生活援助外しは見送りのようだが

軽度者対象の「生活援助」 厚労省
介護保険外し先送り

佐賀新聞 2016年10月07日 12時12分

 厚生労働省は6日、ヘルパーらが高齢者の自宅に出向く訪問介護のうち、掃除や調理、買い物などの「生活援助サービス」について、要介護度の軽い人向けの給付を介護保険の対象から外す案を、先送りする方向で検討に入った。代わりに、増え続ける給付費の抑制は必要との考えから、事業者へ支払う介護報酬を2018年度の改定時に引き下げる方向だ。

 12日に開く審議会に示し、議論を求める。生活援助は重度の人を含め約80万人が利用。報酬が下がると、利用者にとっては自己負担(1~2割)分の支払いが減るメリットがあるが、質の低下を招く恐れもある。

 厚労省財務省の求めで「要介護1、2」(計223万人)向けの生活援助を保険から除外し、市区町村の事業に移すことを検討してきた。しかし、より軽度の「要支援1、2」を対象とした訪問介護通所介護を市区町村に移行中のため「まずは移行を着実に進め、検証した上で検討するべきだ」と判断した。

 介護保険の枠内にとどめ、要介護度に関係なく報酬を下げることで対応したい考えだ。人員基準などの要件を緩和し、低コストでサービス提供できるようにして、事業者に理解を求める。

 ただ、財務省軽度者の自己負担割合を増やすなど、より強い給付抑制策を求めており、制度見直しの結論を出す年末まで調整が続きそうだ。

 生活援助を巡っては「軽度者の利用が多く、介護保険が家政婦代わりに使われている」との指摘がある一方、市民団体などは「ヘルパーは自立支援の役割も担っており、給付の縮小はかえって重度化を招く」「認知症の人が生活できなくなる」と強く反発している。(以下略)
http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/363902


生活援助サービス
軽度介護、移行先送り 国が継続

毎日新聞2016年10月7日 08時00分(最終更新 10月7日 08時00分)

 政府・与党は6日、2018年度の介護報酬改定で、「要介護1、2」に認定された要介護度が軽い人向けの調理や掃除など生活援助サービスについて、市区町村事業への移行を先送りする検討に入った。財務省介護保険の対象から外し、市区町村の事業とすることを主張していたが、厚生労働省社会保障審議会や与党内の反発が根強いことに配慮した。膨らみ続ける介護費の圧縮については、事業者の収入となる介護報酬の引き下げを検討する。

 見直しの対象となっていた生活援助サービスは、訪問介護のうち調理や掃除、買い物など。要介護1、2と認定された人のうち約半数が、生活援助サービスを中心に受けている。「家政婦代わりに安易に利用されている」などの批判もあり、財務省が要介護度が軽い人については介護保険から除外し、市区町村によるサービス提供に変更することを求めていた。

 しかし、利用者らが作る市民団体が「介護保険から外せば、軽度者の重症化につながる」などと反対しているほか、与党内からも「社会保障の充実策が進まない中、これ以上の負担増は認められない」と反発の声が上がる。

 また、15年度の介護報酬改定で、要介護度がより軽い「要支援」向けの一部サービスを市区町村に移行したが、今年4月までに実施した市区町村は全体の32.7%にとどまる。このため、まず要支援者向けサービスの移行の着実な実施を優先する方向で調整する。【阿部亮介】
http://mainichi.jp/articles/20161007/k00/00m/010/115000c


軽度者介護保険サービス 「生活援助」維持の方向
東京新聞 2016年10月7日 朝刊)

 厚生労働省は六日、介護保険制度の見直し案のうち、介護の必要度が低い要介護1、2の人向けの訪問介護である「生活援助」サービスの見直しを見送る方向で検討に入った。介護保険サービスから外し自治体の事業へ移行させることを検討しているが、介護現場の負担を考慮した。 (鈴木穣)

 生活援助は、自宅で生活する高齢者にヘルパーが調理や買い物、掃除などの訪問介護サービスを提供する。現在は、利用料の一割(一定所得のある人は二割)を利用者が負担、残りは介護保険から支出している。軽度の人の利用が多く「ヘルパーを家政婦のように使っている」との指摘もある。

 厚労省は、生活援助について保険給付から外し自治体の事業に移すことを検討してきた。地域の実情に合ったサービスを提供するとの理由だが、支援体制が整わない自治体によってはサービス縮小も懸念されている。政府は高齢化に合わせて介護保険財政支出の抑制を進める方針。自治体への事業移行は費用抑制の狙いもある。

 介護保険は要支援1、2と要介護1から5までの七段階。現在、要介護1より状態が軽い要支援の訪問・通所介護介護保険の給付対象から外し、二〇一七年度まで三年をかけ自治体の事業に移行させている。これに続き、要介護1、2の人の生活援助サービスを移行させれば、自治体や介護現場に負担がかかるため、移行の実態を見極める必要があると判断した。

 検討を続ける社会保障審議会介護保険部会でも委員から「時期尚早だ」「家庭に入ってのケアは専門性も必要。(保険外しは)後々重度化や命に関わる」などの声が上がっていた。事業者の報酬引き下げなどで介護費用を抑えることも検討する。

 財務省は、軽度の人の自己負担増も求めており、年内に結論をまとめる。見直し議論では、福祉用具レンタル支援の自己負担引き上げ、一定所得のある人の自己負担二割の拡大、保険料支払い開始年齢の「四十歳」からの引き下げなども検討している。
(以下略)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201610/CK2016100702000137.html

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介護報酬減で供給が確保できるか、とか、いろいろツッコミどころはあると思いますが・・・

利用者の所得等による自己負担割合の拡大は、現在でも行われています。(1割→2割)
そのことの是非は別にして、システム技術的にはそれは難しくないのでしょうが、

・特定の要介護度の人の自己負担割合拡大
とか、それに加えて
・特定のサービスについてだけ自己負担割合を拡大
というのは、かなり難易度が高いと思います。

まず、特定のサービスについてだけ負担割合を変えるというのは、現行ソフトでは対応しないでしょう。

さらに、
(原則として年1回で済む所得等の調査と異なり)要介護度が変わるたびに負担割合が変わる、というのは、
利用者やサービス事業者や居宅介護支援事業所のみならず、保険者も大変です。

区分変更認定で、遡って負担割合が変わったら、重要事項説明とか、介護扶助とか、どうするんだろう?

厚労省財務省は気楽なものかもしれませんが。