審議会への違和感

介護報酬:「プラス改定は困難」 社会保障審議会分科会長
毎日新聞 2011年4月27日 18時18分)
 
 厚生労働相の諮問機関、社会保障審議会介護給付費分科会の大森弥会長(東京大名誉教授)は27日の同分科会で、「震災対応がある中で(介護報酬の)単価が上がるなんて話は通用しない」と発言した。東日本大震災の被災地復興に巨額の財源を要する中、12年度の介護報酬改定ではプラス改定は難しいとの認識を示したものだ。
(以下略)
http://mainichi.jp/life/health/news/20110428k0000m040016000c.html

 
維持か見直しか、要支援者への給付で激論
(キャリアブレイン)
 
 4月27日の社会保障審議会の介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東大名誉教授)では、介護報酬改定全体を見据えた自由討論も行われた。討論では、特に要支援者への給付の在り方について、見直しを主張する委員と維持を求める委員が鋭く対立した。
 
■震災復興のため「要支援は介護保険から外すべき」―池田委員
 
 池田省三委員(龍谷大教授)は、「(東日本大震災の被災地では)自分たちで助け合う自助と互助が、感動的なくらいよみがえっている。地方公務員は一部を除いて寝食を忘れて働いている。もし介護保険がなかったら、ケアマネジャーは自分のお客さんを守ることもなく大混乱になっている」と述べた上で、被災地で自助・・・
(引用者注:ここから先は、会員登録をしていないので、読めません。)
https://www.cabrain.net/news/regist.do
 
 
社会福祉審議会介護給付費分科会の議事録がまだ公開されていないので、報道されている内容だけで判断することになり恐縮ですが・・・
 
違和感が、大きく2点。
 
1)社会福祉審議会(の一分科会)が国の財政状況を勘案して口出しするのは、一種の越権行為ではないのか?
 
財政的なことについては、あえて言えば委員も門外漢のはずです。
社会福祉審議会で介護報酬引き上げが必要と答申しても、(心配しなくても)その道のプロである財政当局が無理と思えば「待った」がかかるでしょう。
 
今回の(報道されている)分科会長の発言を裏返せば、「財政状況が良好なら介護報酬を引き上げるべき」ともなり、財政サイドから見れば、それこそ越権行為と受け取られかねなれないと思いますが。
 
2)「金がないから、介護保険サービスを削る必要がある」というのは素人でも思いつく論理で、報酬を得て有識者として招集されている委員の発言としては、その報酬に見合っていないのではないか?
 
本来、国(ひいては国民)が期待しているのは、「金がないけれど、こういう方法を採れば必要なサービスを落とさないで済む」というような専門的意見ではないかと思います。
 
あるいは、
「軽度者のサービスを10削減しても、それによって重度化した要介護者の増加により重度者へのサービス必要量が8増加するので、2しか効果がない」
とか、
「軽度者のサービスを10削減すると、重度者のサービス必要量が12増えるので、かえって逆効果である」
というような、素人(財政サイドを含めて)では気がつきにくいような視点ではないでしょうか。
 
 
次のような報道もあります。現在のところ、個人的には、まだしも、こちらの方が現実的かなと思っています。
 
 
「40歳未満も負担」提案へ 介護保険料、一体改革で
東京新聞 2011年5月4日 19時58分)
 
 厚生労働省は4日までに、社会保障と税の一体改革で、介護保険サービスの費用増大に対応するため、保険料負担の対象年齢を現行の40歳以上から引き下げることを提案する検討に入った。
 保険料支払い対象を「40歳未満」に拡大し、介護保険財政を安定させて、サービスの維持を図る狙い。12日に予定される一体改革の「集中検討会議」(議長・菅直人首相)に提出する厚労省改革案に盛り込む方針だが、与党から負担増に対し反発も予想されるため、実現するかどうかは不透明だ。(以下略)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011050401000702.html