深夜の緊急時訪問介護加算

ひさびさ、ネット上某所より取材。

緊急時訪問介護加算を算定するときは、早朝・夜間や深夜帯の加算は算定できないのか?

私の回答:当然、算定可能です。

間違われやすいかもしれないので、よく似ている「緊急時訪問看護加算」から見ていきます。


<報酬告示>
注10 別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出た指定訪問看護ステーションが、利用者の同意を得て、利用者又はその家族等に対して当該基準により24時間連絡できる体制にあって、かつ、計画的に訪問することとなっていない緊急時訪問を必要に応じて行う体制にある場合には、緊急時訪問看護加算として1月につき574単位を所定単位数に加算し、指定訪問看護を担当する医療機関(略)が、利用者の同意を得て、計画的に訪問することとなっていない緊急時訪問を必要に応じて行う体制にある場合には、緊急時訪問看護加算として1月につき315単位を所定単位数に加算する。

<H12老企36>
(16)緊急時訪問看護加算について
 [1]~[2] 略
 [3] 当該月において計画的に訪問することとなっていない緊急時訪問を行った場合については、当該緊急時訪問の所要時間に応じた所定単位数(准看護師による緊急時訪問の場合は所定単位数の100分の90)を算定する。この場合、居宅サービス計画の変更を要する。
  なお、
当該緊急時訪問を行った場合には、早朝・夜間、深夜の訪問看護に係る加算は算定できないが、1月以内の2回目以降の緊急時訪問については、早朝・夜間、深夜の訪問看護に係る加算を算定する。
 [4]~[5] 略


緊急時訪問看護加算は月額の加算です。
で、その月の1回目の緊急時訪問を行った場合には、早朝・夜間、深夜帯の加算は算定できません。
ただし、2回目以降の緊急時訪問については、早朝・夜間、深夜帯の加算を算定することが可能です。

では、緊急時訪問介護加算です。


<報酬告示>
注15 イ(注:身体介護中心型)について、利用者又はその家族等からの要請に基づき、指定訪問介護事業所のサービス提供責任者が指定居宅介護支援事業所(略)の介護支援専門員と連携し、当該介護支援専門員が必要と認めた場合に、当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等が当該利用者の居宅サービス計画(略)において計画的に訪問することとなっていない指定訪問介護を緊急に行った場合は、1回につき100単位を加算する。

<H12老企36>
(19)緊急時訪問介護加算について
 [1] 「緊急に行った場合」とは、居宅サービス計画に位置付けられていない(当該指定訪問介護を提供した時間帯が、あらかじめ居宅サービス計画に位置付けられたサービス提供の日時以外の時間帯であるものをいう。)訪問介護(身体介護が中心のものに限る。)を、利用者又はその家族等から要請を受けてから24時間以内に行った場合をいうものとする。
 [2] 当該加算は、1回の要請につき1回を限度として算定できるものとする。
 [3] 緊急時訪問介護加算は、サービス提供責任者が、事前に指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員と連携を図り、当該介護支援専門員が、利用者又はその家族等から要請された日時又は時間帯に身体介護中心型の訪問介護を提供する必要があると判断した場合に加算されるものであるが、やむを得ない事由により、介護支援専門員と事前の連携が図れない場合に、指定訪問介護事業所により緊急に身体介護中心型の訪問介護が行われた場合であって、事後に介護支援専門員によって、当該訪問が必要であったと判断された場合には、加算の算定は可能である。
 [4] 当該加算の対象となる訪問介護の所要時間については、サービス提供責任者と介護支援専門員が連携を図った上、利用者又はその家族等からの要請内容から、当該訪問介護に要する標準的な時間を、介護支援専門員が判断する。なお、介護支援専門員が、実際に行われた訪問介護の内容を考慮して、所要時間を変更することは差し支えない。
 [5] 当該加算の対象となる訪問介護の所要時間については、(4)[3]及び(5)の規定は適用されないものとする。したがって、所要時間が20分未満であっても、20分未満の身体介護中心型の所定単位数の算定及び当該加算の算定は可能であり、当該加算の対象となる訪問介護と当該訪問介護の前後に行われた訪問介護の間隔が2時間未満であった場合であっても、それぞれの所要時間に応じた所定単位数を算定する(所要時間を合算する必要はない。)ものとする。
 [6] 緊急時訪問介護加算の対象となる指定訪問介護の提供を行った場合は、指定居宅サービス基準第19条に基づき、要請のあった時間、要請の内容、当該訪問介護の提供時刻及び緊急時訪問介護加算の算定対象である旨等を記録するものとする。


緊急時訪問介護加算は、月額ではなく「1回につき100単位」という加算です。
そして、告示はもちろん、留意事項通知(平成12年老企第36号)のどこにも、早朝・夜間、深夜帯加算が算定できないというような記述はありません。
早朝・夜間、深夜帯加算に該当する時間帯の訪問であれば、問題なく加算を算定できます。

そもそも、身体介護については、「わずか100単位の緊急時訪問介護加算を算定することによって深夜帯等の加算が算定できなくなる」のなら、事業所にとって、むしろ減収になる場合があります。
そんな報酬体系は、普通はあり得ません。

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緊急時訪問看護加算の場合、訪問看護ステーションなら、月額574単位ありますから、たとえば深夜帯加算を取って緊急時訪問看護加算をあきらめた方が得、ということには普通はなりません。

ところが、緊急時訪問介護加算の場合は、「深夜帯等の加算が算定できない」というようなアホ解釈をすると、本末転倒になってしまいます。

そもそも、緊急時訪問介護加算と緊急時訪問看護加算とは同様には扱えないものなのです。