虚偽の申し立てをする親には返せない

小4女児死亡 父親の暴力否定の文書を児童相談所に提示

(NHK 2019年2月5日 19時42分)
千葉県野田市で小学4年生の女の子が自宅で死亡し、傷害の疑いで両親が逮捕された事件で、逮捕された父親が「お父さんに叩かれたというのは嘘です」などと女の子が書いたとする内容の文書を児童相談所に示していたことがわかりました。児童相談所は父親に書かされた可能性が高いと認識していながらも、本人の意向に加え学校での様子から虐待の再発はないと考え、両親のもとに戻す決定をしたと説明しました。

5日、千葉県の柏児童相談所が明らかにした文書は、千葉県野田市の小学4年生、栗原心愛さん(10)が虐待を受けているおそれがあるとして一時保護されたあと、施設を出て親族の家に身を寄せていた去年2月、父親の栗原勇一郎容疑者(41)が児童相談所に示したものです。

児童相談所は親族の家で暮らしていた心愛さんを自宅に戻すかを判断するため、勇一郎容疑者と面会しました。その際、勇一郎容疑者は心愛さんが書いたとする文書を示しました。

この中には「お父さんに叩かれたというのは嘘です。小学校の先生に聞かれて思わず言ってしまいました。お父さん、お母さん、妹、親族にたくさんの迷惑をかけてしまいました。ごめんなさい。ずっと前から早く4人で暮らしたいと思っていました。お父さんに早く会いたいです。児童相談所の人にはもう会いたくないので来ないでください。会うと嫌な気分になるので、今日でやめてください。お願いします」と書かれていたということです。

勇一郎容疑者は児童相談所の職員に文書を示したあと、「心愛をこのまま連れて帰る。これ以上、ひっかき回さないで欲しい。ひっかき回すようなことをする場合、児童相談所の職員個人を名誉毀損で訴えることも検討している」と述べたということです。

これに対し児童相談所の職員は「この場で心愛さんを連れて帰ることの良し悪しを判断することはできない。後日、会議で検討する」と答えたということです。

このあと児童相談所は心愛さんにこの文書を自分の意思で書いたかどうかを確認しないまま、心愛さんを両親のもとに戻す決定をしたと説明しました。

これについて柏児童相談所の二瓶一嗣所長は会見で、「文書は父親に書かされている可能性が高いと認識した。リスク要因として考えて検討を行ったが、総合的な判断で心愛さんを両親のもとに戻す判断をした。もう一度、児童相談所で一時保護するという選択肢もあったが、小学校で身体的な傷、あざが認められなかったこと、学校での適応がよかったこと、それをもって虐待の再発がないと考えた。そこまでの虐待のリスク要因はないのではないかという判断となった」と述べました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190205/k10011804701000.html?utm_int=news_contents_news-main_001


このあと、NHKの報道は「専門家は、児童相談所の対応を厳しく批判しています。」と続きます。
また
2日後の2月28日、児童相談所は、今後の方針を話し合う会議を開き、心愛さんを自宅に戻すことを認める判断をしました。そして、3月上旬、心愛さんは、父親と母親がいる自宅に戻ります。

その後、3月19日に児童相談所の職員が小学校を訪れて心愛さんと面談した際、心愛さんに、文書について確認しました。その時、心愛さんは、父親から母親へのメールで、こういう内容の文書を書くようにという指示があり、その内容を書きうつしたという趣旨の話をしていたということです。
ともあります。


私が児童相談所にいたのは、ずっと以前のことですし、反省点の方が多いケースワーカーでしたが、
それでも本件のような場合に、父親のもとに返すべきではないと考えたと思いますし、
私がいた事務所でも「返すべきではない」という判断をしただろうと思います。

虚偽の申し立てをする。
あるいは、(子など家族に強要して)虚偽の申し立てをさせる。

これは、行政機関から見れば、もっとも信用すべきでない相手、という証拠です。

この時点で、まず一時保護から考えます。
柏児相以外の多くの児相でもそうではないかと思います。

ちょっと違う分野ではありますが、介護保険障害福祉サービスの事業者が指定取消などの処分を受けるのも、虚偽の申し立てや書類の偽造というのが多いです。
通常の(?)不正というのもありますが、行政が監査などに入ったとき、最初から非を認めていたら指定取消までは行かなかったのではないか、という案件があります。
虚偽の申し立てをする相手とは、まともな交渉をすることが困難です(念のため。ここでは、アジアの特定の国のことを指しているわけではありません)。

なお、「ひっかき回すようなことをする場合、児童相談所の職員個人を名誉毀損で訴えることも検討している」という子の父親のセリフが関係者の判断に影響を与えた可能性があるとすれば(まあ、訴えたとしても職員側が負けるはずがないとは思いますが)、自治体の顧問弁護士などが必要な対応を行い、一線の職員を守るという体制は取るべきだろうと思います。