事業者団体ヒア・武久委員意見

○武久委員(一般社団法人日本慢性期医療協会会長)
 6日ときょうといろいろ聞いておりまして、全般的に居宅サービスの種類がめちゃくちゃ多い。ちょっとずつしか違わないのに、昔の厚労省老健課の人は何でこんなたくさん種類をつくったのかなと思って、疑問でおれないですね。ちょっとずつ違うのです。小規模多機能。
 だけど、24時間で巡回するというのは、家でいるのはいいのですけれども、では、そこで悪くなったらどうするのですかと。よその施設にしてもらう。だから、一緒にあるほうが便利ですね。小規模多機能のほうが確かに便利です。だけど、小規模多機能で建物を新築してやったら、大抵マイナスですね。

 一番古くからやっているのはグループホーム。1万以上あるそうですから、20万近く利用しているのだから、もうちょっと整理したらどうかと思うのです。在宅にいる人で使うのは訪問、通所、一時入所のショート、この3つですよ。在宅の居宅サービスの介護については、この3つをそれぞれ全部できるようにしたほうがいいと思うのです。それぞれのところがこの3つをクリアしてくれれば、本格入所に対しては入所施設がありますから。
 それから、グループホーム認知症の専門と言いながら、別に認知症でなくてもいいと思うのです。年をとったら多少の認知症がありますけれども、認知症以外は絶対入れませんというよりも、その地域に一つしかない場合には、そこを利用できるようにしたほうがいい。だから、症状を余り固定しないで、いろんなサービスをうまくやったらいいと思う。

 ヘルパーの事業所の協会も、鈴木先生がおっしゃったように、何で2つが出てきたのかわからぬし、もっとほかにもあるらしいのですけれども、派閥争いではないけれども、そんなにたくさんあってもしようがないのではないかと思うので、まとめていただいたほうが多分厚労省のほうも助かるのではないかと思います。

 やはり在宅でいるほうがいいのですよ。病院に入ったら、よくて4人部屋ですからね。家にいたら、補足給付が必要な方でもみんなひとり個室でおれますから、家ほどいいところはない。だから、家でおられるようなサポート体制をするのに、訪問、通所、ショートという3つが全部重なっているところをどんどんと推進する。ないところにはそういうものをつけ加えていかないと、個別で全部協会があって、その個別のサービスにまた複数の協会があって、もうややこしくて、多分鈴木課長はわからぬようになっているのではないかと思うのですが、ここをちょっと整理する時期が来ているかなと思います。家ほどいいものはないので、居宅サービスについては、今後ますます統一化して推進していただけたらと思います。

○田中分科会長(慶応義塾大学名誉教授)
 委員らしい意見でした。ありがとうございました。

<この武久委員の発言は、田中分科会長が言うように「委員らしい意見」かもしれませんが、「質疑」とはいえないので、記事のタイトルを変えています。

さて、訪問、通所、一時入所(宿泊)の3つを全て提供できるところといえば、(看護)小規模多機能型居宅介護、ということになるのでしょうが、実は小規模多機能型の訪問サービスは訪問介護とイコールではないし、通いサービス=通所介護、宿泊サービス=短期入所もというわけではありません。どちらが上とか下とかいうものでもないと思いますが。

まあ、そのへんは置いといたとして、在宅サービスのあり方として1法人で完結できるサービスを増やすことが良いのか悪いのか、という問題もあります。短期入所や宿泊はちょっと別にして、訪問と通所、それにケアマネジメント(居宅介護支援)が別々の組織で、効率は悪いように見えるかもしれないけれども、視点の違いでさまざまな気づきや質の向上や虐待防止等のけん制に至るまで、悪いことばかりではないように思えます。(看護)小規模多機能型の普及自体はよいことだろうと思いますが、その手のサービスばかり、というのも問題ではないでしょうか。

もうひとついえば、小規模多機能型居宅介護だけで在宅サービスが完結するわけではありません。訪問看護部分が加わっている看護小規模多機能型居宅介護にしても、福祉用具貸与は含まれていません。

蛇足ですが、この組み合わせ型のサービス、国が推進するのは、報酬が従量型ではなく月額定額制なので、費用増を抑えられるという面があると思います。ただし、たとえば介護保険では不足ずるケアについて障害福祉サービスからの上乗せを必要とするような重度障害者に対しては、あまり向いていないのではないでしょうか。これが訪問介護利用なら、不足分を障害福祉サービスの居宅介護なり重度訪問介護なりを上乗せする計算がしやすいのですが。>

(つづく)