財政制度等審議会の建議3

財政制度等審議会財政制度等分科会「新たな財政健全化計画等に関する建議」についての続きです。


(頻回のサービス利用の適正化)
 訪問介護の生活援助サービスについては、月100回以上の利用など平均を大きく上回る利用が存在していたこと等から、平成30年10月から、全国平均の利用回数を大きく超えたサービス利用については、ケアプランの保険者への届け出を義務付け、保険者によるケアプランの点検や地域ケア会議における検証を行うこととし、不適切な事例については是正を促すこととされた。
 このため、国において平成30年10月までに、保険者によるケアプランチェックのための指針等を早急に策定・周知するとともに、今後、ケアプラン点検の実績も踏まえ、次期介護報酬改定に向けて、利用者の状態像に応じたサービスの利用回数や内容等についての標準化を進める必要がある。〔資料II-1-32参照〕

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この件については何回も触れていますが、生活援助の必要性、必要量というものは、家族の状況(独居、健康で家事を行うのに制約が少ない家族がいるか、等)で根本的に変わります。
(それに比べたら、要介護度はそれほどは決定的要因ではないともいえます。)

それなのに、全体の平均利用回数や標準偏差を用いて線引きするのは無理があります。

月100回以上が気になるのなら、100回か、90回程度(1日3回ぐらいの計算)で線引きしてみて、次の報酬改定時にでも検証してみたらよいと思うのですが。


(介護サービスの事業所・施設の経営の効率化)
 介護サービス事業者の事業所別の規模と経営状況との関係をみると、規模が大きいほど経費の効率化余地が高いこと等から、経営状況も良好な傾向にある。一方で、一部の営利企業による経営主体の大規模化が図れているものの、依然として介護サービス事業全体でみた場合、経営主体は小規模な法人が多い。介護サービス事業者の経営の効率化・安定化や、今後も担い手が減少していく中での人材の確保・有効活用等の観点から、経営主体の統合・再編等を促すための施策を講じていくことが求められる。
〔資料II-1-34参照〕
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経営の効率化については、必ずしも反対するわけではありません。
ただ、離島や中山間地域などでは、合併、経営統合などが困難であったり、仮に合併したとしてもそれほど効率が上がらない場合も珍しくありません。
そういうちいきについては、大手の営利法人も参入・事業展開の意欲に乏しく、むしろ既存の事業拠点を統廃合しようとする傾向も見られます。

そういう地域は、往々にして居宅介護支援事業の特定事業所集中減算の対象から外されていますが、いち法人のみでは競争原理が働きにくく、それはそれで問題になっていたりします。

ところで、規模が大きな法人ほど収支差率が高い傾向になるということは、当然、小規模な法人ほど低くなるということです。

ということは、業界全体の収支差率を用いて報酬改定を議論すると、全体の7割を占める(とされる)100人未満の法人にとっては経営が困難になる、という理屈になります。

(つづく)