認知症ケア

2011年6月16日 第76回社会保障審議会介護給付費分科会議事録より(その4)
ttp://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001iusg.html

○大森分科会長
・・・私は、ちょっと座長として言い過ぎですけれども、認知症ケアのあり方について具体的な病気との関係、それから実際の経験とか、精神科のお医者さんの知恵とか、今のような新しく実験を始めているモデルとか、そういうものを総結集すべきだと思うのですよね。その体制をできるだけ早い時期に立ち上げるべきではないかと前から個人的に思っていまして、現場の方のいろいろ苦労もありますし、それから、余りある種の偏見というかな、予断を持って当たると悪化するケースもあるはずですので、やはりこの機会に、認知症ケア及び医療と介護との関係を総合的に、集中的に検討すべきではないかと思っているのですけれども。
 ちょっと今日は意気込んで言っているのですが、室長さん及び当局はどう考えているか、一言お伺いしたいと思っています。シナリオに全くありませんので、余計なことを言っているのですけれども、大事ですので、踏み切ってもらいたいというのが私の感じ方ですが、いかがでしょうか。
○千葉認知症対策室長 御指摘の点、私どももよく了知はしております。認知症のこのケアモデルのあり方については、なかなか確立されていないという問題がございました。この点について、私どもといたしましても、できる限り、どのようなサービスを展開していくべきなのか、あるいは組み合わせみたいなものもあるかもしれません。そういったものを提供することによって、認知症の方が落ち着くのかということは、これは考えていかなければならない事項だと思っております。
 また、1つ申し上げられることは、やはりこういうことに関しましては、実践現場で、例えば御苦労なさっておられる事業者の方々、あるいは医療サービスで医療の担当をなさっておられる方々、こうした方々が、例えば原因疾患別に見てどういう状況にあるのか、あるいはステージ別に見てどういうことになっているのか、そういったあたりというものを、知見を今まで暗黙知の領域にとどまっていた部分もあるかもしれませんが、そういったところをできるだけ出していただいて、一般的なプロトタイプみたいなものが出せるのかどうか、そういったあたりにつきまして我々としても検討していきたいと。また、そういったものを踏まえながら施策のあり方というものを更に探ってまいりたい、このように考えているところでございます。
 いずれ、そうした場というものを設けることも含めまして検討させていただきたいと考えております。
○勝田委員
・・・前々回だったでしょうか、私たちが積み重ねてきた認知症ケアの一つとして、「寄り添うケア」について、本人や家族に寄り添いながら一緒にやっていく、そのことがとても大切なのだということを私たちは感じていますし、またいろいろな研究もされて成果も上げています。池田委員が「寄り添うケアというのはばかげているのだ」との御発言があったと思うのですが、私たちはそれに対しては異論がありますし、どのようなエビデンスをもってそのようにおっしゃったのか、今日でなくても結構です。今、当事者本人の気持ちに沿う介護、そのことも含めた認知症ケアではないかと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○大森分科会長 ちょっと1回きちんとして検証の場に乗せるべきだと思うんですよね。勝田さんたちはクリバヤシクレストのことをおっしゃっているのですけれども、お気持ちはわかりますが、先ほど言ったように、きちんとした検証の場に据えて、具体的にこうすると、こういうふうになる、こういうサービスはこういう意味で有効なのだというそのことをきちんとやれない限り、繰り返し同じことをやっておられますので、私はそういう議論もどこかで断ち切りたいと思っているのですよ。ですから、そういう形できちんとしたルールに乗せていきたいと思っているのですけれども。
○池田委員
・・・重要なのは、原因疾病の解明と脳の損傷状態と、そのことから来るBPSDというものを解明していく、そこからケア方針の基本が立つわけですよ。ところが、聴いていると、全部経験則でもってケアの議論がされている。それはどこかで断ち切らないといけないと思います。
 したがって、認知症ケアの中で結構有力あるいは参考になる意見というのは、高次脳機能障害の研究者の方たちの議論というのは、すごくよくわかるところがあるんです。そういった意味では、従来のケアの要するに経験と勘の世界でできていたケアの世界から科学の世界へ戻そうということを言っているわけです。そこから出発しなければなかなかうまくいかないよという意味では、先ほどの室長の言い方は、どうもやはり経験則の積み重ねみたいなところがあって、それではだめだと思うのですね。それも必要だろうと思いますけれども、「よりそう」などという情緒ではなく、科学から出発するということで、それが重要であると思います。


不毛気味の議論でコメントするのも辛いのですが、
先入観(特に「寄り添う」という言葉に対するアレルギーが強い池田委員はもちろん、大森会長でさえも)が建設的な議論の邪魔をしている感があります。

論争というより、感情的な対立のようにも思えます。

少なくともこの問題については、委員の総取っ替えが必要かも。