなら、趣旨は理解できます。一般市民がその趣旨を理解してくれるかどうかは別ですが。
 さらに問題なのは、生活保護費や児童扶養手当などの「受給者」であるということを、市民がわかるかということ。
 場合によっては、児童手当の受給者も?
(もっとも、児童手当をパチンコなどに使い込んで保育料や給食費を滞納している親は、通報されてもバチが当たらない気が個人的にはしますが・・・)

*第6条や第10条の「別に定める」規定を見ないと、何ともいえないところはありますが、
 全体の印象としては、やはり(受給者と周知できない以上)通報義務は無理があるように思います。
 ただ、「生活保護世帯の個人情報」という記事で触れたような、保護受給者と知っている介護保険障害福祉サービス事業所などには、関係してくるでしょう。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/31638701.html

条例案の趣旨や条文のところどころには生活保護法と同様の文言も見られ、前述の問題以外には、それほど違和感はありませんでした。
 ただ、ギャンブル依存の解決は難しく、この条例で効果がどの程度あるかは疑問です。
 ギャンブル以外にすることを見つけるとか(高齢世帯や障害者向けのボランティアなど)、保健・医療・福祉などさまざまな分野の連携が必要なのでしょうね。