5/20議事録2・負担抑制

○村上委員
(略)4月27日の財政制度分科会で要支援1、2、要介護1、2に対する給付も地域支援事業へ移行して訪問介護の生活援助と福祉業務、住宅改修サービスについては原則自己負担、一部は補助するとすべきとの提案がありました。サービス単価をさらに大幅に抑制する必要があるとも記載されています。

 きのうの新聞紙上でも、経済財政諮問会議が同じような内容で記載されていたということがあります。介護報酬については社会保障審議会での意見を聞き、サービス事業をする平均的な費用の額を厚生労働大臣が定めるものです。財政制度分科会で一方的に抑制の議論を進め、具体的項目について言及することは、この社会保障審議会の議論を無視するものであって看過できないと思いますけれども、このことについてどのようにお考えでしょうか。できれば田中座長にお尋ねしたいと思います。

 一方で、サービスの効率化というのはやむを得ない状況にあるとも思います。例えば要介護の認定に係る経費だとか、地域包括支援センターの効率的な運営、ケアプランの有料化等、今後議論が必要なものはたくさんあると思いますけれども、今のことについてよろしくお願いいたします。

○田中分科会長 最終的に考えるのはこちらの審議会ですが、そういうことを検討せよと議論があったと承知しております。私たちが最終的に決めるところですので、考えてまいりましょう。

○迫井老人保健課長
(略)
 これは以前、改定を具体的に進める報酬の議論の前にも秋口あたりに同じように、これは財務省所管の審議会でございますけれども、その審議会の中で委員のお立場での問題提起とか、さまざまな資料の提出があって、そのことが報道されてということはこれまでもありましたし、最近もあったようでございますし、今後もあると思いますが、審議会での審議はあくまで所管されております政策を議論するための審議でありまして、先ほど分科会長がおっしゃったように、ご指摘の報道に係る提案が、私どもの所管しております介護報酬に係るさまざまな議論でございますとか結論に直接リンクをするということでは必ずしもございませんので、そういった報道とかそういった御意見があること自体は当然だと思いますけれども、あくまで介護報酬に係る御審議はこちらの場でやっていただくというのが私どものスタンスでございます。

○田部井委員 関連してなのですけれども、私どもは4月の改定自身に不安を感じているうちに、村上委員が言われたように、さらに追い打ちをかけるような厳しい案が出されているということで衝撃を受けているわけですが、私どもからするとこんなひどいことがと思うのですが、今回の4月改定においてもまさかそのまま実施されることはないのではないかと思っていたような財務省案に近いようなものが、ほぼそのまま実施されてしまっているような気もしています。

 私たちは署名活動も行って異を唱えてきましたけれども、この4月改定の案を提案された厚生労働省さんあるいはそれに賛成された皆さんも、介護福祉の充実を願うものであったならば、この内容に積極的に賛成されたとは私たちには到底思えないのです。

 次においてもまたこのような財務省案が現実のものとなってしまうようでは、負担増、給付抑制の流れはますます加速してしまうのではないかと思います。今度こそというか、今こそといいますか。あるいは社会保障、介護福祉に携わる全ての関係者がこの流れを押しとどめるために力を合わせなければいけないのではないでしょうか。その先頭を切っていただくのは、まず財政当局と直接折衝される厚生労働省さんであることは間違いないと思うのです。この点においては、ここにいる全ての人が厚生労働省の応援団であるといって過言ではないと思います。

 私たちもそうですけれども、介護保険制度創設当時のように、希望に向かって進んでいるという情熱をもう一度思い起こして、安心を保障する制度を構築するために奮闘していただくことを心からお願いしたいと思います。

 これは答えにくいとは思うのですが、いつも財務省が先行していて、そうすると何か気おされてしまうとか、あるいはこちらが守りになってしまうという感じもしていまして、こういうものが出たならばどういう形でもいいと思いますので、財務省さんはそうおっしゃるけれども、厚生労働省として大枠ではこう考えていますということをばんと提示していただくとか、あるいは30年の改定では大枠では財務省が言う前にこういう形でいきたいと思っていますということを打ち出してもらうようなことというのは、細目は検討しなければいけないと思うのですけども、大枠のところ、変な話ですが、例えば安倍首相に新オレンジプランを打ち出したところですがこれを実現するためにこういうことが絶対に必要ですよというような内諾をとっておいたりして、ある程度の大枠の線を先行して、30年の改定ではこういきたいというものを打ち出していただくようなことというのはできないものなのでしょうか。もし何らかコメントをいただければうれしいと思うのです。

○高橋総務課長
 最近、財政健全化に向けまして、経済財政諮問会議ですとか財務省の財政審ですとか、さまざまな議論がされ、それが報道されているということがございます。これはこれで財政制度という観点、また経済運営という観点での議論、それぞれのところでされるのが当然だろうと思います。厚生労働省としてしっかり反論をという御指摘でございますけれども、我々はいつも常日ごろから財務省厚生労働省の間では水面下でさまざまな厳しい議論を重ねながら日々やっているところでございます。

 いずれにしましても、今回の介護保険の法律改正また報酬改正を施行して、円滑運営をやっていく、まだそういう段階でございます。今回の制度改正と報酬改定を円滑に施行しながら、通常介護は3年ごとに制度改正、報酬改定をやっていますので、次に何ができるのかというのはしっかりと腰を据えて慎重に関係審議会の御意見を聞きながらやっていきたいと思っております。その間、政府内での議論につきましては、しっかり対応していきたいと思っております。

○齊藤(秀)委員 村上委員や田部井委員の非常に大きな不安に対して私も同感の意見を持っております。実は国政選挙が近くなりますと、マスコミの中で独自で世論調査をして、国政にどういうことを求めるかということがよく出てまいります。一番に上がってくるのが社会保障制度の充実ということが出てまいります。

 これに関して、内閣府マターなのだと思いますけれども、社会保障に関する世論調査というものが平成20年ぐらいにやられていて、公表されているのですが、これを見ると満足度はどうかとか、まさに負担と給付のバランスの問題だとか、高齢者と現役世代の負担のあり方とか、我々のこの給付費分科会にも非常に関連のあるものが出ている。しかし、これがもう7年前の話ということになりますと、財務省系列のお話もあったのですけれども、国民が社会保障制度に対してどういう関心を持って、どういう意識を持っているのかという基礎的なものが私は非常に欠けているのではないか、不足しているという感じがしております。

 それぞれの省にあります審議会の中だけで議論をすると、お互いそれぞれの立場がありますから守りたいというのは当然の話でありますけれども、国民が今、何を考えているのかというのがまず最初にあるべき話、これはいろいろな状況があって定期的にとれないという事情があるのかもしれませんが、厚労省においても、ぜひ介護保険に関する国民の意識調査というものは毎年が無理であったとしても1年置きぐらいに調査をしていくということをいたしませんと、若い方々がどう考えているのか理解が及びません。例えば今後保険料の1号、2号にかかわる問題も出てきたときに、若い世代はどう考えておられるのか。

 同じ高齢者であっても考え方が必ずしも一致するとは限りませんので、そこでもいろいろな違いや考え方がある。当然、事情が変わってくると考え方にも変化が出てくるわけでありますから、そういう国民の意識というものが厚生労働省としてもきっちり捉えていくという姿勢があって初めて、財務省との話し合いの中にも使っていける、また、政治にも御理解いただけるという部分が出てくるのではないかという気がいたします。

 どういう形でやるのが可能なのかわかりませんけれども、社会保障制度を充実したいというのはみんな思っているわけでありますが、それをするためには財源を一定程度確保しなければいけない。そういう問題をどうするのかという基本的な問題をずっと引きずりながらいるわけでありまして、消費税を10%で打ち切りということになるのかどうかも含めて国民はどう考えているのか、その辺をきっちり捉えていけるようにするということも大事なポイントではないかと思いますので、ぜひこれからそのことも御検討いただければありがたいと思っております。